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BEV変革期の最前線にある キアEV6 GTへ試乗 ツインモーターで585ps 航続423km

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BEV変革期の最前線にある キアEV6 GTへ試乗 ツインモーターで585ps 航続423km

バッテリーは77.4kWh 航続距離は423km

最近はバッテリーEV(BEV)への試乗が日常化しているが、なかにはブランド自体の変革へ結びつけている自動車メーカーもある。その筆頭といえるのが、韓国のキアだ。

【画像】BEV変革期の最前線にある キアEV6 GT 欧州で競合するBEVクロスオーバーと比較 全187枚

キアEV6は欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝き、一躍注目を集める存在になった。優れた技術とデザイン、価格というコンビネーションで競合メーカーを抜き去り、その存在感を強く示している。ヒエラルキーの枠を超えて。

今回試乗したEV6 GTは、その競争をさらにアシストすることになりそうだ。トップグレードに当たる高性能仕様は、通常モデルから頭ひとつ飛び出た仕上がりを獲得している。ライバルメーカーにとっては、喜ばしいニュースではないだろう。

駆動用バッテリーの容量は77.4kWhで、標準のEV6と変わらず。上級ブランドのモデルが搭載するものと比べれば若干小さい。航続距離は423kmがうたわれ、これも驚くような数字ではない。

だが、駆動システムは電圧800Vという高性能なもので、233kWという急速充電能力には眼を見張る。相応に高性能なDCの急速充電器に接続できれば、最短18分で10%の残量から80%まで回復させることができる。

タイカン 4Sより安く、パワフルで速い

EV6 GTの基礎骨格をなすのは、ヒョンデ・モーター・グループが開発した先進的なE-GMPプラットフォーム。車重は2165kgと、このクラスのBEVとしては軽量だ。

ツインモーターによる最高出力は585psで、0-100km/h加速を3.5秒でこなす。スーパーカー級の加速力といえる。ポルシェ・タイカン 4Sより英国では2万5000ポンド(約417万円)も安いモデルにも関わらず、よりパワフルで速い。

そんなEV6 GTだが、スタイリングの変更は限定的。21インチの専用アルミホイールと、形状に手が加えられたバンパー程度となる。テールゲート上のスポイラーは、通常モデルのEV6 GTラインSと同じものだという。

インテリアでは、新しいスウェード仕立てのセミバケットシートを獲得。ステアリングホイールのスポーク部分には、エコ、ノーマル、スポーツから選べる通常のドライブモード・セレクターの反対側に、GTモード用のスイッチが付いた。

ハードウエアのアップグレードとしては、2基の永久磁石同期モーターが主役。先進的なシリコンカーバイド半導体を用いたデュアルステージ・インバーターを搭載し、リア側の駆動用モーターは367psを発揮するという。難しい話だが。

フロントの駆動用モーターは、218ps。穏やかな走行時は、効率を高めるために駆動系から切り離すことを可能としている。

制御技術を誇示するドリフト・モードも

BEVでは一般的だが、システム合計の585psを発揮したフル加速を味わえるのは、最もアグレッシブなドライブモードを選んだ場合のみ。EV6 GTではGTモード時となる。ノーマルとスポーツ・モードでは466ps、エコ・モードでは292psを引き出せる。

EV6 GTでは、アクセルレスポンスを穏やかにチューニングしたとキアは説明する。確かに、GTモードでも発進直後や緩やか。エコ・モードではワンテンポ置くような印象を受ける。

それでも、驚くほど速い。モードを問わず、アクセルペダルを踏み込めば強力な推進力が生まれる。見た目はクロスオーバー風のEV6だが、EV6 GTの走りはマッスルカー的だ。

乾燥した路面でも、GTモード時は右足の操作次第でリアタイヤがトラクションを失いかける。必要なトルクを左右のタイヤへ分配できるリミテッドスリップ・デフを装備し、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sタイヤを履いていても。

このGTモードには、BEVとしては珍しくドリフト・モードも備わっている。車重2tを超えるEV6 GTで、派手に白煙を巻き上げるパフォーマンスを楽しみたい人は限定的だろう。恐らく、キアの駆動用モーターの制御技術を誇示するためだと思う。

試乗では滑りやすい路面のスキッドパンで、実際に試してみた。システムが巧みにトラクションを制御し、狙い通りにドリフト状態を維持できた。かなり深いアングルで。

操縦性も乗り心地の快適性も優秀

アクティブLSDは、カーブの連続する区間でラインを保ち、安定性や流暢さを高める方向に設定が振られている。トルクを左右のタイヤ間で分配し、リア寄りの操縦特性を活かすことで、鋭い身のこなしを披露するよりも。

サスペンションは引き締められているが、ソフト寄り。ノーマル・モードを選んでいると、コーナーリング時のボディロールは小さくない。

アダプティブダンパーをハード側に調整しても、しなやかさは残る。乗り心地の洗練性は秀でており、かなりの高速域でも長距離を快適に移動できるだろう。

ステアリングはダイレクトで、反応はリニア。恐らく、グリップ力に長けたタイヤの恩恵だ。ただし、電動パワーステアリングはドライバーの望むフィードバックを消している。GTモードを選んでも、ステアリングは重くなるだけに過ぎない。

回生ブレーキは、ステアリングホイール裏のパドルで強さを調整でき、制御具合も良好。一方で、ブレーキペダルは重め。回生ブレーキから摩擦ブレーキへの移行は好感触だが、極低速域からの減速時には急に止まるような感じを受けた。

いずれにしても、EV6 GTの操縦性は優秀。キア・スティンガーGT-Sの落ち着きのある動的能力を、BEVへ与えることに成功している。

BEV変革期の最前線を歩むキア

EV6 GTの英国価格は、6万1595ポンド(約1029万円)。僅かな弱点も気にならなくなるほど、訴求力は高い。キアとしては、英国で販売する最も高価なモデルになるが、新しいステージへステップアップできていることは間違いない。

通常のEV6 GTラインSと比べると価格差は5725ポンド(約96万円)で、アップデート内容を考えれば妥当。しかも、エアコンには効率の良いヒートポンプ式を採用している。

通常のEV6でも、実用性と動力性能、価格というバランスは優秀。このクラスのベンチマークと評価していい。さらにEV6 GTは、その強みを一層高めている。

確かに、ポルシェ・タイカンやメルセデス・ベンツEQCを考えている人が、キアEV6 GTを比較対象に並べる可能性は低い。しかし、そうする価値は間違いなくあると思う。

自動車業界は、BEVへの変革の道を突き進んでいる。その最前線を歩んでいるのが、韓国のキアといえそうだ。

キアEV6 GT(欧州仕様)のスペック

英国価格:6万1595ポンド(約1029万円)
全長:4680mm
全幅:1880mm
全高:1550mm
最高速度:259km/h
0-100km/h加速:3.5秒
航続距離:423km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:2165kg
パワートレイン:ツイン永久励磁同期モーター
バッテリー:74.0kWhリチウムイオン(実容量)
急速充電能力:233kW
最高出力:585ps
最大トルク:75.2kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

5件
  • スゲーな。圧倒的なスペック。
    安全性さえ担保されればバッテリー大量に積んで無敵。
  • KIAチャレンジがんばれ。 燃料切れ、いらなくなれば道端放置。 海外のインタビュー、話し聞いた人目が点になるのが面白い。これを呆気に取られたときの顔と言うんだと言える映像だった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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