オートポリスで行なわれたスーパーGT第7戦の予選。トヨタ・GRスープラ陣営は、6台中5台がQ1突破。今季は予選で苦戦している感のあったトヨタ陣営だが、今回は好調。5台をQ2に送り込んだのは、今季初めてのことだ。
この好調ぶりについて予選3番手に入った39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraの中山雄一は、10月に入って気温が下がったことがスープラに味方した可能性もあると推測する。
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「気温が低い時にはスープラが前にいることが多く、気温が高い時には苦しむという印象です。今は気温が下がってきたので、シーズン前半の位置に戻ってきたと読んでいます」
「NSXはダウンフォースがあって、スープラはダウンフォースが少ないという中で、セクター3ではNSXの方がダウンフォースを拾えてタイムが出ているかと思いますが、今回のように気温が下がって空気密度が上がってくると、ダウンフォースが増えます。そうなるとスープラの顔(フロントマスク)でもダウンフォースをキャッチできるようになるんだと思います」
ただ決勝でも予選と同じような勢力図になるとは限らないかもしれない。というのも、ここオートポリスで“中距離”の450kmレースが開催されるのは今回が初めて。オートポリスは比較的タイヤに厳しいサーキットと言われており、タイヤとセットアップのマッチングの中で、タイヤが許容できる領域から外れてしまうと大幅にラップタイムが落ちる、すなわち“重症化”するリスクが高いと指摘する声もある。したがって決勝での車両とタイヤのマッチングは、予選順位以上に重要になりそうなのだ。
そのため、こちらもトヨタ勢で予選4番手に入った14号車ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也も、マシンのフィーリングには一定の手応えがあるとしながらも、予選順位は「正直どうでもいい」と語る。
「予選では1点が欲しかったのでポールポジションを狙っていましたが、今回はオートポリスでの450kmレースなので、予選順位は正直どうでもいい部分ではあります。決勝のペース次第では最後尾からでもチャンスがあると思っています」
14号車は決勝に向けて入念にロングランを行なったようだが、結局は蓋を開けてみなければ分からない部分が多いと大嶋は苦笑する。
「僕たちは練習走行で積極的にロングランをしましたが、他はあまりやっていなかった印象です。長く走ると当然タイヤは垂れてきますが、他が同じくらい走った時にどのくらい垂れるかは想像がつかないです」
「(タイトル争いに向けて)表彰台にはマストで乗らないといけないレースだと思っています。できる限りのことはやろうと思っていますが、本当に読めないんで……荒れることしか想像できない(笑)。そこに巻き込まれないように、自分たちのレースがしたいですね」
450kmレースの悩ましい部分については、中山も次のように語る。
「レース終盤は、予選と比べて10秒くらいペースが落ちると思います。そうなるとクルマにかかる荷重も変わる。そこに合わせられるか……それがみんなの悩みどころだと思います。何秒で走るのを目標にするのか……それが悩ましいです」
■予選12番手も決勝に自信を見せる36号車
そんな読めないレースだからこそ、ひそかに自信をのぞかせているのが、トヨタ勢で唯一Q1落ちとなった36号車au TOM'S GR Supraの坪井翔だ。
現在トップと2ポイント差のランキング2番手と、トヨタ陣営の中ではタイトル候補筆頭とも言える36号車がまさかの予選12番手に終わった訳だが、これはトラフィックの影響もあったと坪井は語る。
「練習走行ではショートランもロングランもそんなに悪くないという手応えを感じていました。今日は曇りで明日は晴れる予報という中で、タイヤ選択など、組み立てに悩まされる1日になりました」
「予選でのクルマのセットアップは今ひとつうまくいっていなかったですが、セクター3で次の周からアタックに行こうとしている16号車(ARTA MUGEN NSX-GT)に追いついてしまい、もろに影響を受けたのでコンマ4秒くらいはロスしたと思います。それがなければQ1を突破できたはずなので、12番手になったのは痛いです」
Q1敗退を残念がった坪井だが、気落ちしている様子は一切ない。予測不可能な展開になると言われているレースに向けた展望を話す彼の言葉や表情からは、レースに向けた自信が感じ取れた。
「朝のロングランで周りの状況を見ても、(決勝では)速いクルマ、遅いクルマが分かれると思うし、ラップタイムが秒単位で違うレースになると思います。そこを味方にできれば、簡単に大幅ジャンプアップができると思います」
「スープラが上位に並んだことは、トヨタ内でセットアップの底上げができているということだと思うのでポジティブだと思います。ただ、今までと流れが違うということは、決勝も違う流れになる可能性もあるし、決勝を見据えた人たちが後ろの方にいる可能性もあるし、一概には言えないと思います」
「予選と決勝では全く勢力図が変わると思っています」
「450kmレースと36号車の相性は相当良いと思います。もちろん、全力を尽くしているので少しでも前からスタートしたいのは本音ですが、あくまで決勝でチェッカーを受けた時に何位になるか、チャンピオンに向けて何ができるかについて、しっかりやってきたつもりなので、明日は36号車らしいレースができればと思います」
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