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【F1チーム代表の現場事情:マクラーレン】破綻の危機からチームを救出、ついにタイトルに導いたブラウンの歓喜の日

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【F1チーム代表の現場事情:マクラーレン】破綻の危機からチームを救出、ついにタイトルに導いたブラウンの歓喜の日

 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、最終戦アブダビGPで26年ぶりのコンストラクターズ選手権制覇を成し遂げたマクラーレンのCEOザク・ブラウンに焦点を当てた。

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【F1チーム代表の現場事情:レッドブル】ホーナーが過ごした激動の3連戦。マクラーレンとコース外でもせめぎ合い

 シーズン最後の3連戦は、多くのチーム代表が、選手権の順位やドライバーラインアップなどに関連する、さまざまな課題を抱えていた。たとえば、RBのローレン・メキーズは、ドライバーの将来についての憶測に対応しなければならなかった。レッドブルがセルジオ・ペレスの後任を探すなかで、角田裕毅とリアム・ローソンのどちらが選ばれるのか、ということに注目が集まっていたからだ。

 もちろんレッドブル代表クリスチャン・ホーナーにも同じ質問が殺到していたが、彼にはそれとは別の問題もあった。アブダビGPの週末に、メルセデス代表トト・ウォルフから攻撃を受け、「やかましい小さなテリア」と呼ばれるという一件があった。

 ウォルフはその前のカタールで、ホーナーがジョージ・ラッセルを「ヒステリック」と表現したことに腹を立てていた。ホーナーは、ラッセルが無線でタイヤ選択について不満を述べる態度についてこう表現したのだが、同時にこれは、ラッセルとマックス・フェルスタッペンの間の揉め事にも関連していた。カタールの予選でラッセルの発言が影響してペナルティを科されたと考えるフェルスタッペンが激怒し、ラッセルもこれに反論、激しい言葉の応酬が繰り広げられたのだ。アブダビで緊迫した状況のなか、ウォルフはラッセルを擁護し、「やかましい小さなテリア」発言が出たわけだ。

 そんなふうに感情を爆発させるチーム代表がいるなかで、難しい状況下にありながら、苦労して冷静さを保ち、友好的にふるまおうと努めているチーム代表がひとりいた。それはマクラーレンCEOのザク・ブラウンだ。

 ブラウンは、2016年末にマクラーレン・レーシングのCEOとしてチームに加わって以来、ジェットコースターのような経験をしてきた。当時、チームはパフォーマンス面でも財政面でも非常に苦しい状況にあった。

 当時、状況がどれほど悪化していたかについて、外部には正確には伝わっていなかった。しかし、マクラーレンが1998年以来初のコンストラクターズ選手権を目指してフェラーリと直接対決していたアブダビGPの週末にブラウンが明かしたところによると、2020年代初頭には、チームは破綻寸前だったという。一時は資金の注入がなければ、数カ月のうちにチームが消滅するかもしれない状況だったと、ブラウンは述べている。

 ブラウンは、そんな状況から、健全な財政基盤を築き上げ、その結果、今のマクラーレンは収益を上げている。それだけでなく、ブラウンは、コース上のパフォーマンスを向上することにも成功した。

 チーム代表アンドレア・ステラの下、マクラーレンはコンストラクターズチャンピオンの本命として最終戦に臨んだ。有利な状況とはいえ、レースでは何が起こるか分からないため、土曜日の予選を前に、ブラウンは非常に緊張していた。

 それはブラウンが経験したことがない状況であり、彼自身、そういう場面を迎えることができるのは早くて2025年だろうと予想していた。マクラーレンのこの数年の進歩は急速であり、この状況にどう対処すべきか、戸惑う彼は、アメリカの他のスポーツ界のスターたちにもアドバイスを求めた。

 彼らからは、緊張を感じるのは当然のことであり、冷静でいることはほぼ不可能だと言われたという。土曜日と日曜日のブラウンを見ていると、それが事実であることは明らかだった。彼は笑顔をたたえていたものの、懸命に努力してそれを維持していたのが伝わってきた。彼にとってうれしい瞬間、興奮する出来事がありながらも、不安な瞬間もあった。たとえばマクラーレンがフロントロウを独占した後だ。

 その瞬間は決勝スタート直後に訪れた。オスカー・ピアストリがフェルスタッペンにスピンさせられて、後方にポジションを落とし、マクラーレン全体へのプレッシャーが最高潮に達した。しかしランド・ノリスはうまくレースをコントロールし、見事に優勝を飾り、マクラーレンの勝利が確定した。

 ブラウンはすぐさま祝賀会をスタート、まずはガレージ内でシャンパンで乾杯をした後、ブラウンはすぐにグラスを置いて、ボトルで飲みたいと言い出した。チェッカーフラッグからわずか30分後、ブラウンは声を枯らしながら、祝賀を翌週まで続けると宣言、マクラーレンにとって久々の快挙は、それだけ盛大なお祝いに値すると述べた。

 もちろん、ブラウン自身も、この快挙と祝賀に値する仕事をした。マーケティング上の専門知識でチームを支え、F1部門がコース上で成功を収めるための正しい体制を作り出したのが、彼なのだ。それによって、2024年のマクラーレンはとてつもない成果を達成した。


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