プレイステーションの進化に合わせて、よりリアルなドライビングシミュレーターへとバージョンアップを続けているのが、『グランツーリスモ』だ。「グランツ」の略称で親しまれるこのソフトが、なんと映画になった!! 公開直前にその魅力をお伝えしよう。
■プレイステーションの進化とともに歩むドライビングシミュレーター
プレイステーションを飛び出し映画館のスクリーンへ!! 『グランツーリスモ』のヤバイ世界をリアルに再現
多くのレーシングマシンが実際にサーキットを走行する様子が撮影されている
1997年に発売されて以来、ロングセラーの人気を誇るドライビングシミュレーター『グランツーリスモ』。初代プレイステーションのころに登場したこともあって、その25年の歴史はプレイステーションと共にあると言ってもいいくらいだ。
これまで全世界で累計9000万本をセールスしたというこのソフトが、ついに実写映画化された。そのタイトルもズバリ『グランツーリスモ』だ。
ファンならばご存じのように、このソフトはスペシャルなことでも知られている。ジャンルとしては“シミュレーションゲーム”なのだが、その内容は驚くほどリアル。
登場する車はもちろん、レース会場も実際に存在するもので、しかもその設備やサーキット、周囲の景観、走行路面の状態等をとことん再現しているため、まさに“リアルドライビングシミュレーター”になっている。
このソフトを攻略出来れば、ル・マンも鈴鹿サーキットもニュルブルクリンクでも実際に走れるかもしれない!?
そんな人物が本当にいたから生まれたのがこの実写映画。スポーツとは無縁のゲームおたくのティーンエイジャーが本当にレーサーになってしまったのだ。
どういうふうにゲームの経験と技術を活かして実際のサーキットを走ったのかという点が気になるもののの、残念ながら映画ではそこは描かれていない。本作でテーマとなるのは、その不可能を可能にした青年ヤン・マーデンボローの成長記。
■「グランツーリスモ」プレイヤーが本当のレーサーに
主人公ヤン・マーデンボロー役のアーチ・マデクウィ
世界中からグランツーリスモのトッププレイヤーを選び、ホンモノのプロレーサーとして育成するプロジェクト、日産×プレイステーションによる“GTアカデミー”(2008年から2016年まで実施された)で優勝し、プロレーサーになったこのイギリスの青年の奮闘を描くことにスポットを当てている。
父親にゲームばかりしていると叱られていた青年のサクセスストーリーと言ってもいいだろう。
登場するサーキットは一部を除いて実際のもの。スロバキアのスロバキア・リング、ドバイ・オートドローム、北ドイツのニュルブルクリンク、オーストリアのレッドブル・リンク、ブダペストのハンガロリンク等を使い、同じようにホンモノのレーシングカーを駆使して撮影している。
その車は日産GT-R Nismo GT3を筆頭にランボルギーニ・ウラカンGT3、コルベットC8.R GT3、アウディR8.LMS GT3、フェラーリ488 GT3 EFO、ポルシェ911 GT3 R、マクラレーン720S GT3、BMW M6 GT3と各社のGT車両がズラリ。
迫力あるル・マンのレースシーン
このほかにもル・マンのレースシーン(撮影にはハンガロリンクが使用された)ではフランスの自動車メーカー、リジェのF1カーが多数使われている。
このうち、いくつかの車は同じものが2台用意されていて、撮影には65台が投入されたという。
また、これらの車の性能をキープするためにメカニックやコンピュータのテクニシャン等のスペシャリストを多数揃え、彼らを引き連れて世界のサーキット巡りをしている。そのチームの数は500人に上ったとか。
これらの車のドライビングは言うまでもなく一流のスタントドライバーたち。そして、主人公のマーデンボローを演じた新鋭の役者アーチ・マデクウィのスタントを請け負ったのはマーデンボロー自身だったというから驚きだ。
また、マデクウィのゲームの師匠となったのは元ゲームレーサーで、今はチームフェラーリのドライバーであるデビッド・ペレルというのも面白い。
マーデンボローを助け、二人三脚で成功を手に入れようとするチーフ・エンジニア、ジャック・ソルターや、GTアカデミーの発起人のひとりで英国日産のマーケティング担当のダニー・ムーアというキャラクターも登場しているが、このふたりは映画のオリジナル。
ソルターは、実在した何人かの人物を合わせて作ったキャラクター。ムーアのほうは実在の人物、日産ヨーロッパの幹部だったダレン・スコットにインスパイアされたキャラクターになっている。
■映画化のために集結したスタッフと俳優たち
中央がニール・ブロンカンプ監督。右前にいるのが、モデルとなったヤン・マーデンボロー本人で、スタントドライバーを務めている
イギリスのカーディフに暮らす青年ヤン・マーデンボローはプレイステーションのゲーム“グランツーリスモ”の大ファン。家から出ることもなく、日々、ゲームに興じている。元サッカー選手の父親はそんな息子がまるで理解出来ず、顔を合わせば口論という日々を送っていた。
そんなとき、彼にGTアカデミーからの招待状が届く。ヤンは自分の人生を変えるため、さらには父親との関係を修復するためにも、この困難なプロジェクトに参加する。
メガホンを取ったのは長編デビューを飾った『第9地区』(2009)でいきなりアカデミー作品賞や脚本賞にノミネートという偉業を果たしたニール・ブロンカンプ。これまで『エリジウム』(2013)、『チャッピー』(2015)等、SF映画ばかりを撮ってきた彼にとっては初のカーアクション映画であり人間ドラマになる。
主人公ヤン・マーデンボローを演じたのは『ミッドサマー』(2019)等のアーチ・マデクウィ。彼を支えるチーフ・エンジニアのジャック・ソルターにはNetflixのドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016~)でブレイクしたデビッド・ハーバー。
そして、ふたりにチャンスを与える英国日産のマーケティング担当、ダニー・ムーアには『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(2001~2003)で知られるオーランド・ブルームが扮した。
ゲームのグランツーリスモの生みの親で育ての親、クリエーターの山内一典はエグゼクティブ・プロデューサーとして参加。また、劇中では、ヤンがガールフレンドと訪れる東京の寿司屋の板前役でカメオ出演も果たしている。
映画『グランツーリスモ』
『グランツーリスモ』(原題:GRAN TURISMO: BASED ON A TRUE STORY)
・9月15日(金)全国の映画館で公開
・日本語吹替版テーマ曲:T-SQUARE「CLIMAX」
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