現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【スーパーカー黄金時代】デ・トマソ・パンテーラ、ポルシェ959、フェラーリ288GTO 後編

ここから本文です

【スーパーカー黄金時代】デ・トマソ・パンテーラ、ポルシェ959、フェラーリ288GTO 後編

掲載 更新 5
【スーパーカー黄金時代】デ・トマソ・パンテーラ、ポルシェ959、フェラーリ288GTO 後編

デ・トマソ・パンテーラGT5S

text:Greg Macleman(グレッグ・マクレマン)

【画像】パンテーラ、959、288GTOほか 全65枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ランボルギーニ・カウンタックもそうだが、ド派手なスーパーカーは、必ずしも1980年代生まれではない。デ・トマソ・パンテーラは、1970年代に生まれた1台だ。

クリーンなスタイリングを手掛けたのは、トム・ジャーダ。1980年代に向けて過激さを増し、最終的にはアグレッシブな見た目に至った。

パンテーラは、アルゼンチン生まれのアレッサンドロ・デ・トマソと、フォード社との共同プロジェクトで誕生したモデル。デ・トマソはフォード製5.7L V8エンジンの供給を受け、リンカーン・マーキュリー・ブランドのディーラーから販売する計画だった。

フォードは完成済みのスポーツカーが、手に入ると期待した。シボレー・コルベットに対抗できるモデルとして。

ところが届けられたパンテーラは生焼き状態。仕上がりは完全とはいえず、品質管理も褒められたものではなかった。

1975年にデ・トマソとフォードとの関係は終了。しかし改良を続けていたパンテーラは1980年代に入り、過激なスーパーカーへと進化した。GT5だ。

シャシーは再設計。初期のクリーンなスタイリングは、GT4を挟み、オーバーフェンダーと長いスカートをまとい攻撃性を高めていた。リアデッキにそびえる巨大なリアウイングも、ル・マン・プロトタイプとしては、まっとうな姿だ。

1980年代半ばになると、GT5はGT5Sへと発展。クリーブランド生まれのエンジンは、355psを獲得。最高速度は280km/hへ伸び、1990年代初めまで生産は続いた。

その後、マルチェロ・ガンディーニの手によるパンテーラSiが登場。それまでのパンテーラとは異なる容姿が与えられている。

ポルシェ959

過激さを増すグループBの争いは、エキサイティングなロードーカーを生み出した。1987年にグループBは終りを迎えるものの、959はその後のポルシェ911へ発展する中身を備えていた。

ポルシェの技術者、ヘルムート・ボットとディレクターのピーター・シュッツは、グループBで戦えるクルマを計画する。パワフルな四輪駆動モデルだ。

エンジンは、2849ccの24バルブ・フラット6。グループCとして、956や962に搭載されていたクワッドカム・ユニットがベース。ボッシュ製のインジェクションと、KKK製のシーケンシャルターボ2基で武装し、最高出力456psを得た。

ケブラーとアルミニウムを多用したボディシェルは、驚くほど強固で軽量。フロントノーズは、グラスファイバーで強化されたポリウレタンによる、一体成型だった。

最新技術満載の959は、F40と対極的な存在でもあった。中でも特に注目だったのが、知的な四輪駆動システム。

路面や走行状態に応じて、前後のトルク配分を変化。通常は40:60の割合で前後のタイヤを回したが、必要に応じてリアタイヤへ80%の力を伝えることも可能だった。

車高は、高速域で自動的にダウン。8本の油圧リンク・アクティブダンパーは、アンチロールバーを不要とした。

グループBが終わり、959はパリ・ダカール・ラリーに活躍の場を求め、性能を実証。もちろんロードカーとしても、記憶に深く刻まれている。

当時としては最も先進的なスーパーカーで、最高速度は317km/h。グループBのホモロゲーション・マシンは、今に続くハイパーカーのマイルストーンといっていい。

ロータス・エスプリ・ターボ

スーパーカーの影響は、ホットハッチやスポーツサルーンとして、大衆車にも落ちてきた。実用性も備えた手頃なジュニア・スーパーカーが、魅力はそのままに、より現実的な選択肢として登場した。

マセラティ・メラクやランボルギーニ・ジャルパ、フェラーリ308、アルピーヌGTA V6など。その中でロータス・エスプリは、特に輝く存在だったといえる。

ジウジアーロによるスタイリングで、1976年に誕生したエスプリ。ウェッジシェイプのボディはグラスファイバー製で、スチール製のバックボーン・シャシーが支えている。

ミドシップされるエンジンは、当初は1973ccの4気筒。車重は900kgと軽く、優れた操縦性を得ていたが、162psの最高出力は少年には物足りない数字だった。

1980年に登場した限定仕様のエセックス・ターボには、ドライサンプの910エンジンを搭載。ギャレット製のT3ターボで過給する。最高出力は213psに引き上げられ、0-97km/h加速6.1秒、最高速度240km/hを実現した。

ジウジアーロがデザインしたボディキットも、目を引くポイント。間もなく量産モデルへと展開し、ジュニア・スーパーカーとしてのイメージを確立していく。

1980年代末には、ピーター・スティーブンスの手による新しいスタイリングへ変更。ソフトなラインを採用し、初期のデザインが現代的に再解釈されている。同時に、シャシー剛性も高められた。

1989年になると、2174ccの4気筒エンジンはマルチポイント・インジェクションを獲得。インタークーラーも追加され、267psにパワーアップ。最高速度255km/hと、0-97km/h加速5.0秒を切る、スーパーカーに並ぶ性能を獲得した。

フェラーリ288GTO

規制の緩いグループBは、ポルシェを高ぶらせたように、フェラーリにも火を付けた。伝説の250GTO以来となる、グランツーリスモ・オモロガート、GTOの名が復活したのだ。

