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スーパーフォーミュラ:新型シャシー『SF19』投入と大型移籍連続で新時代の幕開け

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スーパーフォーミュラ:新型シャシー『SF19』投入と大型移籍連続で新時代の幕開け

 2018年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は節目の年となった。世界最速ワンメイクフォーミュラシリーズとも評されるスーパーフォーミュラ(エンジンはホンダとトヨタの2種)、そこで使用されるワンメイクシャシーは5年ごとの切り替えを基本とし、「ダラーラSF14」シャシーで競われるのは2018年シーズンが最後となったのだ。

 マシン熟成度が極まりつつある状態でのシーズンは、いくつかの特殊性を生み出した。各陣営がベースとするセットアップにはコース適性がハッキリしてきた面があり、それが戦局に影響を及ぼすケースがあった。

スーパーフォーミュラ実力者ふたりに聞くSF19の印象。2度の王者石浦は「“はまっている”ところ」

また、各戦の展開のなかでは実質“逆転勝利”が難しいものとなった。一概には言えない面もあるが、ポールポジション獲得者が優勝する「ポール・トゥ・ウイン」、これが決勝レースが実施された6戦のうち5戦で実現している事実がそれを示している(前年の2017年はポール・トゥ・ウインが1回のみ)。

 そういったシーズン推移のなか、ドライバーズチャンピオン争いは最後の最後まで熾烈だった。最終戦のレース終盤、山本尚貴(TEAM MUGEN/ホンダ)とニック・キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)が僅差で優勝を争い、その決着がタイトルの行方にも直結するという緊張度マックスの攻防が鈴鹿サーキットで繰り広げられたのは、まだまだ記憶に新しい。

 そして山本がこのバトルを逃げ切って制しシーズン3勝目、自身とホンダにとって5年ぶりのタイトル獲得を実現──感動のフィナーレとなった。

 終わってみれば、2018年シーズンの山本は得意中の得意である鈴鹿での2勝を含む6戦3勝という高勝率。一方のキャシディは1勝ながらも決勝が実施された全戦でポイントゲット、4戦で表彰台獲得という高い安定感で対抗したが、惜しくも逸冠となった。

いずれにしても彼らが演じたタイトルマッチレースは歴史に残る名勝負、SF14シャシー最終年はビンテージイヤーとも呼べる輝きを纏って終焉したのである。

■新型シャシー導入と大型移籍の連続でスーパーフォーミュラ新時代へ
 そして2019年のスーパーフォーミュラは、新シャシー「ダラーラSF19」での新時代に突入する。また新たな名勝負の予感が漂ってくるところだが、そこへきてストーブリーグが予想以上の活況を呈し、新シーズンへの期待がますます高まってきた。

 なにしろ、山本とキャシディ、昨季の主役ふたりがそろってチームを移籍したというのだから、見る側としては胸のざわつきが抑えられない。山本はDOCOMO TEAM DANDELION RACING(ホンダ)を新天地とし、キャシディもVANTELIN TEAM TOM'S(トヨタ)に移って2019年のスーパーフォーミュラを戦う。

 キャシディの移籍に関しては、もともとTOM'Sが彼のスーパーGTでの所属チームであることを考えれば比較的、移籍感は少ないともいえよう。昨年12月のスーパーフォーミュラ鈴鹿テストでもTOM'Sのマシンで走り、フィットしたところを見せていた。

 衝撃度が高いのは王者・山本の移籍。実はホンダ勢では山本に限らず、SF19での初シーズンに向けて過去最大級の全面シャッフルが敢行されたのだ。

 昨年より1台増えて9台となったホンダ勢、昨年と同じチームで走るのはダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)のみで、そのティクトゥムにしても昨年は2戦にスポット出場しただけ。つまり実質的にはドライバー全面変更といっていい状況だ。

しかも、まったくの新人を含めてフル参戦経験をもたない1~2年目選手が7人である。そして残り2人が山本と野尻智紀で、この優勝経験者同士もシートを交換するかたちで移籍している(野尻は今季TEAM MUGENへ)。

 これら大胆人事は2018年の夏ごろから構想されていたものとのことで、実際、12月の鈴鹿テストでも見られた布陣だった。新車イヤーにホンダ勢がより高い力を発揮するための布陣ともされるが、山本と野尻、快速を誇る両エースの“トレード”がどんなパワーバランスの変化をもたらすのか。

 さらにはF3世界一決定戦マカオGP連覇という実績をひっさげて初のフル参戦となる次期F1候補生ティクトゥムを筆頭に、海外からの新顔たち、トリスタン・シャルパンティエ(REAL RACING)、アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)、ルーカス・アウアー、ハリソン・ニューウェイ(ともにB-Max Racing team)らがどんなパフォーマンスを見せるのか。そしてもちろん、日本の新進気鋭ドライバー、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)の走りにも注目が集まる。

 激変のホンダ勢に比べれば、トヨタ勢11台の動きはやや控えめ。前述のキャシディの件も含めて、トヨタ勢はどちらかといえば落ち着いた陣容で新車イヤーに臨む構えと見えるが、ホンダ勢とは真逆ともいえるアプローチがシーズンの戦いにどう影響してくるのか、大きな見どころになる。

 山本同様にそれぞれ2度の全日本トップフォーミュラ王座獲得歴を誇る中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)と石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)は今季もチーム残留。小林可夢偉もcarrozzeria Team KCMGに留まり、あと一歩に迫る初優勝の実現とその先に初王座獲りを見据えて牙を研ぐ。

山下健太(KONDO RACING)、関口雄飛、平川亮(ともにTEAM IMPUL)、大嶋和也(TEAM LEMANS)といった日本の若手~中堅~ベテランの実力者たちも昨季と同じチームに所属して頂点を睨む。

 トヨタ勢の変動要素は移籍2名に新人2名。2016年チャンピオンの国本雄資は昨季のチーム部門タイトル獲得陣営であるKONDOに移籍し、山下とのタッグ結成となった。CERUMO・INGINGには昨季の全日本F3チャンピオン、新人の坪井翔が加入して石浦と組む。

キャシディのTOM'S移籍は前述の通り。そしてロシア出身、FIA-F2で2017年にシリーズ2位、2018年もシリーズ5位という高実績を有するアーテム・マルケロフがTEAM LEMANSから参戦することになった。これら“動き”があったトヨタ勢4チームはいずれもベテランと若手の新コンビだけに、そのケミストリー(化学反応)に期待がかかる。

 SF19で各チームが走り始めたのは3月4~5日の鈴鹿公式テストから。2日間総合の結果ではパロウがトップにつけ、2番手に福住、3番手に山下と、ルーキー/若手ドライバーたちがトップ3を占めることになった。

 公式テストも幕を開け、さらにヒートアップしている2019年スーパーフォーミュラ戦線。10月の最終戦鈴鹿まで、今年もまた素晴らしいストーリーが展開されることは疑いない。

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