■ハイパワーモーター搭載でスポーツカーは新次元に
ハイブリッド車やEVは環境性能の高さがウリといえますが、最近ではガソリンエンジン+αの性能を得るために、スーパースポーツカーの世界でもハイブリッドシステムの搭載やEV化が進んでいます。
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そこで今回は、ハイブリッドシステムを採用したり、EV化することでハイパワーを誇る、現代の高性能スーパーカーを5台紹介します。
●ホンダ「NSX」
ホンダが2021年でF1活動を休止するニュースは残念でしたが、やはりホンダには「レース」や「スポーツ」なイメージが似合います。
そんなスポーティなホンダのイメージリーダーであり、フラッグシップモデルが「NSX」(2代目)です。
もともとは第二期F1参戦時代に「世界に通用するホンダ」を印象付けるフラッグシップとして開発された初代「NSX」は、「New Sportscar X(次世代や未知数を示す)」の頭文字を車名としています。
市販車としては類を見ない「オールアルミ・モノコックボディ」を採用。3リッターV型6気筒エンジンをミッドシップに搭載しリアドライブで駆動するスーパースポーツとして1990年に登場し、改良が加えられつつ2005年までの16年間にわたり製造されました。
そして2016年に、第四期F1活動に合わせるかのように、10年ぶりに2代目が登場しました。
ちなみに同じ車名(NSX)ですが、意味は「New Sportscar eXperience(新時代のスポーツカー体験)」へと進化しています。
初代を彷彿とさせるデザインの全長4490mm×全幅1940mm×全高1215mmのボディには、世界的なレースエンジンメーカーのコスワース社との共同開発となる3.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンに加え、ハイブリッドシステム「スポーツハイブリッド SH-AWD」を搭載。
モーターを3基搭載することでシステム全体の出力は581馬力ものハイパワーを実現し、進化した4輪駆動で路面に伝える新時代のスーパースポーツカーとなっています。
ちなみに2420万円と、価格(消費税込、以下同様)もスーパーですが、現行モデルの受注は終了しており、2022年モデルの販売が待たれます。
●レクサス「LC」
日本発の高級車ブランド「レクサス」のラグジュアリースポーツクーペが「LC」です。
日本では数少ないFセグメントのクーペで、レクサスのFRモデルに適用される「GA-Lプラットフォーム」を採用した最初のモデルとして2017年に登場しました。
全長4770mm×全幅1920mm×全高1345mmもの立派なボディにはクーペとコンバーチブルがあり、パワーユニットも477馬力というハイパワーを誇る5リッターV型8気筒エンジンと、3.5リッターV型6気筒に走行用モーターに自動変速機構を組み合わせたマルチステージハイブリッドシステムを搭載し、359馬力を発揮するハイブリッドモデルが用意されています。
350馬力以上というパワフルな走行性能はもちろん、車両重量約2tものスーパースポーツでありながら、ハイブリッドモデルの「LC500h」のWLTC燃費は14.4km/Lを記録する低燃費性能を両立させたこともポイントです。
また「MTモードがありドリフトができるハイブリッド」という開発コンセプトを具現化するために、あえてハイブリッドのセンシング部分に遅れを生じさせ、さらにそれを補填するセッティングとし、ハイブリッドでありながらダイレクトでリニアな走行フィーリングにこだわっているのだそうです。
贅を尽くしたラグジュアリーなインテリアもレクサスらしい最高級の仕上がりで、インパネやナビモニター以外の部分はほぼ本革でフルカバーされ、まるでデザイナーズソファのような高級感ある空間になっています。
価格は1400万円から1500万円です。
●テスラ「ロードスター」
テスラは、創業者のイーロン・マスク氏がアメリカのシリコンバレ―で創業したEVメーカーとして、すっかり有名になりました。
そんなテスラが作るスポーツカーは、もちろんEV。メイン車種である「モデルS」は4ドアでありながら、最高速度261km/hと0-100km/hまでわずか2.5秒という驚愕の加速性能を誇ります。
今回紹介する「ロードスター」はそこまでの高性能ではありませんが、ロータス「エリーゼ」のシャシとパーツの一部を流用したコンパクトな2シーターオープンとなっており、2008年にデリバリーが開始されました。
シャシだけでなくボディパーツの一部もエリーゼからの転用となっているため、見た目にはEV版エリーゼのような感じもありますが、フロントマスクなどは独自のデザインに変更されています。
座席の後ろの搭載されるパワーユニットは、当初は別会社のシステムをライセンス契約で使用していましたが、その後は自社開発のオリジナルになっています。
