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【タイガー・ウッズ事故】「ジェネシスGV80」どんなクルマ? 安全性は?  

掲載 更新 120
【タイガー・ウッズ事故】「ジェネシスGV80」どんなクルマ? 安全性は?  

タイガー・ウッズの交通事故とは?

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

【画像】アメリカでは高評価?【ジェネシス/どんなモデルがある?】 全100枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

米国太平洋標準時2月23日の朝7時過ぎ、米国ロサンゼルスのダウンタウンから南に30マイル(約50km)下った場所にある高級住宅街を南北に走るホーソーン・ブルバードで、世界的プロゴルファー、タイガー・ウッズが単独事故を起こした。

事故の原因は明らかになっていないが、ウッズが運転するジェネシスGV80は緩い下り坂のカーブで、中央分離帯を乗り越え対向車線(2車線)を横切りカーブ部分にある樹木に激突。数回の横転を経て、道路から数百フィート離れた場所でやっと停止した。

クルマは道路わきの斜面を転落して大破しており、レスキュー隊はフロントガラスを切断して運転席のウッズを救出。下肢を開放骨折する重傷を負ったものの、命に別状はなく、現在、UCLAの「ハーバーUCLAメディカルセンター」にて治療がおこなわれているとのこと。

現地の保安官によると速度超過による事故が多数発生している場所なのだそう。

事故調査を担当した保安官によれば、「この場所の速度制限は45マイル(約72km/h)だが、実際は70~80マイル(112-128km/h)で走るクルマも多い。緩やかな下り坂で道路幅も広いため、スピードが出やすい場所といえる」。

「だからこそ、速度制限は45マイル(約72km/h)に抑えられているのだが……。速度違反の取り締まりも頻繁におこなわれている。ウッズは相当速い速度で運転していたと思われる」とのこと。

ウッズがGV80に乗っていたワケ

ウッズが運転して事故を起こしたジェネシスGV80はウッズ自身が所有するクルマではない。

実はウッズが参加していたゴルフ大会「ジェネシス・インビテーショナル」に関わるクルマだ。

名前のとおり、ジェネシスが冠スポンサーとなっているPGAツアーの1つで、かつては米国日産が冠スポンサーだったこともある。

2017年にヒュンダイが冠スポンサーとなり、同年から「ジェネシス・オープン」、2020年から「ジェネシス・インビテーショナル」に大会の名称を変えて開催されてきた。

2月18日~21日に開催された2021大会ではマックス・ホーマが優勝。ホーマには930万ドルの優勝賞金のほかに、副賞としてジェネシスGV80が贈られている。

そしてタイガー・ウッズにもジェネシスGV80が貸与されていたというわけだ。

ウッズは1人でジェネシスGV80に乗っており、かなりのスピードが出ていたことは間違いなさそうだが、飲酒運転をしていた形跡もなく、シートベルトはきっちり着用していたとのこと。

このような大きな事故でシートベルトをしていないと、横転の途中で車外放出されて死に至る可能性も十分にあった。

ウッズは下肢を骨折したものの、頭部を含む上半身は各種のエアバッグの効果もあってほぼ無傷だったという。

ちなみにGV80には「フロントシートセンターエアバッグ」をはじめ、サイド(前後左右)、オーバーヘッド(左右頭上)、ニー(左右膝)など合計で10個以上のエアバッグが装備されている。

では、このジェネシスGV80というクルマ、どのようなブランドのクルマなのだろうか?

ヒュンダイの高級ブランド「ジェネシス」

ジェネシスはかつてヒュンダイのなかの1つの車種だったが、2015年にプレミアムブランドとして独立を発表した。

日本でもヒュンダイ車が正規輸入されていた時期があったが、ジェネシスが一般販売用に輸入されたことはなく、現在、日本に存在するジェネシスは韓国大使館などの公用車両として輸入されているのみである。

ジェネシスとして独立して以降、2016年8月に投入されたジェネシスG80が最初の米国市場進出車となる。

その後、G70やG90などのセダン車種を投入し、アメリカ人が大好きな「インフォテインメント」を充実させてきたこともあって、米国の消費者評価メディア「コンシュマーレポート2018」では、「ベストブランド」の第1位を獲得している。

また、昨年5月にAUTOCAR JAPANでお伝えしたが、2020年発表のJ.D.パワーによる調査「自動車耐久品質調査」(発売から3年経過した車両についての不具合か所調査)では、レクサスの独走を止めて2017年発売のジェネシスG80が1位という驚きの結果を残した。

このように、2015年のブランドデビュー以来、人気車種として好調に販売台数を推移させていたジェネシスだが、2020年はCOVID-19(新型コロナウイルス)の影響もあり、北米での販売台数が23%も減少してしまった。

北米で販売される自動車の主要30ブランドの中においては、最下位のフィアットの次。2020年の販売台数はわずか1万6384台でワースト2位という結果となってしまった。

ウッズはトップグレードに乗っていた

そのようななか、北米での売り上げ回復を狙える新型車として2020年秋に2021年モデルとして投入されたのがSUVのGV80だった。

GV80は以下の3グレード構成となっている。

2.5T I4 RWD(2.5Lターボチャージャー付き直列4気筒RWD:4万8900ドル~)
2.5T I4 AWD(同AWD:5万4650ドル~)
3.5T V6 AWD(3.5LツインターボV6:5万9150ドル~)

2.5Lモデルの最高出力は304ps/5800rpm、3.5Lモデルは380ps/5800rpm。

全車がシフトバイワイヤー&パドルシフター付き8速オートマチックを搭載し、室内には10個のエアバッグを標準装備している。

目玉となるのは、運転席と助手席の間に設置されている「フロントシートセンターエアバッグ」で日本車では欧州向けのホンダ・ジャズ(ホンダ・フィット)にコンパクトカーとして初めて装備された。

これは、ユーロNCAP(欧州の衝突安全テスト)の側面衝突に対応した装備だ。

ウッズに貸し出されていたのは最上級グレードの3.5L V6ツインターボ・モデルで、ドライバーの居眠り運転を検知して警告を促す装備や前方の衝突回避システムなど数々の先進安全装備を搭載している。

なお、GV80は「2021年ノースアメリカン・ユーティリティ・ビークル・オブ・ザ・イヤー」のトップ3の1台に、マスタング・マッハE、ランドローバー・ディフェンダーとともに選ばれている。

いずれも2020年秋に投入された新型車だ。

「タイガー・ウッズを救ったクルマだ」として、アメリカではにわかに注目が集まっているGV80だが、実際の衝突安全性能はどうなのだろうか?

実は奇しくも、ウッズが事故を起こした直後となる2月24~25日にNHTSAによる、GV80の衝突安全テストがおこなわれているという。

3月に結果が公表されるとのことだが、有名人の思わぬ事故によって、GV80の衝突安全性能が証明されてしまったといえそうだ。

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みんなのコメント

120件
  • 脛骨と腓骨が皮膚を突き破って出てくる開放骨折、そして足首が粉砕骨折
    トドメに神経も傷ついてゴルフどころか日常生活すら厳しい体になってるのに
    オマケに先進の追突回避システムだぁ???全く機能してねーだろコレ??

  • 現代自動車はもともと、一年あたりの事故が有意に少ないクルマです。

    なぜなら「売れないから」。日本では売れなくて撤退したメーカーです。
    売れなければ事故も起こさないという点では画期的な名車と言えますね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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