■外環道「最後の1ピース」なかなか具体化せず
東京都は2024年6月13日、国に対して、2025年度を見据えた「国の施策及び予算に対する東京都の提案要求」を行いました。
そのなかで都は、外環道の延伸計画区間「東名~湾岸」について「計画を早期に具体化すること」を求めています。
完成すればどう便利になるのでしょうか。
【画像】超便利!? これが「外環道 東名~湾岸」の構想ルートです。地図で見る!
外環道は都心郊外をぐるりと周回し、東関東道・京葉道路・常磐道・東北道・関越道という高速道路を相互につなぐ役割を果たします。
現在、千葉県市川市の高谷JCT(東関東道・首都高湾岸線)から反時計回りに、東京都練馬区の大泉JCT(関越道)までが開通済みです。
そこからさらに南下し、中央道と東名高速へつなぐ区間が、工事中となっています。
今回、都が計画具体化を求めたのは、そこからさらに延伸し、多摩川に沿って臨海部へ出て、首都高湾岸線方面へつなぐ「東名~湾岸」区間です。
ここが完成すれば、沿線西側エリアから湾岸線・東京湾アクアライン方面への短絡かつ都心迂回ルートが完成することとなります。
たとえば関越道・中央道から湾岸線で横浜や東京湾アクアラインへ行く場合、あるいは東名から千葉市方面へ向かう場合など、現在はどうしても首都高などを使って都心へ抜けざるを得ませんが、外環新ルートはそれを回避する助けになり、都心への交通集中が緩和することが期待されています。
さて、最終的に「事業化」を果たせば、いよいよスタートとなる道路整備。では「計画具体化」というのはどの段階を指しているのでしょうか。それは一般的に「計画段階評価」というプロセスです。
計画段階評価は「概略ルート」を決定するプロセスで、沿線や利用者あてアンケート等が行われ、3案程度に絞られた後に、1案が最終決定されます。
概略ルートが決まれば、それをもとに都市計画決定と環境アセスメントの手続きが行われ、完了すればいよいよ事業化待ちということになります。
では今どこまで話が水面下で進んでいるかというと、国や沿線自治体などで「東京外かく環状道路(東名高速~湾岸道路間)計画検討協議会」が行われています。
2016年から始まったこの会議、現在の主な議題は「東京側ルートにするか、川崎側ルートにするか」ということ。東京側なら東海JCTに接続し、川崎側なら大師JCT方面へ接続してアクアライン直結になる見込みです。
この話がすぐに決まらないのは、進行中の「関越道~東名」の完成に最大注力している現状に加えて、同じく古くからある、国道409号バイパスの計画「川崎縦貫道路」との一本化をどうするかという背景があるからです。次の第7回会議に向けて、都も独自に調査を進めているなど、進展を模索しているところです。
東京都は今回の提案要求で「東京が日本経済のエンジンとして、我が国の成長をけん引するため、また、災害時における首都東京の安全・安心を確保するためには、首都圏の陸・海・空の交通・物流ネットワークの強化が極めて重要である。(略)外環(東名高速~湾岸道路)については、羽田空港や東京港へのアクセス性の強化に資する重要な区間であり、環状道路としての機能を最大限に発揮させるためにも、整備が不可欠な区間である」と重要性を訴えています。
さらに先述の会議についても「2023年2月以降開催されていない」と、議論の進展の遅さにはっきり触れつつ「計画を具体化するためのステップに早期に移行することが求められる」と国に求めています。
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