現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > EUでくすぶり始めたBEVをめぐる関税問題。中国製BEVがヤリ玉に上がる理由とは

ここから本文です

EUでくすぶり始めたBEVをめぐる関税問題。中国製BEVがヤリ玉に上がる理由とは

掲載 69
EUでくすぶり始めたBEVをめぐる関税問題。中国製BEVがヤリ玉に上がる理由とは

EUと英国の蜜月関係に中国製BEVが割って入った

 欧州自動車工業会(ACEA)は9月末、欧州委員会に対して「EU・英国通商・協力協定(TCA)により電気自動車のバッテリーに適用されている原産地規則の緩和措置に関して、現行の内容を3年間延長するよう」要請した。

欧州新車販売は15カ月連続前年同月比増をキープ

 これを簡単に説明すると、EV用バッテリーに関して2023年末と2026年末までの2段階に分けて、原産地規制が緩和されている。2023年末まで第1期間に当たる現在は、欧州で組み立てられたバッテリーの原産性が認められ、関税がかかっていない(特恵関税率0%)。だが、第2期間に当たる2026年末までの期間は、すべての部品と一部の原材料が欧州産であることが特恵関税率0%の条件になる。これが満たされていないと、完成車に輸入関税10%が発生する。

関税10%でEUメーカーは英国BEV市場で苦戦必至

 つまり、欧州で特恵関税率0%の適用を受けないBEVが英国に輸出される場合には、車両価格は一律10%アップする。英国はEUにとって最大の輸出国であり、2022年の実績で約110万台の完成車が輸出された。そのうち14万台がBEVだった。

 関税で価格がアップするのは貿易上の約束事とはいえ、欧州マーケットでは中国製BEVの存在感が高まりつつある。ジェトロの発表によれば、2022年の英国BEVシェアの47%がEU製、32%が中国製だという。中国製BEVはこの時点ですでに10%の関税がかかっている。英国BEVマーケットで鎬を削るEUメーカーにとって、10%の関税は大問題だ。

 一方で欧州委員会は、中国製BEVに標準税率(10%)以上の関税をかけるかどうかの調査を2023年9月に始めている。調査には最長13カ月をかけて慎重に行う予定だ。これは「中国製BEVが政府の補助金を受けて、欧州市場で安価に販売されているのではないか」と考えているからだ。調査対象にはルノーやテスラ。BMWなど、中国以外のメーカーも含まれる。

 ところで、中国の自動車産業はどの程度の輸出台数なのか。世界最大の自動車輸出国は日本で381万台(2022年)。

自動車輸出大国に成長した中国の現状

 中国の輸出台数は311万台で、日本に続く世界2位の規模である。中国政府が新エネルギー車(NEV)と位置付けるBEVとPHEVの輸出台数は68万台。
 NEVの輸出先はベルギー、英国、フィリピンの順になっている。ベルギーはアントワープの港湾が陸上げ拠点になっている関係で、実質的にはEU域内で販売されていると見ていい。というのも、NEVの輸出額上位3マーケットはEU、英国、オーストラリアだからである。
 つまり、中国は自動車輸出大国に成長し、BEV、PHEVの輸出先としてEU市場が大きな割合を占めているのである。日本のBYDを見てもわかるように、中国製NEVの価格競争力は侮れない。

