2025年以降は純EVのみになるジャガー
ラインナップのすべてが、純EVになる日が来る。アルファ・ロメオにアルピーヌ、ボルボなど、ほぼすべてのメーカーがその道を進もうとしている。10年以内に内燃エンジンを辞めると発表していないメーカーは、少し時代錯誤な感じさえ受けるほど。
2025年以降のジャガーも、純EVへ特化したブランドになる。そのニュースは、英国では特に大きな反響があった。
何しろジャガーといえば、大排気量のスポーツクーペやレーシングカー、スポーツサルーンなど、内燃エンジンとの結びつきが強いブランドの1つ。ジャガーの工場から、エンジンを載せないクルマがラインオフする姿は、想像が難しい。
今回長期テストに加わったXFも、内燃エンジンを載せている。ジャガーは既に純EVのIペイスのほか、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のFペイスとEペイスもラインナップしている。だが、XFにその流れは届いていないようだ。
このXFと、ひと回り小さいXEで選べるのは、基本的に内燃エンジンのみ。多くのライバルがPHEV版もラインナップするが、ジャガーのサルーンで選べる電動化技術は、マイルド・ハイブリッドのディーゼルに限られている。
そんなフラッグシップ・サルーン、XFの現在の競争力はどの程度あるのだろうか。そもそも、サルーンというセグメント自体が縮小傾向にある。今回の長期テストでは、そんな側面に焦点を当ててみたい。
530iやA6 45がライバルになるP250
恐らく、ジャガー最後の内燃エンジンを搭載した大型サルーンになるであろうXFは、マイナーチェンジを受けたばかり。見た目は大きく違わないが、その内側の変化は大きく、マイナーチェンジ前とは別次元といえるモデルへ進化している。
英国編集部にやって来たのは、XFのラインナップでは中間に当たる、251psを発揮する4気筒ガソリン・ターボエンジンを載せたP250。BMW 530iやアウディA6 45 TFSIがライバルとなるグレードだ。
0-100km/h加速6.9秒、最高速度249km/h、平均燃費は12.5km/Lという数字が並ぶ。直列6気筒エンジンが選べないことを悲しむドライバーもいるかもしれないが、ATを介して後輪を駆動する特長は維持している。
トランスミッションは8速AT。シャシーはカーブの連続する道でも、悪くない身のこなしを披露してくれる。スタイリングもとてもエレガントだ。
マイナーチェンジの内容は、ドイツ御三家に軽い頭痛を招かせるのに充分な内容だろう。それ以上といえるが、大幅に見直された英国価格だといえる。
3万3975ポンド(約523万円)から、ジャガーのフラッグシップ・サルーンに英国では乗ることができる。同等のBMW 5シリーズやメルセデス・ベンツEクラスより、5000ポンド(約77万円)ほど安い。
それでいて装備は充実している。オプションで盛る必要もない。非常にコストパフォーマンスが高い。
一新されたXFのインテリア
ただし、長期テストのXFはRダイナミックと呼ばれるスポーティな仕様。オプションが5000ポンド(約77万円)近く追加され、結果的にバーゲンプライスとはいえない、4万3110ポンド(約663万円)で仕上がっている。
XFは、マイナーチェンジでイメージも刷新された。より価格の高いグレードを選んでも、価格価値に優れたモデルを所有しているという満足感はあるだろう。
見た目の変化としては、スリムになったヘッドライトがわかりやすい。フロントグリルも形状が新しくなり、リアバンパーにはディフューザーも追加されている。
それ以上に変わったのがインテリアだ。目についていたプラスティック類は姿を消し、実際に押せるハードボタンの数も少なくなっている。純EVクロスオーバーのIペイスとリンクするシンプルなデザインが与えられ、豪華さを高めている。
特筆すべきは、ダッシュボード中央に据えられた11.4インチのタッチモニター。ジャガー・ランドローバー(JLR)の最新OS、ピヴィ・プロがインストールされ、車載機能のほぼすべてを操作できるようになった。
本物のブリティッシュ・スポーツサルーン
システム自体も素晴らしい。ライバルメーカーのインフォテインメント・システムには、使い勝手を誤解しているようなものも見受けられるが、ジャガーXFは違う。既に2400kmほど運転したが、使いにくいと感じたことはまだない。
XFの英国価格は大幅に引き下げられた。だが、クルマとしての仕上がりや機能性は、それを裏切るほど高められている。
もっとも、大きなタッチモニターは、良し悪し両面がある。物理的なボタンがなくなることで、運転中の操作が難しくなる場合もある。それでも、ジャガーXFの販売を後押ししれくれる要素になると筆者は思う。
ジャガーXFを購入するということは、本物のブリティッシュ・スポーツサルーンを所有するということ。その訴求力は健在だろう。ボディカラーはブリティッシュ・レーシンググリーンだ。
大型サルーン・カテゴリーを、ドイツ製サルーンが席巻している理由はいくつもある。マイナーチェンジを受けたジャガーXFが、充分な爪痕を残すことはできるだろうか。
セカンドオピニオン
英国南岸のブライトンから中部のシェフィールドまで、370kmの距離をジャガーXFで運転する機会があった。極めて心地よく、洗練された走り心地に関心させられた。
新しいインフォテインメントシステムも優秀。燃費は14.2km/Lまで伸びた。ボディサイズを考えれば悪くない数字だ。意気揚々と目的地に到着できたことが、快適性を物語っている。 Kris Culmer(クリス・カルマー)
テストデータ
価格
モデル名:ジャガーXF P250 Rダイナミック SE RWD(英国仕様)
新車価格:3万7835ポンド(約582万円)
テスト車の価格:4万3110ポンド(約663万円)
オプション装備
スライディング・パノラミックサンルーフ:1345ポンド(約20万7000円)
メリディアン・サウンドシステム:820ポンド(約12万6000円)
19インチ・スプリットスポーク・ホイール:800ポンド(約12万3000円)
ブリティッシュ・レーシンググリーン・メタリック塗装:700ポンド(約10万7000円)
ブラック・エクステリアパッケージ:550ポンド(約8万4000円)
プライバシーガラス:500ポンド(約7万7000円)
スマートフォン・ワイヤレス充電:300ポンド(約4万6000円)
空気イオン化テクノロジー:140ポンド(約2万1000円)
グローブボックス(クーラー&ロック付):60ポンド(約9000円)
空気品質センサー:60ポンド(約9000円)
テストの記録
燃費:11.3-12.5km/L(WLTP値)
故障:なし
出費:なし
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