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還暦を迎える英国の名車 BMC ADO16を振り返る モーリス1100/MG1100 後編

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還暦を迎える英国の名車 BMC ADO16を振り返る モーリス1100/MG1100 後編

ライレーの最後を飾った1300 MkII

1962年の登場以来、ADO16シリーズの排気量は1098ccのままだったが、1967年6月にBMCはシングルキャブレターの1275cc版を導入。MGとライレー、ヴァンデンプラ、ウーズレーの4ブランドに1300を設定した。

【画像】誕生から60年 ADO16シリーズの8台 その先輩といえるモーリス・ミニ・マイナーも 全75枚

さらに1967年10月、MkIIへのマイナーチェンジに合わせて、オースチンとモーリスにも1300が登場。1968年4月にはMGとライレー、ヴァンデンプラ、ウーズレーのエンジンはツイン・キャブレター化された。

1968年末になると、MGとライレーは71psへパワーアップ。クロスレシオのトランスミッションも設定されている。

この頃にはブランド間の違いが一層ややこしくなるものの、ポール・ル・ブリック氏が所有するスカイブルーのライレー1300 MkIIが魅力的なことに変わりはない。当時の英国価格は955.6ポンドで、ADO16シリーズとしては終わりから2番目のモデルになる。

戦前のライレーに通じるような、伝統的な雰囲気を残している。同時に、ミニ・クーパーより広い車内空間を求めるドライバーにも響く内容といえた。

「私のクルマは最後に作られたMkIIの1台。ライレー・ブランドの最後の1台でもあります」。と、ル・ブリックが話す。1969年7月、英国の自動車史で最も古いブランドの1つが、BMCとレイランドの合併で犠牲になった。

1969年10月には、オースチン1300 GTが登場する。しかし、ライレー・ブランドと基本的なコンセプトが異なり、よりスポーティなポジショニングだった。並行して、モーリスのエンブレムが付いた1300 GTもリリースされた。

簡単に100km/h近くまで加速できる1300 GT

1300 GTの特徴だったのが、マットブラックに塗られたフロントグリルとビニールレザー張りのルーフ、ローダウン・サスペンション、ビニールレザー張りのアルミ製ステアリングホイールなど。ラリー風のインテリアも、ドライバーを喜ばせた。

英国価格は909.13ポンドと、内容を考えればお手頃でもあった。TUJ 214Hのナンバーを付けたフレイム・レッドのオースチン1300 GTも、そんな1台。複数のコンクールで受賞するほど状態も良い。

テリー・ウォーラー氏は2012年9月に購入したという。「基本的に、もともと状態は良かったんです。運転しやすく、アクセルペダルを踏めば簡単に100km/h近くまで加速できます。とても快適ですよ」。ブラックとシルバーのホイールキャップも珍しい。

ここまで7台をご紹介したADO16シリーズだが、海外の工場で作られたクルマも欠くことはできないだろう。そこでオースチン・アパッチにもご登場願った。

南アフリカ側のレイランドの働きかけで誕生したアパッチは、ADO16の後継モデル、ADO22の前触れといえる内容だった。1.3Lエンジンはロンドンの南、ブラックヒース工場で製造されている。

アパッチは1973年にマイナーチェンジを受けMkIIへ進化し、ツインキャブレター仕様のTCも追加された。生産は1977年まで続けられ、ADO16シリーズの幕を閉じている。

ブラックのボディにホワイトのルーフを備えた1976年式オースチン・アパッチ MkIIは、イアン・クリーズ氏がオーナー。トライアンフ1300や2000 MkIIと、見た目の雰囲気が似ていることが面白い。

消費対象として見られたADO16シリーズ

クリーズは、2016年にインターネット上で売りに出ているのを発見した。1994年からロンドンのガレージに放置されており、状態は良くなかったらしい。

「英国製ADO16の1300モデルと同じように走ります。エンジンの圧縮比が高くエグゾースト系は太く、SUキャブレーターはワンサイズ大きいので、より活発です」。と、特徴をクリーズが教えてくれる。

「アパッチで自動車イベントに参加していますが、いつも多くの注目を集めます。そこで、スペックや概要をまとめたパネルを用意しています」

ADO16シリーズは、英国では1974年6月19日に生産が終了している。述べ225万757台がラインオフしたが、現存する個体は非常に少ない。多くが、酸化という科学現象から逃れられずにいた。価値の低い時代に、手荒く乗られた例も少なくない。

人気を獲得し街に溢れていたぶん、冷蔵庫や洗濯機などのように消費対象として見られていたことが、1番の問題といえた。その結果、今回集まった8台は希少価値の高いクラシックカーになっている。

BMCは、ディーラー網のナフィールド・グループ社の不満を抑えるため、モーリスというブランドを立ち上げたとされている。しかし10年が経過してもディーラーの統合は進まず、ブランドのアイデンティティは混乱していった。

それでも優れたADO16は、その状況を一時的に乗り越えるだけの実力を備えていた。1962年の英国では、横向きエンジンで前輪駆動のコンパクトカーとして唯一の存在だった。登場から60年を迎えるが、誕生への感謝の気持ちは強まるばかりといえる。

協力:ザ1100クラブ、BMWミニ・ペイント・オックスフォード社

ADO16シリーズ(1962~1974年) 主要モデルのスペック

販売台数:225万757台(ADO16シリーズ合計)

モーリス1100(英国仕様)のスペック

英国価格:695.7ポンド(新車時)/6000ポンド(約99万円)以下(現在)
全長:3675mm
全幅:1534mm
全高:1339mm
最高速度:126km/h
0-97km/h加速:22.2秒
燃費:22.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:827kg
パワートレイン:直列4気筒1098cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:48ps/5100rpm
最大トルク:8.2kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

MG 1100(英国仕様)のスペック

英国価格:713.9ポンド(新車時)/1万2000ポンド(約198万円)以下(現在)
全長:3675mm
全幅:1534mm
全高:1339mm
最高速度:143km/h
0-97km/h加速:18.4秒
燃費:18.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:838kg
パワートレイン:直列4気筒1098cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:55ps/5500rpm
最大トルク:8.4kg-m/2500rpm
ギアボックス:4速マニュアル

ライレー1300 MkII(英国仕様)のスペック

英国価格:955.6ポンド(新車時)/8000ポンド(約132万円)以下(現在)
全長:3727mm
全幅:1534mm
全高:1339mm
最高速度:160km/h
0-97km/h加速:14.1秒
燃費:18.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:821kg
パワートレイン:直列4気筒1275cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:71ps/6000rpm
最大トルク:10.6kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

オースチン1300 GT(英国仕様)のスペック

英国価格:909.13ポンド(新車時)/9000ポンド(約148万円)以下(現在)
全長:3708mm
全幅:1534mm
全高:1359mm
最高速度:154km/h
0-97km/h加速:14.5秒
燃費:18.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:855kg
パワートレイン:直列4気筒1275cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:71ps/6000rpm
最大トルク:10.2kg-m/3250rpm
ギアボックス:4速マニュアル

オースチン・アパッチ MkII(南米仕様)のスペック

英国価格:8000ポンド(約132万円)以下(現在)
全長:4060mm
全幅:1530mm
全高:1350mm
最高速度:141km/h
0-97km/h加速:18.8秒
燃費:18.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:844kg
パワートレイン:直列4気筒1275cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:63ps/5250rpm
最大トルク:9.6kg-m/2500rpm
ギアボックス:4速マニュアル

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