旧車オーナーなら1度は体験するあるある話
旧車が欲しいとか、旧車オーナーになりたいと思っている方も多いと思う。性能は落ちるとしても、今のクルマにはない個性にあふれているし、「自分は旧車のオーナーである」という優越感にも浸れるだろう。
「ウソだろ? むかし数十万円で売っちゃった……」あまりの高騰ぶりに驚愕必至の国産旧車とその価格
それは確かにあるものの、今のクルマにはない驚きの珍事は当たり前のようにあったりするだけに、スマートな旧車ライフはなかなか送れなかったりする。でもそれも含めて「旧車に乗る」というワケなのだが……。そこで今回は旧車オーナーならではのあるあるネタを紹介しよう。
1)キーがいっぱいある
スマートキーなんてなんのその、アナログキーしかないが、それにしても常識的には1本というのが普通だろう。しかし、旧車は違う。まず、そもそもドアとエンジンが違うというのがあって、そうなると当然2本存在することになる。そしてもうひとつが1本でドアもエンジン始動もカバーしていたのに、長い歴史の間にドアのキーシリンダーだけ交換されてしまっているパターン。
そうなると、運転席のドアだけ違うということになったりする。ちなみにバイクの旧車でも、エンジン/ハンドルロック/ヘルメットホルダーの3つがすべて同じキーで作動するものを「1本モノ」と言って珍重される。キーはそれほど、それまでの歴史、そして程度を反映するものなのだ。
ちなみに筆者の旧車はカギ穴がバカになっていて、ドライバーでも開けることが可能……。
2)突然止まる
エンコ(エンジン故障の略)やエンスト(エンジンストールの略)は今や死語になりつつも、昔はフツーにエンジンは止まっていたし、掛からなくなったもの。原因はいろいろとあって、電気系や燃料系、エンジンそのものという場合もあった。機械だから、エンコも当たり前という意識があったのは確か。慌てず、騒がず、壊れたら直せばいい、という精神だ。
3)雨の日は乗らない
当然、現役時代は雨でも乗られていたが、価値が出てくるとサビが怖い。そうなると、雨の日は乗らないというか、乗りたくないという気分になったりする。ただ、セカンドカーがあればいいが、旧車1台ですべてを賄っている猛者はそんなことも言ってられないので、雨でも乗るしかない。そもそもの意識としても、乗る人と乗らない人に真っ二つに分かれるのが、雨の日問題だ。
4)エンジンがかからない
こちらはエンコとは違う、問題ないけどエンジンがかからないというパターン。とくに寒い日の朝はチョーク引いてもなかなかかかってくれず、その昔はヤカンでお湯をかけて、ヘッドまわりを温めたりしたもの。夏でも熱くてかかりにくくなるし、今のクルマがキーをひねればいつでもすんなり始動するのは、本来、極上の幸せなのだ。
5)暑い、寒い
エンジン始動と同じく、エアコンはありがたいもので、それがない旧車は地獄だったりする。ヒーターはエンジンの熱を使うので効くことも多いのでいいとしても、クーラーは昔は高級装備なのでないのが当たり前。
付いていても「エアコン」ではなく、あくまでも「クーラー」なので、微妙な調整は無理でめちゃくちゃ寒くなったりする。湿気が多いと白い煙みたいなのがモクモクと出るし。現在、当時の冷媒であるR12が手に入りにくくなっているので、クーラーのメンテをどうするか悩ましいのも旧車オーナーあるあるだ。
6)ハンドルが重い
旧車に興味がある方なら、パワステなし。いわゆる重ステが当たり前なのはご存知だろう。しかし、頭でイメージする以上に重いのだ。とくにFFは、固まっているんじゃないかというぐらい重たい。コツは自らを鍛えるのと、少しでも動かしながら切るということ。完全停止の据え切りは至難のワザゆえ、これが理由で旧車を卒業する年配ファンもいるほど。
7)家族が動じなくなった
本来、家族にしてみれば突然止まってしまうようなクルマは願い下げで、ミニバンでワイワイやりながらドライブに行きたいなどと言われそうなものだが、慣れてくると不調も当たり前。「押してくれ!」のひと言で、サッと後ろに回って押してくれたりするから、慣れというのは恐ろしいものである。
8)給油口がわからない
今のクルマは右か左か程度で迷うことはない。一方の旧車となると変なところにあることも多い。リヤのナンバープレートの裏とか、トランクの上など、ガソリンスタンドではスタッフに迷われることもあって、面倒なので自然とセルフに行くようになる。また最近の給油機ですぐに止まるので、自分で心ゆくまで満タンにしたいというのもある。
9)やたらと話しかけられる
とくに高齢の方は、寄ってきて話しかけるのがお好きなようで「壊れるのか?」「部品はまだ出るのか?」「程度がいいのう」さらには「昔乗っていた」などネタも豊富。あまりにも同じことを聞かれるので、ホームページで見かけるような「よくあるご質問(FAQ)」というチラシを作りたいぐらい。
もちろん実際はニコヤカに対応してあげるが。ちなみにうちは古いほうのチンクエチェントなので、「スバル360じゃないのか?」「なぜ左ハンドルなのか? というかこれはガイシャか!?」「小さいのに白いナンバーなのはなぜか?」というのが定番。
10)気がついたら価値が上がっていた
「ちょっと前まで二束三文だったのになぁ」というのはよく聞く言葉。名車というか有名どころが高くなるのはイメージできるが、旧車全体が高くなっていて、数年前にフツーの旧車を買ったオーナーでも、知らない間に高騰なんていうこともある。
投資になると言えばなるが『なんでも鑑定団』の評価金額と同じで、その価格で売れるわけではないので勘違いはしないように。実際に見積もり取ったら激安で、それでもいいから売ったら、激高で店頭に並んでいたなんていう笑えないエピソードもある。
11)気がついたらパーツがない
「いつまでもあると思うな親とパーツ」。まだ出るから大丈夫と安心していると気がつくとないというのが、旧車オーナーあるある。最近は復刻パーツを各メーカーとも力を入れているが、基本的には日本メーカーはパーツ供給がかなり悲惨。
走る、曲がる、止まるのための最低限のものすら続々と製造中止だ。大切に長く乗りたいなら、消耗品は買えるときにストックするのが基本で、そうでないとネットオークションで泣く泣く高いデッドストックを買う羽目になる。
12)でも絶対手放さないです!
最後に贈るのがこのあるある言葉。買ったばかりのオーナーはけっこうこれを発するものの、気がつけば「やっぱり手放しました」という例が多い。なにが起こるのかもわからないのに、乗り続けられか判断するのは難しいだろうに。「苦労するだろうけど、なんとか維持します」程度のほうが長く乗る傾向にあるように思う。
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