運営元:旧車王
著者 :松村 透
2日間で4万人以上が来場!第15回ノスタルジック2デイズ2024イベントレポート
去る2024年2月17日~18日、パシフィコ横浜 展示ホールB.C.Dにて「第15回ノスタルジック2デイズ2024」が開催された。
この時期らしい気温だったものの、天候にも恵まれた。新型コロナウイルスの影響で中止になったのが2021年。あのときは関係者も涙を飲んだことだろう。しかし、5類に移行して日常生活が戻ってきたこともあり、そして旧車の人気の勢いがプラスされ、コロナ禍以前よりも勢いを増している感がある。
■メディアも一般来場者もイコールコンディション(に近い)ノスタルジック2デイズのようなイベントを取材する場合、たいていは運営元に「取材申請」を行い、受理されると晴れてメディアパスが発行される仕組み。
かつての東京モーターショー、現在のジャパンモビリティショーのような巨大イベントでは、報道関係者向けの「プレスデー」があり、取材に集中できる。また、東京オートサロンでも、開催期間の初日はビジネスデイ(業界&報道関係者向け)となっていて、14時以降は特別料金を払えば入場可能。つまり、14時までにあらかたの取材を終わらせていないと、撮れ高を押さえるのがさらに困難となる。
いずれのイベントも、報道関係者用の出入口やプレスルームが用意されており、ここで原稿を書いて速報記事を公開している。ノスタルジック2デイズはというと、チケットを購入した一般の方と同じように列に並び、プレス用の受付でパスをもらって入場という流れ。午前10時を過ぎないとプレスルームにも入れない。
午前10時開場前に現地に到着し、パシフィコ横浜の外まで列が続く大渋滞に加わることに…。入場までどれくらい待たされるのか…と思いきや、スムーズな誘導であれよあれよといううちに会場内へ。このあたりの段取りも、主催者ごとに異なるので興味深いポイントのひとつだ。
■会場で販売される旧車の多くが「応談/ASK」にノスタルジック2デイズを取材するたびに感じる、旧車の販売価格の上昇。はじめて取材で訪れた2016年には。価格を明示する個体が多く「これなら思い切って買えるかも」と期待を抱かせるクルマも少なくなかった。
今年のノスタルジック2デイズに出展・販売されている旧車の多くが「応談またはASK」。価格が明示されている個体に関していうと目玉が飛び出そうなクルマも少なくなかった。
まるで精肉店のコロッケの価格表示に使われていそうなPOPに書かれていた「GT-R 3300万」のプライスタグ。POPのほのぼの感と、場所によっては新築の戸建てだって買えそうな金額で売られているハコスカGT-Rとのギャップに思わず撮影せずにはいられなかった。果たして売れたのだろうか…。
■いよいよメーカー系が本気を出してきた?自動車メーカーや関連会社、販社などが本格的に旧車の部品再販に動きはじめてまだ10年は経っていないと思われるが、年々、その気合いの入れ具合が増してきている気がする。
KINTOブースに展示してあったAE86 BEV Conceptや、NISMOブースではL型6気筒エンジンベースのDOHC化されたエンジンが展示されており、会場でも注目を集めていた。
まさかL型のDOHCエンジンがメーカー系のブースで観られる日が来るとは思わなかった(これまで独自に部品を開発してきたチューニングショップもいろいろな意味で驚いただろう)。
部品が復刻したり再販されるモデルは限られるが、これで少しでも延命できる個体も増えるのではないかと思う。
■毎回取材するたびに実感する「ノスタルジック2デイズの客層の良さ」ノスタルジック2デイズを取材していて毎回感じることがある。それは「客層の良さ」だ。こちらがカメラを構えていると、わざわざ歩みを止めて撮影が終わるのを待ってくれたりと、画角に入らないよう何かと気を遣ってくれる方が本当に多い。あえてイベント名は伏せるが、撮影するのが一苦労というケースも実際にある。
例えばこちらのカット。人が映らない「クリアラップ」になるまでひたすら待つことになるのだが、腰を下ろして撮影待ちの状態で待機していると、ギャラリーの皆さんがそれに気づいてくれて一瞬待ってくれるのだ。これは本当に助かりました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。
■まとめ:日本人ならではの「モノを大切にする」という美意識が光るいつだったか「日本には自動車文化は根付かない」と主張する人がいた。
さまざまな考え方や意見があると思うので一概にはいえないが、個人的には日本独自の自動車文化が確実に根付きつつあるように思う。
その根底にあるのは「モノを大切にする」という、多くの日本人に刻まれているであろうDNAがうまく作用していると感じる機会が増えているからだ。
もちろん、商売になると踏んで参入してくる企業もあるだろう。しかし、ハッキリいってしまうと、邪な考えで首を突っ込んでくる連中は遅かれ早かれ淘汰される。ユーザー側も1度はだまされてしまうかもしれないが、2度、3度と同じ轍は踏まない(はずだ)。それに、いまならSNSや口コミなどで悪評はまたたく間に拡散されてしまう。
旧車本体や部品の価格が上昇しているという弊害があるのが辛いところだが、メーカー、ショップ、ユーザー、そしてイベント主催者が一体となって後世に残していこうという足並みは揃った感がある。あとは、古いクルマをきちんとメンテナンスできる主治医の後継者をどう育てていくかが今後の課題かもしれない。
[ライター・撮影/松村透]
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