12月3日、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットでF1全10チームが活動を再開し、2日間にわたるピレリタイヤのテストに参加した。
このテストの焦点は、ピレリが提案する2020年向けコンパウンドを、より実地に近い状況で体験できる機会をチームに与えることにある。アメリカGPのフリー走行中にサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われたトライアルの後、このコンパウンドには大きな批判が寄せられていた。
メルセデスが最速。フェラーリのベッテルにトラブルとアクシデント発生/アブダビF1タイヤテスト デイ1
今週のテスト初日が終了した段階では、来季F1において、2020年型コンパウンドを採用すべきか、もしくは代わりに今年のコンパウンドの使用を続けるべきなのか、各チームは明確な意見を表明しておらず、テストが貴重なデータ収集の機会となったと述べるにとどまっている。しかし新しいタイヤに関してネガティブな感想を述べるドライバーも一部存在した。
「今日は非常に生産的な一日になった。750km以上を走行したよ」とメルセデスのバルテリ・ボッタスは語った。ボッタスは138周を走行し、1分37秒124のトップタイムを記録した。
「2020年タイヤについて学んでいる。今年のタイヤと比べてどうなのかといったことをね」とボッタスは続けた。「チームが今後数週間にわたって分析する多くのデータを集めた」
ボッタスは、「この新しいタイヤからこれ以上良いものは見つからないと感じた。そう言わざるを得ない」とも語った。
「古い方より少し遅いという印象すら受けた。挙動は同じ感じだけどね」
「多忙な一日だった」とチーフレースエンジニアのアンドリュー・ショブリンは付け加えた。「バルテリは新タイヤについて良いフィードバックを返してくれた」
「新旧のタイヤの違いを理解するために多くのデータを吟味する。何かしらの結論を引き出す前に、そうした作業を行わなければならないだろう」
投光照明の下で開催された日曜日のレースとは違い、テストは砂漠のなかで照りつける日中の太陽の下で行われている。そのことがエンジニアが作業を行うにあたって、複雑な要因となっている。
「日中のテストは非常に難しい。ほぼ毎周回でコース温度が変化するので、分析するうえでこの要素を考慮する必要がある」とショブリンは認めた。
■チーム代表者らは「2020年のタイヤについてはまだ分析中」とのみ語る
テスト2日目にメルセデスに乗るジョージ・ラッセルは、初日は自身が所属するウイリアムズで走行、午前中に87周を走行し、その後はロイ・ニッサニーと交代した。
「生産的な走行ができた」とラッセルは語った。「僕たちは5セットの2020年タイヤで走行し、有用な情報を集めた。これは来シーズン、役に立つことだろう」
ウイリアムズのシニアレースエンジニアのデイブ・ロブソンは「ジョージはコース上で混乱に巻き込まれることもなく、午前中に順調な走行をした」と語った。
「ピレリが提案した2020年タイヤを詳しく調査する機会になった。2019年タイヤをベースラインとして使用し、様々な2020年のコンパウンドとともに一連の比較走行を完了した」
「新タイヤのポテンシャルを最大限に引き出そうとするなかで、ショートランとロングラン双方のパフォーマンス評価を行うことができた」
マクラーレンでは、ランド・ノリスが今シーズン最後となるMCL34での走行を行った。
「今日は生産的な一日で、多くの走行距離を達成することができた。それにチームも僕もたくさんのことを学んだよ」とノリスは語った。「これはピレリのテストだから、当然ながら今日は多くのタイヤを試した」
「僕たちは(2019年と2020年のコンパウンドを)照らし合わせて比較を行った。短距離のパフォーマンス走行だけでなく、ロングランにも取り組んだ。タイヤを比較できるようにマシンの方は何も変えずにね」
チームのパフォーマンスディレクターを務めるアンドレア・ステラは、ピレリ提案の2020年新コンパウンドへの変更を支持するかどうか明言しなかった。
「我々は2020年の候補タイヤを理解し、2019年タイヤと比較するためのプログラムの作業を開始した」とステラは語った。「非常に貴重な情報を入手したと思う」
■「オーバーヒートやマネジメントの難しさは変わっていない」とグロージャン
ハースで146周の走行を終えたロマン・グロージャンは、火曜日に彼とチームが達成した進歩に満足していた。一方、試用した2020年のコンパウンドについて、グロージャンははっきりとした言及を避けた。
「話すには早すぎる。でも本当に問題であるわけはないだろう?」とグロージャンは語った。
「今聞かれても僕には分からない。コースによっては、どちらがいいか教えられるかもしれないけれどね。1年間開発した後では、『間違いなく、2020年版でレースをする』と言いたいところだね」
グロージャンは、ピレリの2020年型タイヤの評価をするうえで2019年型マシンを使うのは、理想的な状況ではないと認めている。
「公平を期すために言えば、フロアとタイヤシールはあのタイヤの構造向けに作られてはいない」とグロージャン。「だから慎重に判断する必要がある」
「僕に言えることは、全体的な傾向として、スティントの間に対応しなければならないオーバーヒートやマネジメントの問題は今も存在するということだ」
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