ボルボのフラッグシップSUVであるXC90と中核のSUVであるXC60にチョイ乗りだが試乗できたので、その印象を紹介してみたい。
見た目以上に軽快に走ってくれるXC60 B5
今回の試乗車は、XC60がB5 AWD インスクリプション、XC90がB6 AWD インスクリプション。ご存知のように今やボルボは全車が電動車(BEV/PHEV/MHV)となり、グレード名のBはブレーキ回生=マイルドハイブリッド(48Vハイブリッド)車を意味し、数字はパワーレベル、5はターボ付き、6はターボ+電動スーパーチャージャー付きであることを示している。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
まずはXC60から。2020年に世界でいちばん売れたボルボ車はXC60だそうだが、日本の街中でも扱いやすいボディサイズ。ひとまわり大きいXC90は都会の狭い道では少し気を遣うシーンも出てくる。それでもSUVゆえアイポイントが高いので、両車とも初めて乗っても戸惑うことはないだろう。
スターターモーターとジェネレーターを兼ねるISGM(インテグレーテッド スターター ジェネレーター モジュール)はベルト駆動でエンジンを始動する(アイドリングストップからの再始動も)ので、きわめて静かにエンジンがかかる。エアサスペンションとサンルーフを装着して1940kgという車両重量だが、250psと350Nmを発生するパワートレーンによる走りっぷりに不満はない。
発進時はISGMがエンジンをアシスト、定速走行では2気筒休止も行うが、走りはいたって自然だ。注意して運転していてもモーターのアシストは気がつかないほどで、パワーを感じようとアクセルペダルを少し多めに踏み込むとターボ過給による力強い加速が始まる。
ハンドリングは思ったより軽快で、背の高いSUVとしてはけっこうスポーティな動きを見せる。ただし、タイヤが少しバタつく感じを受けた。試乗車はオプションのエアサスを装着していたから設定の問題もあったのかもしれないが、このあたりはジックリ乗って試してみたいポイントだ。
ゆとりのある走りが楽しめるXC90 B6
続いて、XC90。こちらはXC60のエンジンに電動スーパーチャージャーを装着して、300psと420Nmというハイパワーだから2.1トンを超える車重をものともせずに加速する。だが、その走りっぷりはけっして荒々しいものではなく、ボルボらしい自然で優しいフィールだ。減速時やコーナリングでは重さを感じさせるが、これもオプションのエアサスペンションを装着しており、いなしがうまく、ゆとりのある走りを楽しめる。
XC60、XC90ともドライブモードはエコ/コンフォート/ダイナミック/インディビデュアル(個別に設定)/オフロードと切り替えられるが、短時間の試乗では「ダイナミックはちょっとパワフルかな」とか「エコでもそれなりに走ってくれるかな」というレベルの違いに感じられた。
また、どちらもトリムレベルは「インスクリプション」で、インテリアの雰囲気は似ている。北欧調の明るい雰囲気で、センターダッシュの縦型タッチスクリーンもスマホ感覚で扱いやすいのだが、1000万円を超えるXC90のオーナーはXC60と差別化して欲しいのでは、とも思ってしまう。
実は今回の試乗前日、Webモーターマガジン編集部で長期テスト中のV60 B4 モメンタムを取材の機材車両として1日乗っていた。こちらのパワーユニットはB5と基本的に同じだが、パワースペックは197ps/300Nmに抑えられている(駆動方式はFF)。もちろんパワー感は違うものの、乗り味に共通性があることを再認識した。
ボルボのラインナップを見ると、ボディサイズで40/60/90の3種類、ボディバリエーションでセダン/ワゴン(クロスカントリー含む)/SUVの3種類、パワートレーンでBEV(日本未導入)/PHEV/MHEVの3種類(過給器などで細分化されるが)と、これらを組み合わせるとラインナップは豊富。使い方や予算に応じて、好みの1台が選べる。
しかも、どれを選んでも「自然で優しい」ボルボらしい乗り味を味わえる。自分に合ったボルボを見つけることは、けっして難しいことではないだろう。(文:Webモーターマガジン編集部 篠原政明/写真:永元秀和、ほか)
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みんなのコメント
事故になるのが難しい程の安全性能も素晴らしい。
次期XC90も期待している。