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【山本健一とロータリーエンジン】国内での活躍に加えデイトナ24時間、スパ24時間制覇などの成果を上げる[第7回]

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【山本健一とロータリーエンジン】国内での活躍に加えデイトナ24時間、スパ24時間制覇などの成果を上げる[第7回]

東洋工業(現・マツダ)がNSU社とライセンス契約を交わし1961年から研究開発を始めたロータリーエンジン。1951年にフェリックス・ヴァンケル博士が発明したもので、「夢のエンジン」とまで言われたが、実際には未完成なものだった。当時の松田恒次社長に社運をかけたロータリーエンジンの開発を託されたのが、気鋭のエンジニア山本健一氏だった。この連載ではその開発過程から1991年のマツダ787Bによるル・マン24時間制覇までを、マツダOBの小早川隆治さんの話に基づいて辿ってみる。今回はル・マン24時間本格参加までの戦績を振り返る。

ロータリーはモータースポーツで実力を発揮
マツダがロータリーエンジン車の市場導入以来、モータースポーツシーンも大きく変わってきた。この連載の次回ではマツダのル・マン24時間レース挑戦の話題となるが、ここではそれまでのロータリーエンジン搭載車の戦績をおおまかに振り返っておこう。

【くるま問答】トヨタ2000GTのサイドにある四角い部分には、いったい何が入っているのか?

1960年代末から1970年代初頭の国内ツーリングカーレースを見ると、日産スカイラインGT-Rの黄金期となる。搭載されたエンジンは2L直6・DOHCのS20型だ。1気筒あたり4バルブの24バルブのメカニズムは、当時は圧巻で、レース仕様では200ps以上を発生、向かうところ敵なしと言われていた。

そんな中、ほぼ同時期にファミリアロータリークーペが登場している。1969年11月の全日本鈴鹿自動車レースに参加したロータリークーペは、ヨーロッパ仕様のオーバフェンダーが国内TS(ツーリングカー)規定に外れるとして、GT-Rと同クラスではなく、純レーシングカークラスであるRクラスのエントリーなったが、そこで優勝というデビューを果たした。

翌1970年5月のJAFグランプリレース大会のTS-bクラスで初めてGT-Rとの直接対決となったが、そこでは3位に入った。当時は「マツダはスカイラインが怖くて欧州のレースばかりに出ている」という噂もあったというが、この結果は欧州での実力が本物であったことを証明するものでもあった。翌1971年からマツダとしての本格参戦となり、主力はカペラ、そしてサバンナRX-3と移行していく。

迎えた1971年12月の富士ツーリストトロフィーでは、勝てば50連勝となるGT-Rを抑えてサバンナRX-3が初優勝を飾った。その後もRX-3はGT-Rに対して互角以上の戦いを見せ、GT-R時代を事実上終わらせたと言っていいだろう。RX-3は、GT-Rよりも安価ということもありプライベータ―に愛用されることとなり、1976年には国内通算100勝を記録している。

1970年代から1980年代にかけて隆盛を誇った富士グランチャンピオン(GC)レースでも、12A型ロータリーエンジンの出場が許可された。それまでの主役は2LのBMW M12/6だったが、エンジン、メンテナンスと費用がかかるのがネックとなっていた。そこに比較的安価な国産エンジンが登場したことは歓迎された。当初は苦戦したが1977年に高回転向きにペリフェラルポートにした13B型の参加が許可されるとBMW勢を凌ぐ速さを見せるようになった。

海外でも地道な活動を続けていく。1968年から1970年の欧州レースへの挑戦は第6話に譲るとしてル・マンへの最初の挑戦は1970年となった。ベルギーチームがシェブロンB16に10A型を搭載。予選41位、決勝リタイアという結果で終わる。1973年には日本チームとしてはじめてル・マンに挑戦した。シグマ・オートモーティブがシグマMC73に12Aロータリーエンジンを搭載参戦するもののリタイア、1974年にはシグマMC74でマツダオート東京(後にマツダスピードとなる)と共に再挑戦するも周回数不足となった。

1978年にサバンナRX-7がデビューしたことは、マツダによるモータースポーツ活動を活発化させる大きな要因となった。まず翌1979年のデイトナ24時間レースで、RX-7はIMSA GTUクラスの1位、2位、総合で5位と6位に入賞して注目を集めた。この後アメリカのIMSAシリーズで大活躍、1980年から1987年まで8年連続GTUチャンピオン、1990年にはIMSA100勝、1982年から1993年までのデイトナ24時間では12年間GTUチャンピオンに輝いた。

欧州では1981年にスパフランコルシャン24時間レースで第8話で登場するピエール・デュドネさんがハンドルを握るサバンナRX-7が総合優勝。翌1982年からは12A型から排気量をアップした13B型をRX-7に搭載され各地のレースで好成績を残した。1983年からの本格的なル・マンへの参戦もこのエンジンが登場してからとなる。

1979年はグループ5規定のRX-7(252i)に13B型エンジンを搭載しマツダオート東京がル・マン挑戦を再開するも決勝進出できず、1981年は2台の253で参戦したがいずれもリタイヤ、1982年に総合14位でようやく完走。1983年からは燃費規制の導入とともに、マツダのル・マン挑戦はグループC2(マツダ717C)になり、13B型エンジン搭載車は1985年までの挑戦で1983年は12位、18位、(クラス1,2位)、1984年には15位、20位の成績を残していた。1986年には3ローターの13G型を搭載したマツダ757(IMSA-GTPクラス)が登場しクラスアップしたが2台ともリタイヤで終わるが、1987年に757が総合7位になる。

その後もマツダはルマンの常連として参加を続け、1988年には4ローターの13J改を搭載したマツダ767にまで発展、15,17,19位(クラス1,2,3位)で完走。1989年は可変吸気機構を採用した767Bが7位、9位、12位の好成績を残した。1990年には優勝することを目的に大幅な出力アップが行われたR26B型を搭載したマツダ787が登場したが熟成時間の不足からリタイア。翌1991年には787Bで必勝を期すこととなる。

次回からは、当時マツダのモータースポーツ担当主査を務めていた小早川さんの話に戻ろう。<続く>(取材/文:飯嶋洋治)

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