 EUがBEVに舵を切った背景に「欧州メーカーの伸長・拡大をサポートする」思惑があったとするなら、中国製NEVの急成長はまったくの誤算だったのかもしれない。

 EUは英国との関税問題、中国車に対する標準税率問題をどのように対処していくのだろうか。

こんな記事も読まれています

アウディ史上最強・最速の電動スポーツカー誕生、912馬力の『RS e-tron GT パフォーマンス』
アウディ史上最強・最速の電動スポーツカー誕生、912馬力の『RS e-tron GT パフォーマンス』
レスポンス
ピアストリ、スタート違反でペナルティ「厳しい夜だった。7位が精一杯」首位マクラーレンとフェラーリの点差が縮小
ピアストリ、スタート違反でペナルティ「厳しい夜だった。7位が精一杯」首位マクラーレンとフェラーリの点差が縮小
AUTOSPORT web
トヨタのお膝元にホンダ・シビックで行ってきました|WRCラリージャパン2024取材の裏側
トヨタのお膝元にホンダ・シビックで行ってきました|WRCラリージャパン2024取材の裏側
motorsport.com 日本版
1000万円超え!? ホンダ新型「シビック“タイプR”」公開! 320馬力「直4」×MTのみ設定! 迫力エアロがカッコイイ「グループA」比国に登場
1000万円超え!? ホンダ新型「シビック“タイプR”」公開! 320馬力「直4」×MTのみ設定! 迫力エアロがカッコイイ「グループA」比国に登場
くるまのニュース
ランボルギーニの新型電動スーパーカー『テメラリオ』、英YASAの新開発モーター搭載
ランボルギーニの新型電動スーパーカー『テメラリオ』、英YASAの新開発モーター搭載
レスポンス
MotoGPのテスト中無線システム、バニャイヤ超辛辣な評価……使用拒否で「毎回ペナルティだろうね」
MotoGPのテスト中無線システム、バニャイヤ超辛辣な評価……使用拒否で「毎回ペナルティだろうね」
motorsport.com 日本版
[音を良くするコツをプロが指南]「スマホ」をシステムの中心に据えて良い音を楽しむ方法を伝授!
[音を良くするコツをプロが指南]「スマホ」をシステムの中心に据えて良い音を楽しむ方法を伝授!
レスポンス
3位&4位のフェラーリ、ドライバーたちに不満が残るレースに。サインツはピット指示に苛立ち、ルクレールは僚友に激怒
3位&4位のフェラーリ、ドライバーたちに不満が残るレースに。サインツはピット指示に苛立ち、ルクレールは僚友に激怒
AUTOSPORT web
レッドブル、今季の”最低地点”はイタリアGPだと振り返り「タイトルが遠ざかっていく瞬間だった」
レッドブル、今季の”最低地点”はイタリアGPだと振り返り「タイトルが遠ざかっていく瞬間だった」
motorsport.com 日本版
トヨタが2025年参戦体制を発表。ロバンペラが3冠目指しフルシーズン復帰、勝田を含む4名がフル出場へ
トヨタが2025年参戦体制を発表。ロバンペラが3冠目指しフルシーズン復帰、勝田を含む4名がフル出場へ
AUTOSPORT web
【WRC2025】トヨタ GAZOOレーシングはサミ・パヤリも加わり4台体制で挑む
【WRC2025】トヨタ GAZOOレーシングはサミ・パヤリも加わり4台体制で挑む
Auto Prove
100万円サポートクーポンが当たる!アルファロメオ、ブラックフライデーキャンペーンを実施中
100万円サポートクーポンが当たる!アルファロメオ、ブラックフライデーキャンペーンを実施中
LE VOLANT CARSMEET WEB
マヒンドラの新型電動SUV、最終ティーザー…11月26日デビューへ
マヒンドラの新型電動SUV、最終ティーザー…11月26日デビューへ
レスポンス
圧倒的な存在感!3.5リッターV6エンジン搭載の北米専用ミドルサイズSUV ホンダ「パスポート」がフルモデルチェンジ
圧倒的な存在感!3.5リッターV6エンジン搭載の北米専用ミドルサイズSUV ホンダ「パスポート」がフルモデルチェンジ
VAGUE
日産「新型セレナ」発売に反響多数! 「待ってました」「魅力的」 超スゴい「高性能4WD」&地上高アップの「イーフォース」追加へ! 待望の「性能向上モデル」14日発売
日産「新型セレナ」発売に反響多数! 「待ってました」「魅力的」 超スゴい「高性能4WD」&地上高アップの「イーフォース」追加へ! 待望の「性能向上モデル」14日発売
くるまのニュース
懐かしの肩パッド入りトップスがむしろ新鮮! 存在感抜群のコスチュームの「HELM LOYALZ」に会いに鈴鹿サーキットへGO!
懐かしの肩パッド入りトップスがむしろ新鮮! 存在感抜群のコスチュームの「HELM LOYALZ」に会いに鈴鹿サーキットへGO!
Auto Messe Web
PUBGモバイルとマクラーレンがコラボしたゲームを期間限定で無料配信
PUBGモバイルとマクラーレンがコラボしたゲームを期間限定で無料配信
Webモーターマガジン
全長4.9m超え! 国内“最大級”の新型「ステーションワゴン」発表! めちゃデカい「荷室サイズ」がサイコー! 圧倒的な“快適性”実現した新型「パサート」とは
全長4.9m超え! 国内“最大級”の新型「ステーションワゴン」発表! めちゃデカい「荷室サイズ」がサイコー! 圧倒的な“快適性”実現した新型「パサート」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

69件
  • ango
    >> EUがBEVに舵を切った背景に「欧州メーカーの伸長・拡大をサポートする」思惑があったとするなら

    ディーゼルの不正以降、日本のHVに勝てないと判断して、脱炭素社会を口実にEVに舵を切ったところに、国策で進める中華EVに市場を奪われた。これにウクライナ危機による電気代の高騰が重なった。
    それで、最近になって、e-fuel使用なら内燃機関はOKと言ったり、販売停止時期を先延ばしたりしている。
    自分達の都合でルールを作ったり、改変する欧州のやり方には、政治・経済的思惑が充満していて、ウサン臭すぎる。脱炭素社会実現と言いながら、その実情は目指す理想ほどクリーンではないだろう。
  • hir********
    なんかいい加減してくれという感じです。
    そもそもがHVを作れないから日本を排除するために作ったEV移行。
    今度は中共車か?
    すべてはEU中心主義。
    そもそもが地球環境なんて二の次なんだだろう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村