2021年5月9日に行われたF1第4戦スペインGP決勝で、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは好スタートを決めレースの大部分をリードしたものの、最後にメルセデスのルイス・ハミルトンに逆転されて2位に終わった。主導権を握っていたはずなのに、終わってみればまたも2位。これはどういうことだったのか。レースを振り返ってみよう。
ワンストップ戦略で残り7周まで抵抗
レースのポイントはまず気温26度、路面温度32度と土曜日よりも涼しいコンディションになったこと。これにより、ラバーが乗ってきた路面状況も含め、「ワンストップ戦略でも行けるのではないか」という空気が流れていた。
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ただ、ほぼすべてのドライバーがソフトからミディアムに交換する中、戦略にある程度の柔軟性があったものの、タイヤの摩耗によるラップタイムの落ちは意外と大きく、2回のストップが必要であることが明らかになっていく。
1周目でトップに立ったのは2番グリッドからスタートしたフェルスタッペン。ターン1でハミルトンのインに飛び込んで見事にリードを奪い、1周目で早くも1.5秒の差をつけて逃げる。しかし、メルセデスのタイヤが温まると、差を広げられなくなる。さらに7周目にセーフティカーが導入されたことでフェルスタッペンのリードは消え、接近戦となっていった。
アンダーカットを警戒したフェルスタッペンは、24周目、先にミディアムタイヤに交換。4周遅れてハミルトンもミディアムタイヤに交換、両者1秒内外の差での攻防が続く。
ここで動いたのがハミルトン。42周目、コース上での逆転は難しいと判断して、再びミディアムに交換する2ストップ戦略に出た。
ここでのフェルスタッペンの判断は難しかった。すぐに同じ戦略をとってアンダーカットに対応するか、それともステイアウトしてそのまま逃げ切るか。ただ、この時のハミルトンは速く、次の周では同じ戦略では前に出ることができないタイミングとなっていた。フェルスタッペンはステイアウトして逃げ切る作戦をとるしかなくなっていた。
しかし、新しいタイヤで走るハミルトンに残り7周で追いつかれ、簡単にパスされてしまう。もう抵抗する力は残っていなかった。そこでフェルスタッペンはファステストラップを獲得する戦略に変更。ソフトタイヤに交換し、2位表彰台に加えてファステストラップによる1ポイントを獲得した。
チームメイトのセルジオ・ペレスは、スタートを好ダッシュを決めて、8番グリッドからオープニングラップで6番手までジャンプアップ。しかし、ダニエル・リカルド(マクラーレン)を抜けず、46周目のターン1でようやくリカルドを攻略した時には、4番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)とは大差がついていた。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「スペインGP決勝は、レッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手が2位表彰台を獲得しました。先週のポルトガルでのレースに続き、今回も2位という結果には非常に悔しい思いです。予選2番手でフロンロウからスタートしたフェルスタッペン選手は、よいスタートを決め1コーナーでポールポジションのハミルトン選手をパスしてトップに立ちました。しかし、異なるタイヤ戦略を採ったハミルトン選手に終盤にかけて激しく追い上げられ、逆転を許して2位。彼らは速さとチームの総合力で我々を上回っていたと感じています。チームメイトのペレス選手は、昨日の予選でひじの痛みなどもありうまくラップをまとめられず、8番グリッドからのスタートとなりましたが、トラフィックの中で難しいレースながらも、5位までポジションを上げてフィニッシュしました。いいレースを見せてくれたと思います。2週間後には、モナコGPを迎えます。低速コーナーが多い特殊な市街地コースですので、ここまでのレースとは異なるチャレンジになりますが、いい準備をしていければと思っています」とコメントしている。
メルセデスとの差はわずかだが、終盤のレースペースに課題
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
「今日はできることをすべてトライしました。スタートのターン1でリードを奪いましたが、メルセデスに対して少しペースが及びませんでした。もちろん勝ちたかったですが、できることはすべてやった上でチャンスを最大限に活かせたので、それほど落胆してはいません。他の戦略も検討しましたし、2ストップ戦略で彼らよりも早くピットに入っていたとしても、彼らのほうが今日は速かったので、前ではフィニッシュできなかったと思います。彼ら(メルセデス)の方は順位を失わずにピットインできるフリーストップの状態だったので、異なる戦略を採りやすい状況でした。彼(ハミルトン)が2度目のピットインをしたとき、2019年のハンガリーのように新しいタイヤで僕に追いついてくるだろうと思いました。できることはすべてやりましたが、なす術なしの状態でしたね。タイヤによるペースの違いから、ルイスは楽にパスしていきましたが、僕は2位を確保してファステストラップもマークすることができました。今日は少し僕らにペースがわすかに足りなかったので、2位は最大の結果です。彼らがなぜレースペースをここまで上げてくることができたのかを分析する必要があります」
セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
「ここはオーバーテイクが簡単ではないので、タフなレースになりました。1周目はいいラップで、いくつかポジションを上げましたが、その後はダニエル(リカルド)をパスするのにかなり時間を要してしまいました。マクラーレンはストレートでかなり速く、オーバーテイクは大変でしたが、ターン1のアウト側から抜くことができました。自分がすべきことは分かっていたので、プッシュして戦略を機能させようとしましたが、タイヤのライフがあまり残っていなかったので、難しい状況でした。マシンに対する自信は増していますし、レースウイークを終えるごとに慣れていて、いつも、今からまたすぐにレースウイークが始まれば、と思うほどです。それぞれサーキットは異なるので、ここで学んだことがモナコで必要になものとは異なるかもしれませんが、僕はまだ適応中で、もうすぐ100%の状態にできればと思っています。モナコが楽しみです。特に僕らのマシンがこれまでもかなり強かった場所なので、勝利のチャンスがあると思います」
次戦第5戦モナコGPは5月20日木曜日に開幕、23日日曜日、モンテカルロの市街地サーキットで決勝レースが開催される。
2021年F1第4戦スペインGP決勝 結果
1位 44 L.ハミルトン(メルセデス)66周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) +15.841s
3位 77 V.ボッタス(メルセデス)+26.610s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+54.616s
5位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+63.671s
6位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス) +73.768s
7位 55 C.サインツ(フェラーリ) +74.670s
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス) +1周
9位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+1周
10位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+1周
・・・・・・・・・・・・・・
リタイア 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1ドライバーズランキング(第4戦終了時)
1位 L.ハミルトン(メルセデス) 94
2位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 80
3位 V.ボッタス(メルセデス) 47
4位 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス) 41
5位 C.ルクレール(フェラーリ) 40
6位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)32
・・・・・・・・・・・・・・
10位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)8
13位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ) 2
2021年コンストラクターズランキング(第4戦終了時)
1位 メルセデス 141
2位 レッドブル・ホンダ 83
3位 マクラーレン・メルセデス 65
4位 フェラーリ 60
5位 アルピーヌ・ルノー 15
6位 アルファタウリ・ホンダ 10
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みんなのコメント
予選で1-2であれば可能性はある。
スペインはチーム戦略が敗因、マシンは勝負できる。
選択肢の作り方を間違えていたみたいですね。
結果論ですがね。
アルファタウリはガスリーのセッティングではマクラやフェラーリと中盤争いは出来ない。弱アンダーで走るのは時代遅れだ。角田君はF2とは違う世界にいる自覚がない。
F1は大人の世界のスポーツだ、子供が吠えても勝てるレベルではない。与えられた環境に汚い文句を言ってる時点で失格だよ。言い方があるだろう。
昔の自分を見ているようだ(笑)