システム全体で292馬力のパワーと378kmの航続距離を記録。ちなみに日本の保安基準に適合させた正規輸入は12台と、激レアマシンとなっています。
現在、2代目ロードスターの予約が始まっており、テスラが掲げる性能は、0-100km/h加速が2.1秒、最高速度は400km/h、1回の充電での航続距離1000kmというモンスターマシンになる予定だといいます。
ちなみに2代目の予約価格は約2270万円(ベースモデル)とされています。
■世界的スポーツカーメーカーも電動化の道を選択
●フェラーリ「SF90ストラダーレ」
スーパースポーツカーのジャンルでは真っ先に名前が上がるほど有名なメーカーがフェラーリです。
1970年代のスーパーカーブームも、バブル期の高級車ブームも、フェラーリがなければ全然違っていたのではないでしょうか。
そんな生粋のスーパースポーツカーメーカーも時代の流れに乗って、PHEVの市販モデルが2019年に誕生しました。それが「SF90ストラダーレ」です。
SF90ストラダーレは「Scuderia Ferrari(フェラーリのワークス・レーシングチーム)設立90周年を記念して作られた公道仕様車」というネーミングが示すとおり、F1で培われた技術を投入した革新的なスーパースポーツPHEVになっています。
全長4710mm×全幅1972mm×全高1186mmのボディにミッドマウントされるエンジンは4リッターV型8気筒ツインターボで最高出力は780馬力。
これに左右の前輪駆動用モーターが2基、新開発された8段DCT(デュアルクラッチトランスミッション)とエンジンの間にもモーターが設置され、システム全体での出力は驚愕の1000馬力となっています。
それでいながら「e-4WD」と名付けられたフル電動走行機能や、16インチのフルデジタル曲面クラスターを用いたインパネなど、PHEVらしい機能や装備も採用されました。
SF90ストラダーレの新車価格は5340万円。さらにスポーティに走るための装備を用意した「アセットフィオラーノ」というオプション(これだけで570万円)も設定されています。
●ポルシェ「タイカン」
イタリアにフェラーリがあるように、ドイツにはポルシェという生粋のスポーツカーメーカーがあります。
しかも造形美や官能性、ドライバーにもそれ相応のスキルを求めるフェラーリに対し、機能美や正確性、安全性、実用性などを優先したスポーツカーを作り続けるポルシェ。
そんなポルシェが送り出す初のピュアEVが「タイカン」です。
ポルシェらしい機能美のなかにふくよかな曲線を交えたボディラインは全長4963mm×全幅1966mm×全高1379mmのサイズに、Cd値0.22というポルシェ史上最高のエアロダイナミクスを実現。
このエアロボディに4ドアという実用性をプラスしたスーパースポーツサルーンに仕立てられています。
システム的には前後にモーターを搭載した4WDを採用し、出力などの違いで「4S」「ターボ」「ターボ S」の3つのグレードを展開。
システム電圧には800V電源が採用され、もっともマイルドな「4S」ですら435馬力もの最高出力を誇りますが、さらにオーバーブースト機能を搭載し、530馬力まで出力を上げることを可能にしています(オーバーブースト時は、ターボが680馬力、ターボ Sが761馬力)。
それでも独自のリミッターにより250km/h前後に最高速度は抑えられています。
ちなみに、一般的なEVで採用されている回生ブレーキはアクセルを離すと同時に充電をはじめますが、スポーツドライビングにこだわるポルシェらしく、ドライバーがブレーキペダルを踏んだときのみ働く回生ブレーキが作動するようになっています。
アクティブサスペンションの採用も、ドライバーが意のままに操れるようにと考えるポルシェらしい仕様といえます。
この性能をEVで実現する技術力もすごいのですが、インテリアはまるで宇宙船です。
通常のセンタートンネル上にあるはずのシフトノブもなく、運転席の前に設置されるのは16.8インチの湾曲したディスプレイ。
ポルシェの伝統的なレイアウトをオマージュしながら、EVらしい最進化系をも感じさせる高級感のあるインテリアです。
気になる新車価格は「4S」が1448万1000円、「ターボ」が2023万1000円、「ターボ S」が2454万1000円です。
※ ※ ※
モータースポーツの最高峰であるF1やル・マンでも「運動エネルギー回生システム」と呼ばれるハイブリッドシステムを採用したパワーユニットを搭載したり、EVのフォーミュラレース「フォーミュラE」もエンジン音以外はすでに既存のレース以上の白熱した闘いをしています。
市販されるスーパースポーツカーもいまやハイブリッドやEVの時代。環境性能というだけではなく、電動化は時代のニーズとしてクリアすべき要素のひとつになってきているといえます。
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