同じ1984年生まれのテスタロッサと違い、288GTOはサーキット走行が前提。マラネロのラインナップへ、モータースポーツ直結のクルマが加わった。

ベースはフェラーリ308だったものの、288GTOの生産開始と入れ替わるように、308の販売は終了。308と288GTOとの類似点より、相違点の方がはるかに多い。

ボディの基本的なデザインは似ているが、その内側にあるのはホイールベースが110mm伸ばされたスチール製のチューブラー・フレームシャシー。軽量なケブラーやコンポジット材が多用されている。

オールアルミのエンジンブロックも308譲りながら、288GTOでは大幅にパワーアップ。横置きだったレイアウトは縦置きとなり、エンジンの後ろにトランスアクスル・レイアウトでトランスミッションが載る。

クワッドカムのV8エンジンは、ピストンのストロークが1mm短くされ、排気量は2967ccから2855ccへとわずかに減少。この排気量は、FIAのターボ係数1.4を掛けると、グループBの4000cc以下のカテゴリーに適合できる大きさだった。

電子制御フューエル・インジェクションと、IHI製のターボを組み合わせ、最高出力は405psを獲得。車重は1100kgをわずかに超える程度と、ライバルより軽量だった。

288GTOは0-97km/h加速4.9秒、最高速度304km/hをマーク。直系の子孫となる、F40に肉薄する性能を備えていた。

こんな記事も読まれています

ランド・ノリスが0.02秒差で自身2度目のPP獲得。RBは揃って後方に沈む【予選レポート/F1第10戦】
ランド・ノリスが0.02秒差で自身2度目のPP獲得。RBは揃って後方に沈む【予選レポート/F1第10戦】
AUTOSPORT web
 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
ベストカーWeb
電動化の[新型ロードスター]でもこだわりたい”人馬一体”感!! でもやっぱり内燃機関でしょ!!!!
電動化の[新型ロードスター]でもこだわりたい”人馬一体”感!! でもやっぱり内燃機関でしょ!!!!
ベストカーWeb
スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7戦SUGOは小出峻がポール・トゥ・ウインで今季2勝目
スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7戦SUGOは小出峻がポール・トゥ・ウインで今季2勝目
AUTOSPORT web
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
AUTOSPORT web
角田裕毅、F1スペインGPは為す術なく19位がやっと「うまくいかなかった理由を理解すべく、全てを分析しなきゃいけない」
角田裕毅、F1スペインGPは為す術なく19位がやっと「うまくいかなかった理由を理解すべく、全てを分析しなきゃいけない」
motorsport.com 日本版
雨でびしょ濡れ! タッチパネルがめんどい! オッサンが最新式のクルマにキレる「ハイテクトラブル」急増中!
雨でびしょ濡れ! タッチパネルがめんどい! オッサンが最新式のクルマにキレる「ハイテクトラブル」急増中!
ベストカーWeb
ル・マンでサーキットの救急車に乗ることに! お土産は「カルフール」のレース関連グッズ、特にエコバッグがオススメです【みどり独乙通信】
ル・マンでサーキットの救急車に乗ることに! お土産は「カルフール」のレース関連グッズ、特にエコバッグがオススメです【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
“尋常じゃない上げ幅”のTEAM MUGENにどう対抗? セカンドロウの坪井翔&牧野任祐が得た手応え/第3戦SUGO
“尋常じゃない上げ幅”のTEAM MUGENにどう対抗? セカンドロウの坪井翔&牧野任祐が得た手応え/第3戦SUGO
AUTOSPORT web
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
AUTOSPORT web
F1 Topic:マクラーレンのモーターホームで火災発生。搬送者が出るなか、代表が被害状況把握に務める
F1 Topic:マクラーレンのモーターホームで火災発生。搬送者が出るなか、代表が被害状況把握に務める
AUTOSPORT web
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
AUTOCAR JAPAN
F1スペインGP決勝速報|フェルスタッペンがノリスとの接戦制す。RB角田裕毅は19位と苦戦
F1スペインGP決勝速報|フェルスタッペンがノリスとの接戦制す。RB角田裕毅は19位と苦戦
motorsport.com 日本版
フェルスタッペン、猛追ノリスを退け掴んだ今季7勝目に喜び爆発。角田裕毅は終始苦戦19位|F1スペインGP決勝
フェルスタッペン、猛追ノリスを退け掴んだ今季7勝目に喜び爆発。角田裕毅は終始苦戦19位|F1スペインGP決勝
motorsport.com 日本版
今見ても美しい!! 5ドアクーペルックのBMW3シリーズ320iグランツーリスモ試乗プレイバック
今見ても美しい!! 5ドアクーペルックのBMW3シリーズ320iグランツーリスモ試乗プレイバック
ベストカーWeb
豪華装備のダイハツ「アトレー」は街乗りもアウトドアも両立! ケイワークスならではのハイエンドマルチ軽キャンパーとは
豪華装備のダイハツ「アトレー」は街乗りもアウトドアも両立! ケイワークスならではのハイエンドマルチ軽キャンパーとは
Auto Messe Web
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
AUTOCAR JAPAN
ベントレー「ベンテイガ」に世界5地域からインスピレーションを得た限定シリーズが登場! マリナーが仕立てた極上旅を表現した5台とは
ベントレー「ベンテイガ」に世界5地域からインスピレーションを得た限定シリーズが登場! マリナーが仕立てた極上旅を表現した5台とは
Auto Messe Web

みんなのコメント

5件
  • 288GTO
    一番美しいフェラーリ
    (F40はカッコイイフェラーリ)
  • レギュレーションの変化に伴い、戦場を失ったフェラーリ。数奇な運命に翻弄されながらも、未だ世界中にファンを持つ珠玉の一台。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村