もそもCBF125Rとはどんなバイクなのか?
この最新スポーツネイキッド風のデザインでまとめられた「CBF125R」は中国で現地生産・現地販売される125ccバイクである。製造を行うのは、中国における現地法人(合弁企業)「新大洲本田」だ。
エンジンは最高出力10.5馬力を発揮する125cc空冷OHC2バルブ単気筒で、ボア×ストロークは52.4mm×57.8mm。車両重量は130kgで、最高速は96km/hと発表されている。
日本では教習車用のみとしてホンダにより輸入販売されているほか、欧州などでも販売されている海外向けモデルCB125Fの進化版的存在である。
【画像ギャラリー】CBF125Rのスタイリング、装備を写真でチェックする(12点)
余談だが、「CB125F教習車仕様」は2015年から発売され、小型限定普通二輪免許……いわゆる原付二種クラスの教習車として活用されている。
CB125F自体は通常の公道モデルとしての販売はなく、「教習車仕様」が教習所用途のみに販売されている。生産は中国の「五洋-本田」で行われ、本田技研工業が輸入を行う形だ。
CBF125Rに話を戻すと、台形型のLEDヘッドライトを採用し、フロントまわりのデザインは少し前に日本でも販売されていたスポーツネイキッドモデル「CB650F」にも似た立体的な造形だ。アナログ式メーターを採用しているCB125Fに対し、CBF125Rはフルデジタルの液晶メーターを採用している。
乗車姿勢は上体が気持ち前傾する程度で、ステップ位置は比較的前寄りだ。現在日本で販売されている125ccクラスのスポーツモデルと比べると実用指向が強いが、その分ラクであることは確か。
シート高は760mmで足着きは抜群(国内正規販売されるホンダCB125Rの815mmより55mmも低い)。それでいてシートは座面が広く、クッションも十分な厚みがあるので、長距離走行も疲れずこなせるだろう。
航続距離500kmも不可能ではないCBF125Rの燃料タンク
燃料タンク容量は125ccクラスでは最大級とも言える13Lで、信号待ちなどではガソリンの揺れが車体にも伝わってきて、その量の多さを実感する(慣れれば別にどうということはない)。
リッター当たり40km前後走るとして、500km近く無給油で走れることになる。
中国では旧正月の春節(2020年は1月24日~30日)になると、日本の比ではない大規模な民族大移動、帰省ラッシュを迎える。鉄道などの切符は入手困難になることから、125cc~150ccのバイクで数百~1000km以上の道乗りを、寒さに耐えながら夫婦タンデムまたは親子3人+お土産などの荷物を満載して「鉄騎大軍」と呼ばれる群れをなして帰省する例も多いという。
大変さが容易に想像できるその行程を「ツーリング」と呼ぶのはばかられるが、そうした場面でこの大容量タンクが活躍するのだろう。
日本で普段走るルートが決まっていて給油場所にも困らないのであれば、給油量を8Lくらいに留めておくのも手かもしれない。それでも約300kmは走れるし、軽量化による燃費向上も期待できる。
CBF125Rの走りはどんなキャラクター?
パワーの出方は低回転域から極めてフラットで、5速40km/hでも平然と走れるし、60km/hでも回転フィールが滑らかで振動は皆無といっていい。この付近で長時間走っても問題はないだろう。
エンジンのレッドゾーンは9000回転からとなっており、5速60km/h弱で回転計は5000回転付近を示す。
ホイール径はこの手の実用モデルでは定番の前後18インチ。
現代のスポーツバイクの定番である17インチホイールに慣れた人だと小回りが効かないと感じる人もいるかもしれないが、前後18インチのホイール径は直進安定性や運動性、悪路への対応力に優れている。
CBF125Rも、多少の荒れた路面くらいはのともしないしっかりした安定感と、ヒラヒラとした運動性を両立させた申し分のない好バランスの走りを見せてくれた。
なおフロントブレーキは片押し2ポットキャリパーのディスク式だが、不整地でも簡単にロックしないような設定になっており、スクーターや本格ロードスポーツ車のようにガツンとくるような効きではない。
普段CG125を愛用している筆者は個人的に何ら不満を感じなかったが、こういった「緩い」設定のバイクに慣れてない人は、普段から前後ともしっかり作動させるクセをつけたほうがいいだろう。
多機能デジタルメーターをはじめ、実用装備も豊富なCBF125R
装備はかなり充実しており、メーターは速度計、回転計はもちろんのこと、燃料計、ツイントリップ、ギヤポジションなどを表示する多機能なもの。時計も組み込まれており、日常用途でうれしい装備だ。メインキー部には盗難抑止用のシャッター付も付いている。
リヤのグラブバーには荷掛けフックが1対装備されるほか、リヤサスペンションはプリロードを5段階に調節可能で、センタースタンドも装備されている。足りない装備を挙げるとしたら、ヘルメットホルダーくらいだ。
125ccのマニュアル車で国内正規販売されるモデルと言えば、ホンダCB125R(45万6500円)やスズキGSX-S125(36万800円)などがある。本格スポーツモデルと呼ぶにふさわしい内容で、ABSなどの安全装備も充実しているが「気軽なアシとして使うなら、そこまで気合いを入れなくとも」という人には、それらの約半値で流通しているCBF125Rはいい選択肢になるだろう。
(国内メーカーの正規販売車ではなく、あくまで中国からの「輸入車」としての流通)
CBF125Rにもっとも性格が近いのはヤマハの中国生産モデル(海外向け)「YS125」で、スペック、価格に至るまでほぼ同格。YS125は14L燃料タンクを装備するが、ヘッドライトが普通のバルブ式でシート高が785mmと少し高く、時計は未装備となる。
中庸なエンジン特性で、普段使いにもツーリングにも使いやすい
特にこのクラスのバイクは高回転型か低中速重視型かで日常域での出足やスピードの乗り方がだいぶ変わるため、最高出力が高ければOK、とは一概に言えない。
例えば高回転型は最高速度が伸びる反面、市街地ではこまめに変速しつつ、信号ひとつおきに上まで引っ張らなければならない場面も出てくる。それはそれで面白い要素ではあるものの、頻繁だと結構疲れてしまう。
一方、超低中速域重視型は(別の記事で紹介したCBF125Tがまさにそうした特性のバイクだ)市街地が楽な反面、巡航がきつくなる。
そういった点において、CBF125Rはじつに中庸的な設定で好感が持てる。日常の足から長距離ツーリングまで、幅広く活躍してくれるに違いない。
ホンダCBF125R諸元
【エンジン・性能】
空冷4ストローク単気筒 総排気量124cc 最高出力7.7kW<10.5ps>/8000rpm 最大トルク10.3Nm<1.0kgm>/6500rpm
【寸法・重量】
全長2059 全幅764 全高1073 ホイールベース1292(各mm) 車両重量130kg 燃料タンク容量13L
【参考価格】
20万9000円(バイク館SOX)
試乗レポート●高野栄一 写真&編集●モーサイ編集部 取材協力●バイク館SOX
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