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モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ 試作車へ試乗 CXシャシーのレーサー

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モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ 試作車へ試乗 CXシャシーのレーサー

モータースポーツと関わりが深いモーガン

モーガンは、1962年のル・マン24時間レースでクラス優勝を果たした過去を持つ、モータースポーツとの関わりが深いブランドだ。2000年代にもサルテ・サーキットでの戦いに挑んでいる。ワンメイクレース・シリーズも開かれている。

【画像】モーガン・プラスフォーとプラスシックス A110とケイマン、セブンのレースカーも 全137枚

クラシカルな見た目とは裏腹に、モーガン社も、そのオーナーもレースが大好き。北米や欧州のサーキットでは、週末になるとスパルタンなプラスフォーたちがラップタイムを削っている。

一方で、創業から111年という歴史を持つモーガンだが、近年ほど積極的にレースへ取り組んできたことはなかった。実際、最新のプラスフォーがベースとするCXシャシーを展開し、サーキットマシンを試作するにまで至っている。

CXシャシーはアルミニウム製のモノコックで、従来のスチール製ラダーフレームとは比べ物にならないほど剛性が高い。柱で支えるだけでなく、面で支える方が強固なことと同じだ。加えて軽量でもある。

シャシーレスポンスと俊敏性を向上させることが可能なうえ、新設計となるダブルウイッシュボーン・サスペンションの動きの精度も磨ける。丈夫なシャシーから得られるメリットは大きい。

このCXシャシーの可能性を探るべく、2台のプラスフォーがバーミンガム郊外にあるウォルバーハンプトン大学モータースポーツ・エンジニアリング・コースの学生へ提供された。1台は6速MT、1台は8速ATという構成で。

開発初期の段階のクラブスポーツ

学生たちはCXシャシーが許容する負荷や能力を調べ、クラブレース用と耐久レース用、2種類のシャシーを開発。その2台のマシンで、グレートブリテン島の西に浮かぶアングルシー島で開催される、12時間耐久レースへの出場も果たした。

筆者はそのレース直前に、MTのプラスフォーへ試乗させてもらった。ハードトップを付けて。

このクラブスポーツは、まだ開発初期の段階で完成はしていない。公道用のプラスフォーと同じ、258psを発揮するBMW社製の直列4気筒エンジンは基本的に手つかず。リアのオープンデフもそのままだ。

今後、エンジンには改良が加えられるはず。クワイフ社製のリミテッドスリップ・デフ(LSD)も導入を考えているという。

タイヤは公道用のエイボンZV7。サスペンションのジオメトリーも変更は受けていないが、スパックス社製のコイルオーバーキットが組まれ、スプリングレートを上げつつ、車高は落とされている。

サーキットへ出てみると、息を呑むほど速いわけではなく、カミソリのようにシャープでもない。ステアリング・レシオはクイックにしてあるが、ボディロールが大きく、ステアリング操作にボディが充分についてこれない。

タイヤのグリップも高いとはいえない。LSDがないから、タイトコーナーを回るにも高速コーナーを抜けるにも、トラクションが心もとない。

クラシックレーサーのような身軽さ

サーキットマシンというより、ロードカーに近いことは否めない。同時に、まだ多くの可能性が残されていることも間違いない。

前後のタイヤがしっかりシンクロして動いており、CXシャシーの剛性の高さは明らか。フロント・サスペンションへ負荷が掛かり旋回を始めると、リアは狂いなく追従していく。コーナーへねじ込むのではなく、吸い込まれるように走る。

ボディロールが大きいといっても、一貫して徐々に角度が増していく印象。ボディは柔らかく流れる。筆者が乗った消化器が備わったクルマで、最もマイルドだ。

ペースを速めていくと、グッドウッド・リバイバルのイベントで優雅にサーキットを舞う、クラシックレーサーのような身軽さを披露し始める。リアタイヤが漸進的に流れ、大きなステアリングホイールを軽快に操作していける。

そのまま数周、クルマの個性を理解するほどに、充足感はさらに高まる。とても楽しい。

モーガン・プラスフォーは軽い。公道用モデルの乾燥重量は1013kgだが、このシングルシーターのクラブスポーツ・プロトタイプもほぼ同じ。内装は省かれているものの、ロールケージで相殺されている。

この軽さが、コーナーからコーナーへ流暢に操れる繊細さをプラスフォーに与えている。

垣間見れるCXシャシーの能力の高さ

これから煮詰めるなら、まずロール剛性を高めたいところ。特にフロント側で。アンダーステア主導の特性がバランスされ、コーナー目掛けてより積極的にブレーキングできるようになる。旋回中の安定性も改善するはず。

アンチロールバーを太いものに交換し、ネガティブキャンバーを強め、車高をさらに落とし、より溝の少ないエイボンZZRタイヤを履かせると良い。ダンパーもオーリンズ社製など、もっと高性能なものが欲しい。LSDも。

CXシャシーの能力が高いためか、モーガン・プラスフォーをシリアスなサーキットマシンに仕立てることは、さほど難しくないようだ。最終的にどのレベルへ落ち着くかは、予算とドライバーのニーズによるだろう。

ただし、開発段階のクラブスポーツが備える、楽しく優しいオールドスクールな能力も魅力的。この個性を残して欲しいとも思った。

モーガン・プラスフォー・クラブスポーツ・プロトタイプのスペック

英国価格:7万5000ポンド(約1140万円/予想)
全長:3830mm(標準プラスフォー)
全幅:1650mm(標準プラスフォー)
全高:1250mm(標準プラスフォー)
最高速度:241km/h(予想)
0-100km/h加速:5.2秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1010kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:258ps/5500rpm
最大トルク:35.6kg-m/1450-5000rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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