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米軍基地で「史上初」上映の舞台裏 海外で大絶賛 日本初ドリフト映画「アライブフーン」

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米軍基地で「史上初」上映の舞台裏 海外で大絶賛 日本初ドリフト映画「アライブフーン」

日本初の本格ドリフト映画が世界を席巻

日本初の本格ドリフト映画が、いま世界を席巻しつつある。

【画像】凱旋再上映も【アライブフーン米軍三沢基地上映の舞台裏】 全41枚

2022年6月に公開された「アライブフーン」(配給:イオンエンターテイメント/監督:下山天)は日本人の監督とスタッフ、俳優陣そして世界トップレベルの日本人ドリフトレーサー達によって作られた映画だ。

ほとんどのロケはドリフトの聖地「エビスサーキット」を中心に福島県内にておこなわれており、シルビアS15(エンジンは2JZ)、GRスープラ、GRヤリス、マークII(2JZ)、チェイサーなど出てくるドリフト車両もすべて日本車という完全な純日本映画である。

ところが、映画自体の評価はすこぶる高かったが、日本での公開時には、中にはロングランで上映された劇場もあったものの、それほどの盛り上がりはみられなかった。

ゲーム作家の健部伸明氏は以下のように話す。

「わたしはすでに6回劇場で見ていますが、アライブフーンはハリウッドが百倍の予算を出したとしても、この映画は撮れないでしょう。お金を出せば撮れる種類の映画ではありませんからね」

「何十人ものさまざまの分野のプロが、熱く本気になってコストを大きく超える仕事をしています。こんな映画が日本で実現したこと自体が奇跡ともいえるでしょう」

日本での公開を終えたあと、8月末頃からは海外での上映が始まったわけだが、日本とは反対にアライブフーンの快進撃が始まった。

シンガポールでは「陸のトップガン」と評され興行収入6位。9月に米国シカゴで開催された映画祭「Asian Pop-Up Cinema」では最高栄誉である「Audience Choice Award/観客賞」を受賞した。

世界15か国で劇場公開されシンガポール、タイ、台湾ではトップ10入りしてタイの映画サイト人気ランキング1位を獲得。

台湾では6週間のロングラン、フィリピンでは25万人を動員、オランダの映画祭では観客投票3位、そしてアメリカ・シカゴの映画祭では観客投票1位となった。

日本映画史上最高点 「人気」の逆輸入

また、この原稿を書いている2月13日現在、世界最大の映画評価サイト「IMDb」におけるUSユーザーの評価は何と日本映画史上最高点の「9.0」を記録している。

アメリカでの本格的な上映はまだ始まっておらず「アライブフーン」の上映はシカゴで開催されたアジア映画の祭典「Asian Pop-Up Cinema」の2回のみ。本格上映が始まったら一体どんなことが起こるのか。

いち早く配信が始まった台湾でも飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

台湾では「AliveHoon」とのタイトルで配信が始まり、前宣伝ゼロの状態でスタートしたものの、春節連休期間の視聴ランキングは堂々の1位を獲得している。

そしてこれら海外での勢いが日本にも「逆輸入」されつつある。

昨年12月上旬にドリパスの再上映リクエスト「もう1度映画館で観たい映画」で「劇場版 呪術廻戦0」を抜いて1位となったことで再上映が決定。

早速1月15日のTOHOシネマズ日本橋から再上映がスタートしており、これまで、東京、栃木、茨城、大阪、福岡で上映されてきた。

今後は仙台(2月25日)、福島(3月4日)、青森(3月10‐11日)、尼崎(3月17日)、苫小牧(3月25日)での上映が予定されている。

筆者も1月27日HUMAXシネマ池袋での再上映に足を運んだ。

香港映画の「頭文字D」とも、ハリウッド映画の「ワイルド・スピード」とも違う、本物のドリフトレースをこの映画ではみることができた。

主人公の成長ストーリーもいい。何よりもスタントマンによるドリフトではなく、土屋圭市氏、織戸学氏というドリフト界のレジェンドのもとに集まった齊藤大吾氏、中村直樹氏など超一流の現役レーサーが鬼気迫る本物のドリフトレースをみせてくれる。

日本のクルマ好きはもちろん、自動車業界に携わる人にはこの映画をみてもらいたいとさえ思った。

アライブフーンは日本の自動車業界を元気にする映画になるだろう。

前代未聞! 俳優乗せて100km/hで撮影

下山監督はどのような思いでこの映画を作ったのか?

