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真っ白なタイヤの正体とは? 地味に凄いブリヂストンのJMSブース

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真っ白なタイヤの正体とは? 地味に凄いブリヂストンのJMSブース

 この記事をまとめると

■ジャパンモビリティショー2023が開催中

【今さら聞けない】タイヤの溝に挟まった小石は取るべき?

■ブリヂストンブースの見どころを紹介

■中央に展示された白いタイヤは月面探査車用だ

 月面探査車用のタイヤは金属製!

 広いブースの中央にはeモータースポーツの体験型プログラム、『Bridgestone eMotorsport Institute』用のドライビングシミュレーターが置かれ、それを取り囲むようにタイヤにまつわるさまざまな展示が行われるのがブリヂストンブースだ。

 真っ先に目に入るのは、透明なアクリル板に囲まれるようにディスプレイされた“黒くない”タイヤである。そう、このタイヤは“月を往くランドクルーザー”、トヨタとJAXAが共同で開発を進める月面探査車、ルナクルーザー用のもので、なんと金属製だ。何ゆえに金属製かと言えば、月面はマイナス170度から120度と寒暖(温度)差が激しく、さらに高エネルギーの放射線が降り注ぐため、ゴム製タイヤは長期、長距離使用すると崩壊してしまうという。

 だからといって、タイヤというぐらいだからちゃんと「たわむ」というのがポイント。まったく想像もつかない領域の話だが、月面は非常に細かい砂地で覆われており、あまり接地面圧が高いとタイヤが砂に埋まりスタックしてしまうため、ダブルタイヤ化して接地面圧を分散させているという。その昔見たアポロ16号の月面探査車のタイヤは黒く、シングルタイヤだった気もするが、果たしてあの月面探査車はどのくらい走れたのだろうか……。

 黒くないタイヤの奥には、タイヤのカットモデルが置かれている。とはいっても、サイドウォールの剛性がどうだのという話のためではなく、遥か昔からアイディア自体はよく見聞きするものの、なかなか街往くクルマに装着されることのないインホイールモーターを見せるためのもの……ではなく、見せたいのは路面に設置された送電コイル(電線)から、タイヤの接地面を通じてインホイールモーターに給電するための仕組みだ。

 電車が送電線とパンタグラフからではなく、電気の流れる線路から車輪を介して給電できるようなもの(おそらくそんなものはないが)をイメージするといいかもしれない。ただ、そうなると道という道にすべて送電コイルを敷設する必要が出てくるが、実際はたとえば交差点でクルマが停止するような位置に送電コイルを埋め込んで、アイドリングストップの代わりに短時間で急速充電するようなものが実用化にもっとも近いのかもしれない。電池の容量を増やして航続距離を延ばすより、こまめに充電できればむしろ電池の容量は減らせる上に、車体も軽量化できる、というのがメリットのひとつとして挙げられる。

「BCMA」に関する展示にも注目

 昨今は携帯の充電器などで、有線で繋がなくても充電できるものがあるが、考え方としてそれに近い。ただ、決定的に違うのは、金属製のインホイールモーターをそのまま路面に接して走らせるのは、乗り心地はもちろん、インホイールモーター自体を破損させてしまう可能性が高いため、路面(送電コイル)とモーターの緩衝材となるタイヤを挟む必要がある点だ。

 路面から発せられた電力は、タイヤ内とホイール内側に巻かれた中継コイルを介してホイール内側の受電コイルに送られる。つまり、コードなどを介して電気が送られるのではなく、磁界を発生させることで電力を伝送する仕組みで、これをワイヤレス給電と呼ぶ。ただ、このワイヤレス給電の仕組み自体は、種々企業の合同作業であって、ブリヂストンが担当するのは“タイヤというフィルター”を通して、いかにクリアな電力を中継コイルに送るかという部分である。

 ここで一番重要となってくるのはタイヤの構造材だという。ご存じのように、現在の市販車用のタイヤはほとんどがスチールベルテッド、つまりタイヤの真円性や剛性を保つために金属ベルトが編み込んであるが、これに電力を通そうとすると、電子レンジであやまって金属製品を入れたときのように火花がバチバチと起き危険極まりないそうだ。そこでこの展示の本題であり、ブリヂストンのアピールポイントにようやくたどり着く。ブリヂストンは金属ベルトのかわりに、企業秘密だという、“有機素材”で出来たベルトの開発に成功して、十分なタイヤ剛性と通電性を確保し、それが大きなブレークスルーになったというわけである。

 そしてもうひとつ注目したい展示が、「BCMA(Bridgestone Commonality Modularity Architecture)」に関するものである。クルマ自体にはすでに各メーカーが導入しているモジュール設計――少数のプラットフォームを用意し、それに用途に合わせたボディやドライブトレインを架装して、多車種を作り分けることで、多様化するニーズに低コストで対応できる――をタイヤに置き換えたもので、タイヤの骨組みとなるカーカス、補強帯にあたるベルト、表面のトレッドの3つのモジュールに集約し、これらをシェアしたり、作り替えたりすることでさまざまな性格や性能、用途などに対応するタイヤを、毎回イチから設計することなく作り分けられるのだという。これによって開発を効率化でき、安く早く良いタイヤを提供できるというわけである。

 いつものタイヤ論議から離れて、タイヤから考えるモビリティの未来、決して派手な展示ではないが、ブリヂストンブースを訪れてみて損はないはずだ。

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みんなのコメント

2件
  • 表現にインパクトを持たせたいのはわかるんだけど、、、
    真っ白…と言うと語弊があるからグレーとかにしたら?
  • 文章構成が下手すぎるよ。
    月面探査車のくだりから路面給電に移っていく話の境目が分かりにくい。読んでたらいつの間にか別の話を聞かされてた感じ。

    いちおうプロだろ? こんなポエム晒して恥ずかしくないのか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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