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2021年の交通違反取締り件数ナンバー2は「速度違反」…もっとも多かったのは? 

掲載 更新 14
2021年の交通違反取締り件数ナンバー2は「速度違反」…もっとも多かったのは? 

2021年の違反別の交通取り締まり件数を警察庁が公表した。私は毎年この一覧表を楽しみにしている。わくわく見てみよう。

※画像「令和3年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」。 警察庁のWebサイト(https://www.npa.go.jp/)→「お知らせ」→「報道発表資料」→「2022年3月3日 令和3年における交通事故の発生状況等について」→「令和3年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」。その50枚の文書の41枚目がこれだ

風邪ひき運転で事故を起こしたら? なんと罰金は酒気帯び運転と同額だった!

最初に「告知・送致件数」と出てくる。ここでの「告知」とは反則告知、いわゆる青切符を切ることをいう。「送致」とは検察送致、いわゆる赤切符を切ることに当たる。2021年、青切符、赤切符の取り締まりの合計は532万3141件だ。単純に割り算すれば、1時間に全国で約608枚の違反切符を切り続けたことになる。大したもんだ。

でもね、1983年~1986年の4年間はなんと1300万件を超えていたのですよ。1986年に反則金を約1.5倍に値上げ。その後はおおむね800万件前後で推移。そうして近年、どんどん減少している。なぜ?

高齢化が止まらない。若い世代の多くが、こういう言い方は何だが、どうやらスマホに吸い込まれてしまった。そんなこんなでやんちゃな違反者が減ったのか。死亡事故が激減し、取り締まりのモチベーションが下がったこともあるのだろう。以下、6つの違反について見てみよう。

1、速度違反 106万4818件
速度取り締まりは、昔は取り締まりの“王者”だった。2004年は281万9655件もあった。ところが2021年はたった106万4818件。2022年は100万件を割るんじゃないか。

超過速度別では、超過50キロ以上だけが増えている。前年の1万1313件から1万2106件へ、約7%の増加だ。とはいえ、106万4818件中の1万1313件、約1.1%を占めるにすぎない。ごく一部の人が大幅な速度違反を独占している、ともいえる。“かっ飛ばし格差”か。

2、歩行者妨害 32万5796件
信号交差点を左折したところに警察官が待っていて「いま横断歩道を通過したとき歩行者の妨害をしましたね。違反です」とやる、あの取り締まりは前年より増えた。29万532件から32万5796件へ、12.1%の増加だ。警察庁はここ数年、「交差点違反」の取り締まりに重点をおいている。

3、一時不停止 158万8628件
前年より約1%減ったとはいえ、速度違反の約1.5倍だ。これもばりばり交差点違反である。2004年、速度取り締まりが約282万件だったとき、一時不停止は約101万件だった。“王者”の座をまさか一時不停止に奪われるとは。栄枯盛衰、諸行無常とはこのことだ。

4、携帯電話使用 30万9058件
この取り締まりのピークは2011年、133万件もあった。だんだんと減り、2019年は71万6820件に。その年の12月、携帯電話使用違反の厳罰化がスタート。反則金が約3倍に値上げと大報道された。普通車は6000円から1万8000円に。違反点数も1点から3点にアップ。そして2020年、使用違反の取り締まりは30万9058件に激減した。2021年は30万735件だ。大報道と3倍の値上げで“スマラー”たちがびびったのかもね。

5、シートベルト装着義務違反 42万3360件
ピークは1995年、なんと約420万件も取り締まっていた。当時はベルト違反に限っての厳しいノルマがあったそうだ。違反切符の偽造もときどき報じられた。ベルト違反は点数が1点登録されるだけなので、偽造されても運転者は気づきにくいのだ。いつ頃からだっけ、ベルトを装着せずに走り出すとピーピーうるさく警告音が鳴るようになった。その頃からノルマは軽減されたようだ。

6、放置違反金納付命令 75万6316件
運転者が車から離れて直ちに運転できない駐車違反を「放置駐車違反」(以下、放置違反)という。放置違反の車に対し駐車監視員または警察官は「確認標章」(あの黄色いステッカー)を貼りつける。後日、車の持ち主へ「放置違反金」(以下、違反金)の納付書が郵送される。違反金は反則金と同額だ。違反金が納付されれば違反の処理は終わる。そしてこの納付は、公安委員会の納付命令に基づく形をとる。なので納付命令の件数を集計するのだ。

違反金の納付で終われば、誰にも違反切符は切られない。違反点数はつかず、ゴールド免許の人はゴールドのままでいられる。持ち主=違反者であってもだ。この制度は2006年6月にスタートした。じつは違反金は、反則金や罰金と違い、取り締まりをおこなった都道府県の収入になる。新たな財源ができたと喜んだ自治体もあった。翌2007年の納付命令は235万3830件もあった。ところがどんどん減り、2021年はなんと75万6316件。駐車監視員の委託費で赤字の自治体もあるんじゃないか、心配だ。

ここで「ん?」と気づいた方がおいでかも。一覧表の「告知・送致件数」の下のほうに「うち放置駐車違反」が合計16万件ほどある。どうなっているのか。そのほとんどは、わざわざ警察へ出頭して自分が違反者だと名乗り、反則告知を受けた(=青切符を切られた)ケースと思われる。持ち主の立場で違反金を払えばオシマイなのに…。

以上、6つの違反について簡単に見てみた。とにかくね、交差点違反には気をつけよう。取り締まりがどうこうじゃない。交通事故の多くは交差点で起こっているのだ。車やバイク、人や自転車が“交差”するんだから当然だよね。ほんと交差点にはご注意を。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。

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みんなのコメント

14件
  • 放置駐車違反でわざわざ出頭するには理由があるんです。会社所有の車で違反すると、そのままでは会社が違反金を払うことになります。それじゃまずいってことで、点数減点されると分かってて、わざわざ自分から警察署に出頭する人もいるんですよ。

    この記事書いた人は知っててこんな風に書いてるのか、それとも本当に知らないのか真意は分かりませんが、人それぞれ事情があることをわかった上で、文字を起こしてくださいな。
  • こういう時でおフランス車が捕まると、おフランス車には成功者しか乗らないので、アメ車乗りが身代わりに捕まり、罰金を払いおフランス車乗りを優先させなくてはならない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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