「日本は世界屈指の自動車王国でありながら実車を使ったクルマ映画がこれまでほとんどありませんでした」

「日本から世界に向けて発信できる日本発祥のドリフト映画を作りたい! という思いを抱いていたころ、土屋圭市さんから『すべて実際の車両でドリフト映画を作ろう。もちろんCG無しでやりましょう』というアイデアを頂きました。こうして生まれたのがアライブフーンです」

「主演の野村周平さんはじめ俳優の皆さんにも実際に乗ってもらって、ほとんどリアルスピードで撮影しています」

「実はリアルスピードで走るクルマにカメラや照明が載ることからして前代未聞なんです。また、俳優さんを乗せた時点で最高60-70km/hくらいがマックスの速度です」

「実際に機材を載せて俳優さんを乗せて撮影のために100km/h超えるなんてことは世界的にもありえないことなのですが、この映画では実際のレースと同じことをやりました」(下山天監督)

さらに、日本映画史に残る快挙はまだほかにもある。

2023年1月14日に米軍三沢基地にてアライブフーンの上映がおこなわれたのである。

在日米軍においては専用の映画館を持つ基地もいくつかあるが、そこでは米国の映画館と同じ作品が上映されてきた。

日本映画のアライブフーンが上映されることは70年超におよぶ米軍基地の歴史の中で初。極めて異例な歴史的快挙が実現したことになる。

どういう経緯で上映が実現したのか。そこにはひとりの、元米軍人であるプロドリフターの存在があった。

青森県三沢市でパフォーマンスカーショップ「PINKU STYLE」を営む、ドナルド・ジャクソン氏である。

ジャクソン氏は自身の競技エントリーやドリフト車両の製作や販売をおこなっているが、これまで米軍人がアメリカへ帰国する際の「お持ち帰りJDM」(製造から25年以上経過した日本車)についても約400台を送り出した実績を持つ。

歴史的イベントに 米軍基地で映画上映

――米軍三沢基地でアライブフーンが上映されることになった経緯を教えてください。

「昨年6月20日に青森の映画館で『ALIVEHOONアライブフーン』をみました」

「わたし自身、プロのドリフトレースで活動し、また専門店を営んでいますからこの映画のすばらしさに心底感動しました」

「そして、映画をみたあとすぐに、下山監督にお祝いの言葉を送り、そこからわたし達の友情が始まりました」

「三沢基地の米軍人もドリフトやJDMが大好きな人がたくさんいます。ぜひとも、この映画を日本にいる米軍人にみてもらいたい。そこで下山監督に『三沢基地の劇場で上映することを手伝いたい』と伝えました」

――上映が実現するまでに苦労したことはありますか?

「お店の仕事との両立以外、苦労したことはありません。しかし、上映場所が軍事施設内の為、ポスター掲示やチラシ配布など許されませんでした。そのため、わたし達でフェイスブック、IG、ツイッターを介して独自のプロモーションを実施しました」

――映画をみに来た人びとの反応はいかがでしたか?

「CGではない、真のドリフト映画をスクリーンでみることができて観客全員が感動し、とても幸せな気分になっていたと思います。アクション映画にCGが当たり前の時代に、日本のトップレベルのドリフトドライバーが多数出演して、本当のドリフト競技を見せてくれたアライブフーンはとても新鮮でした」

「みているものはすべてリアルな動きです。『グランツーリスモ』でクルマに目覚めた僕のような人間には、親近感のわく映画だと思います」

ドリフトは日本生まれのモータースポーツで今や世界40か国以上で正式な競技としてシリーズ開催されている。

2020年にはFIA(世界自動車連盟)によって統一車両規則が承認された。

しかしながら、ストリート発祥のモータースポーツということもあり、日本では危険走行のイメージが依然、強く残っているのも事実だ。

この映画はそんなドリフトのアングラな印象を大きく変えてくれる。

エンドロールに出てくる見慣れた日本のパーツブランドや自動車関連企業の名前を見ていると目頭が熱くなるかもしれない。

そして、最後には「よくぞこんなすごい映画を作ってくれました!」と感謝の気持ちが湧き上がってくると思う。ドリフトに対してあまり良いイメージを持っていなかった筆者自身がそうであったように。

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みんなのコメント

1件
  • Daiさんと土屋さんが
    ドリフトでメシを食えるようにする
    とD1を設立した時は
    いくらなんでも、と思ったが
    気付けばFIA公認の競技にまでなった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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