現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なんで出ない? もうすぐ出る?? スライドドアのBEVがない理由

ここから本文です

なんで出ない? もうすぐ出る?? スライドドアのBEVがない理由

掲載 26
なんで出ない? もうすぐ出る?? スライドドアのBEVがない理由

 日産「リーフ」や「アリア」、「サクラ」や三菱「eKクロスEV」、レクサス「RZ」、トヨタ「bZ4X」やスバル「ソルテラ」と、国産のバッテリーEVも徐々に増えてきた。クルマのタイプも、軽ハイトワゴンからCセグメントのハッチバック、SUVとバリエーションが増え、(航続距離など、BEV特有の課題はさておき)さまざまなユーザーにアプローチできるようになってきている。

 ただ、日本でBEVを普及させるならば、やはりスライドドア車がほしいところ。現在のところ、商用車ではBEVでスライドドアを採用したモデルはあるものの、乗用モデルでは前例がない。BEVでのスライドドアは難しいのだろうか。

なんで出ない? もうすぐ出る?? スライドドアのBEVがない理由

文:吉川賢一
写真:NISSAN、MITSUBISHI、TOYOTA

三菱と日産が商用モデルで実現させている

 スライドドア付のBEVの「祖」ともいえる三菱のミニキャブMiEVは、2011年~2021年の11年間販売されていた軽の商用車だ。バッテリー容量は16 kWh(WLTCモードで137km)で、2列目のフロア下に格納。下側のスライド機構のスペースが必要となるためにバッテリーを横方向には広げることができず、バッテリー容量は限られていたが、近距離移動を主とするならば、これくらいの航続距離でも十分使用に耐えられた。

 また日産の商用BEVである「e-NV200」(2014~2019)もスライドドアの商用車だ。リチウムイオン電池の容量はリーフと同様で24kWh、満充電時の航続距離はJC08モードで300kmだった。

三菱のミニキャブMiEV。車幅に対してバッテリーの横幅が狭く縦長の形状をしている。なおバッテリー容量は16 kWh、カタログの一充電走行距離は137km(WLTCモード)

スライド機構を搭載すると、バッテリーの容量が限られてしまう

 昨今のBEVには50kWh、60kWhクラスの大容量バッテリーを載せるのがあたりまえとなっている。先日試乗したフォルクスワーゲンの「ID.4」なんて、最大77kWhだ。当然、フロア下はバッテリーで埋め尽くされることになり、62kWhのバッテリーを搭載する日産アリアの場合、バッテリーはホイールベースの間に隙間なく敷き詰められている。

 こうなると、スライドドアとの干渉は不可避となる。仮に、このアリアにスライド機構を付けようとするならば、バッテリーを小さく(細く)しなければ成り立たない。しかしいまのBEVにとって、大容量バッテリー(による、長い航続距離)は生命線であり、容量を削ることなど決して許されない。現在のところ、乗用モデルでスライドドアのBEVが存在しないのは、そのためだ。

日産アリアの62kWhバッテリー。フロアの横方向いっぱいにバッテリーを搭載している

[usedcar-search brand_cd="1015" body_cd="9,10" car_cd="10152055" keyword="サクラ" limit=30]

サクラ/eKクロスEVが流れを変えた

 ただ、「BEVは大容量バッテリーを搭載しなければならない」という風潮は、2022年5月に登場した、日産「サクラ」/三菱「eKクロスEVによって、多少流れが変わってきている。サクラ/eKクロスEVのバッテリーは縦長の形状となっており、スライド機構を想定した形状にもみえる。間違いなく、日産/三菱はこのEV専用プラットフォームで、スライドドア付の軽BEVを登場させてくるだろう。

 また、ホンダも、2024年には「N-VAN」のバッテリーEVを、2025年にはN-ONEベースのバッテリーEVを、それぞれリリースする旨を発表している。N-ONEは(現状は)ヒンジドアだが、N-VANは(商用モデルだが)スライドドア車となるはずであり、この流れで、軽スライドドア車のバカ売れモデル「N-BOX」についても、BEVモデルが数年以内に登場するはず。このように今後は比較的近距離の移動で使われる軽のBEVで、スライドドアは積極的に採用されてくるはずだ。

日産サクラ/三菱eKクロスEVの20kWhバッテリー。容量を絞ったことで、縦長の形状にすることができた

◆      ◆     ◆

 リーフでは、バッテリー容量を増やし続けた日産だが、サクラ/eKクロスEVでは、思い切ってバッテリー容量を抑えてきた。これには三菱のミニキャブMiEVでの実績も影響しただろう。次はスライドドアのBEVをいち早く実現させてくれることを期待したい。

こんな記事も読まれています

『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
レスポンス
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
motorsport.com 日本版
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
くるまのニュース
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
バイクのニュース
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
ベストカーWeb
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
WEB CARTOP
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
日刊自動車新聞
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
AutoBild Japan
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
くるまのニュース
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
VAGUE
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
motorsport.com 日本版
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
くるまのニュース
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース
ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
ダイハツ『タフト』安全性能向上で仕様変更、138万6000円から
レスポンス
BMW 2シリーズクーペ【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
BMW 2シリーズクーペ【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
カー・アンド・ドライバー
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
くるまのニュース
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
くるまのニュース

みんなのコメント

26件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村