2024年のIMSAウエザーテック・スポーツカー選手権に、フォード・マルチマチック・モータースポーツのファクトリードライバーとしてGTDプロクラスに参戦し、シーズンを通して新型マシン『フォード・マスタングGT3』のステアリングを握る予定のジョーイ・ハンドとディルク・ミューラー。来月のデイトナ24時間レースで新車のデビューを控える彼らは今週、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われているIMSA公認テストでは「走行距離を稼ぐ」ことに主眼を置くと語った。
フォードGTでのIMSA GTLMプログラムでタッグを組んでいたハンドとミューラーは2024年のIMSAに向けて再結成され、フォードのファクトリーチームが運営する65号車のペアとして、ハリー・ティンクネルとマイク・ロッケンフェラーがドライブする姉妹車64号車とともにGTDプロクラスに参戦する。
2024年にデビュー飾るフォード・マスタングGT3。GTDプロクラスのドライバー4名が発表/IMSA
“ロッキー”ことロッケンフェラーを除くすべてのフルシーズンドライバーは、2016年から2019年までのIMSA GTLMクラスやWEC世界耐久選手権のLMGTEプロクラスで成功を収めたファクトリー・フォードGTプログラムの一員を務めたメンバーだ。
「これは別のプロジェクトの始まりであり、非常に大事なことなんだ」とハンドはSportscar365に語った。
「フォードGTプログラムがどのように進められていったかを思い返してみると、2015年末にあのプロジェクトを始めるべくここに転がりこんできた時、フォードでは誰もが新人だった」
「いま、我々はそのプロジェクトで何が起こったかを知っている。そして歴史をまた作ることができると思っているんだ。クールなことができるさ」
「マスタングでふたたびレースをする。いろいろなことが頭をよぎるよ」
「いつもレースをしていて、毎年同じことをやっていると、『レースをしている』という感覚になる。でも今回はカムバックのようなものだから、少し感覚が違うんだ」
デイトナでのテスト2日目、7日・木曜のGTマシンのスタートは、マルチマチック製のマスタングGT3がデイトナのバンクに臨む初めての機会となる。ミューラーはこのIMSA公認テストによって新車について多くのことが分かるだろうと考えている。
「信頼性という点では、このコースにはまだ来たことがない。デイトナは非常に特殊なサーキットだが、おそらくエンジンはダイノでこのトラックをシミュレートしているだろう。アメリカでさまざまなトラックを走ったことは確かだけどね」
「今週末までにはもっと多くのことがわかるだろう。マシンはまだ生まれたばかりだ。最初の2台の新車なのだから」
「以前(ドライブしたの)はテスト用のシャシーだったんだ。これまでにシェイクダウンとテストをやったから、今回が3回目のイベントだ。すべてが新たにチームから準備されたものだ。テストカーの開発から、レースカーの製造へ移行するということでもある」
「いま話したとおり、彼らはレースカーを作っている最中なんだ。面白いよね。先週はモアーズビル(ノースカロライナ州)のショップに行ってシートフィッティングをしたんだ。そこにはすでに準備が完了したマシンもあった。本当にとてもカッコいいし、興奮するよ」
■“生まれたばかり”のマシンは距離を稼ぐことが重要とハンド
IMSAのターゲット・パフォーマンス・テストが行われない木曜日の走行で何に主眼を置くのかという問いに対し、ハンドは、シンプルに走行距離を稼ぐことになるだろうと答えた。
「新車を投入する時はいつでも、やはり走行距離が重要だ」と彼は述べた。
「僕たちがまだ知らないことを、このクルマがやれるとは思っていない。速度域が高く、このようなスタイルのトラックを走って、どのように機能するかを確認することが必要だろう」
「僕の考えでは、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)テストと一緒にマイレージを稼ぎ、クルマに多くの周回数を走らせてデータを集めることになると思う。走行初日はマシンをコースインさせ、バランスをチェックし、調整を加えてマシンのフィーリングを良くし、そして走行距離を稼ぐことになるだろうね。たくさん走ることには誰も反対しないよ」
さらに僚友のミューラーはこう付け加えた。
「エンジニアリング部門には、彼らがやりたいことがたくさん書かれた本がある。きっと発見できることがたくさんあるはずだ。以前にテストしたことがあったとしても、我々はいろいろなことを繰り返し、シンプルにやっていきたいんだ」
■“誰も知らない”ミシュランの新タイヤ
ハンドとミューラーは、2024年から導入されるミシュランの新タイヤ『パイロットスポーツ・プロGT H1』の未知数についてもSportscar365に語っている。
「この新しいミシュラン製タイヤについては、我々も多くを知らないんだ」とハンド。
「誰も知らないんだよ。リストを見て気になるのはデグラデーション(タイヤの劣化)がどこで進んでいるかということだ。タイヤの端の方が劣化が激しいのか? その劣化具合はどうか? ということだね」
一方のミューラーは、新しいタイヤがクラス全体の新しい変数となることで、彼らに有利に働く可能性があると感じているという。
「ここでもヨーロッパでも、我々はたくさんの距離をテストしてきた。タイヤの違いを発見できるようになっているんだ」
「グッドイヤーのテストもしたし、ピレリのテストもやった。同時に我々はごく最近、短いテストのために初めて新しいミシュランを履くことができた」
「このことは、それぞれのタイヤが違うことを意味している。ミシュランの『S9M』で何をしてきたにせよ、新しいタイヤとは違うんだ。だから誰にとっても新しいものだし、その点は(僕らにとって)良いことだね」
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