9月26日(木)から29日(日)にかけて、南米チリのコンセプシオンを中心に開催される2024年FIA WRC世界ラリー選手権第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』。TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)は、今季最後のグラベル(未舗装路)ラリーとなる今大会に、4台のトヨタGRヤリス・ラリー1をエントリーして選手権での巻き返しを図る。
今回のクルーは、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)の3台がマニュファクチャラー登録となり、さらに4台目には期待の若手サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組(5号車)が乗り込む。
WRCチリには全10台のラリー1が集結。今季最後のグラベルラウンドにトヨタが4台投入
なお、今季のレギュラーである勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、今大会をスキップし、残るターマック(舗装路)ラリーの2戦に備えることとなっている。
■高速区間は得意も、摩耗の厳しい路面に注意
2019年に初めてWRCとして開催されたラリー・チリ・ビオビオは、2023年カレンダーに復帰し、今回が3度目のWRC開催となる。
サービスパークおよび大会本部はこれまでと同様チリ中南部ビオビオ州の大都市コンセプシオンに置かれ、SS(スペシャルステージ)の路面はグラベルで、コンセプシオンの南側から東側にかけてのエリアが戦いの舞台となる。
ステージの特徴としては、森林地帯の道や、太平洋の絶景を見渡す開けた道など、マシンはチリの素晴らしい大自然のなかを走行する。中高速ステージが大部分を占め、北欧のラリーのようなフラットな路面と流れるようなコーナーが連続するが、ツイスティなコーナーも少なくない。
2023年大会は開催時期やステージが変更されたことにより、ラリー全体のキャラクターが若干変わったラウンドであった。チリのグラベルは全体的に路面がスムーズで、2019年大会ではラリー・フィンランドなど北欧の高速グラベルラリーに近いステージも多くあった。しかし、開催時期が5月から9月に移動し、4年ぶりのWRC開催となった2023年大会は、路面コンディションが大きく変化。タイヤをすり減らすようなざらざらとした路面が増えたことで、タイヤのマネージメントも大事な要素のひとつとなった。
TGR-WRTは今回、ロバンペラ、オジエ、エバンスの3名をマニュファクチャラーズポイント獲得ドライバーとして登録。現世界王者のロバンペラと元世界王者のオジエは、今シーズンすべてのイベントには出場していないにも関わらず、それぞれ3勝を獲得している。さらに彼らは、直近のラリーでも最終日まで首位を走行していたが、最終日に起きたアクシデントにより優勝を逃している。
一方、エバンスは不運なラリーが数戦続いているが、今回のチリで流れを変えるべく強い意志でラリーに臨むだろう。さらに、今回はラリー・フィンランドで初めてトップカテゴリーに出走し、総合4位を獲得したパヤリが4人目のドライバーとして出場する。今年、パヤリはWRC2クラスですでに3勝を挙げており、変化に富んだチリの未舗装路で最高の経験を積む事をチームは期待し、彼にふたたびステアリングを委ねる。
2024年のラリー・チリ・ビオビオは、26日(木)の午前中にシェイクダウンが始まり、夜7時からはコンセプシオンでセレモニアルスタートがとり行われる。そして競技は27日(金)の朝からスタートし、サービスパークの南東エリアでデイ1として3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行する予定だ。
28日(土)のデイ2と29日(日)のデイ3は、サービスパーク南側、ビオビオ川の西側エリアが戦いの舞台となる。デイ2は、これまで使われたことがないセクションも含む3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。その合計距離は139.20kmとなり、このデイ2が今大会で最長の一日となる。
ラリー最終日のデイ3は一日を通してサービスの設定がなく、2本のステージを各2回走行。4本のステージの合計距離は54.80kmとなり、そのうち最終のSS16は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる『パワーステージ』に指定されている。全16本のステージの合計距離は306.76km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1239.23kmだ。
今季これまでになかった4組のラインアップで第11戦チリに臨むTGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表は、「戦いを諦めるつもりはない」と選手権争いにおいて重要な一戦となる今大会への意気込みを語る。
「直近の2戦は、チャンピオンシップにおける我々の目標という点では思い通りに行かなかったが、戦いを諦めるつもりはない。シーズン最後の3戦で勝利を収めることに集中し、ライバルにプレッシャーをかけ続けるためにできる限りのことをしていくつもりだ」
「チリで良い結果を残したいというモチベーションがチーム全体にみなぎっており、エルフィン(・エバンス)、セブ(セバスチャン・オジエの愛称)、そしてカッレ(・ロバンペラ)という非常に強力なドライバー陣で優勝を目指していく」
「ステージは全体的にハイスピードで、流れるようなコーナーが続くので、我々のドライバーとクルマには合っているはずだ。昨年出場して発見したことのひとつは、路面がドライな状況ではタイヤの摩耗がかなり激しいということで、その点には注意する必要があるだろう」
「サミ(・パヤリ)にとっては、フィンランドで示した非常にいい走りをベースに、異なる地の道でラリー1カーをドライブする際のフィーリング確かめ、経験を積むいい機会となるはずだ。すべてがうまくいけば、チリの道も彼に非常に合っている可能性があるので、今回も力強いパフォーマンスを見ることができるかもしれない」
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