Rd.1 PaulRicard
2021.05.13~2021.05.16
■Introduction
2月のアジアン・ル・マンシリーズへの挑戦から3カ月、根本悠生の2021年シーズンの主戦場と言えるインターナショナルGTオープンが5月13~16日、フランスのポール・リカール・サーキットで幕を開けた。チームはヴィンチェンツォ・ソスピリ・レーシング(VSR)、マシンはランボルギーニ・ウラカンGT3エボという根本にとって馴染み深い体制のなか、新たに21歳のベルギー人、バプティスト・ムーランをチームメイトに迎えて挑むこととなった。
F1の開催地としてもお馴染みのポール・リカール・サーキット。根本にとっては2017年のランボルギーニ・スーパートロフェオ・ヨーロッパ以来となるが、開幕前の事前テストでも走り込むことができている。
予選は2回、それぞれ30分間行われ、15日午前の予選1回目のタイムで70分間のレース1の、16日午前の予選2回目のタイムで60分間のレース2のスターティンググリッドを決定する。昨年のイタリアGTスプリント選手権と大きく違うのはタイヤだが、ピレリからミシュランへの変化に対しても、公式テストでの走り込みでアジャストし、開幕を迎えることとなった。
懸念があるのはGT3マシンの性能調整であるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)。他のマシンがほぼ変化がないなか、ランボルギーニ・ウラカンGT3エボは前回参戦した2019年よりもリストリクター径が40mmから39mm、ウエイトが+30kgと厳しい条件となった。
イタリアGT選手権王者の根本悠生、2021年はGTオープンで欧州の強豪に挑む
■Qualify1:10th
非公式テストセッションと2度の公式練習を経て迎えた5月15日午前、レース1のグリッドを決定する公式予選1が行われた。気温15度、路面温度26.6度のなか、チームメイトのムーランがアタックを担当。2分02秒349を記録して16台なか10番手でセッションを終えた。
ポールポジションを獲得したメルセデスAMG GT3は1分59秒926と2秒423というギャップが開いてしまう。トップ2がメルセデス、以下ベントレー、マクラーレン、ポルシェと続き、ランボルギーニ勢にとって厳しい結果となった。
■Qualify2:5th
翌16日に行われたレース2のグリッドを決定する公式予選2は根本がアタッカーを務めた。雨上がりのコース上には所々に水が残る難しいコンディションのなか、2分02秒754を記録し、予選1よりも5グリッドも前となる16台中5番手、ランボルギーニ勢のトップで予選を終えることになった。
しかしながら、トップタイムを記録したアウディとは0.727秒のギャップがあり、レース2も厳しい展開が予想された。チームはできる限りのセットアップ改善を試み、当日午後のレース2を迎えることとなった。
■Race1:7th
15日午後に行われた決勝レース1は気温15.1度、路面温度26.8度というコンディションのなかスタートを迎えた。開始早々の1周目、ターン3で元F1ドライバークリスチャン・クリエンのマクラーレンとメルセデスが接触し、マシンが跳ね上がるクラッシュとなりセーフティカーが導入された。
ムーランが第1スティントを務める19号車はこのアクシデントをすり抜け9番手を走行。4周目終わりにリスタートを迎えるも、ストレートスピードがライバル勢に比べ10km/h遅く、厳しい戦いが続く。そんななか、6周目にランボルギーニ・ガヤルド・ライターR-EXが単独クラッシュを喫し、2度目のセーフティカーが導入された。13周目、残り時間33分というピットウインドウオープン直前でふたたびレースが再開を迎えると、19号車は翌周にピットイン。ここからは根本悠生がステアリングを握す。
コース復帰後、根本は2分3~4秒台で周回を重ねますが、ロングストレートをなか心とした高速レイアウトのポールリカールではライバル勢を追うことは叶わず。18周目、背後からは2009年のFIA-F2王者アンディ・ソウセックが根本を襲う。
しかし、巧みなラインどりでオーバーテイクの機会を奪う姿は国際映像でも注目の的となった。6周もの激しいバトルが続いたが、やはりストレートスピードが段違いのポルシェを抑えることは厳しく、24周目にかわされ7番手にポジションダウン。続いて26周目にはアウディにもかわされてしまうも、上位勢のトラブルの影響もあり、7番手でチェッカーを受けた。
■Race2:2nd
16日午後に迎えた決勝レース2は気温18.8度、路面温度27.8度というコンディションのなか、スタートを迎えた。レース1と違い、レース時間は60分。そしてGTカップクラスとの混走となり、コース上には26台のマシンが並んだ。
スタートを担当した根本は3番グリッドスタートのポルシェの背後にピタリと続いてローリングスタートを迎えると、1コーナーでポジションを3番手にまで上げる。その後、予選後のセットアップ改善が効いたか、トップと遜色ない2分3秒台の安定したタイムで周回を重ねた。
そんななか、9周目ににトップを走るマクラーレンと2番手ポルシェが軽く接触、その混乱を突いた根本が2台をまとめてオーバーテイクすることに成功し、19号車はトップに浮上した。しかし、レース1から改善があったとはいえ、ポルシェとのストレートスピードには5km/hの差がある。元F2王者ソウセックの乗る2番手ポルシェとは1秒以内の接近戦が続いた。
16周目、根本はピットイン、ムーランにステアリングを託すことになったが、コースへ復帰すると、同じVSRの63号車にかわされてしまう。そして、翌周ピットに入ったポルシェにもかわされてしまい、3番手を走行。
しかし、最終29ラップの最終コーナーでムーランが執念のこもったオーバーテイクを決め、2番手に浮上。そのままチェッカーを受け、ランボルギーニがサポートするVSRがワン・ツーでレース2を終えることとなった。
■根本悠生コメント
「シーズン開幕戦となったフランス、ポール・リカール大会は練習走行から順調にプログラムに沿ってセッションを進めることができました。走り出しからBoPが厳しいことは分かっていたので、多少パフォーマンスを犠牲にしてでもトップスピードを稼ぐ方法なども練習走行で確認できていたのが今回の大きな要因でした」
「予選ではGT CUPクラスと混走となる公式予選2を担当。夜のうちに降った雨によってコースの所々がまだ濡れているという状況で、久し振りにタフな戦いになりました。誰しもがファイナルラップにタイムを出すであろうというコンディションのなかで3列目5番手を獲得できたのは非常に良かったです」
「レース1、レース2ともに担当スティントをとおして力強い戦いができました。とくにレース2では前日の反省を活かしたセットアップを施したことでより他車と戦いやすくなり、最終的に5番手からトップまで順位を上げることができたのは今回の表彰台獲得の大きなファクターとなりました」
「相方の強烈な最終ラップ最終コーナーのオーバーテイクもあり、今季初の2位表彰台を獲得できたこと、大変うれしく思います。信頼できるクルマを作ってくれたチーム、スクアドラコルセ。そしてスポンサー様や最後までライブストリーミングを通して応援して下さった皆さま、ありがとうございました。次戦ベルギーのスパ・フランコルシャン大会も引き続き宜しくお願い致します」
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