先を行き過ぎたモデルも…
クルマというのは多くの優秀な人材が集まって開発されているわけで、近年発売されるモデルでは明らかな欠陥を抱えて市場に登場するモデルは皆無と言っていいだろう。しかし、そんな新モデルでも時代の波に乗り切れずにヒット作にならなかった車種は残念ながら存在してしまっている。そこで今回はそんなモデルを供養する意味も含めて振り返ってみよう。
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1)スズキ・ツイン
1999年に開催された第33回東京モーターショーで「ザ ベスト コンセプトカー」特別賞を受賞した「Pu3コミュータ」が元となり2003年に発売されたスズキ・ツイン。アルトのコンポーネンツを流用しながら、ホイールベースを1,800mmまで縮めた2シーター車だった。
通常のガソリンエンジン車のほかに、トランク部にバイク用のバッテリーを敷き詰めたハイブリッドも投入され、34.0km/Lというカタログ燃費を誇っていた。このツインハイブリッドは軽自動車としては初のハイブリッド車であったが、ガソリンエンジンの上級グレード「ガソリンB」が840,000円だったのに対して「ハイブリッドB」は1,390,000円と圧倒的に高価だったことが災いし、販売は低迷。結局ガソリンモデルよりも先に販売を終了してしまっている。
現在では超小型モビリティに注目が集まり、バッテリーのコストも下がっているため、時代が時代ならもう少し評価されていた車種かもしれない。
2)日産ムラーノ(2代目)
元々は北米市場向けに販売することを前提に開発された車種だったムラーノだが、2003年に開催された第37回東京モーターショーに参考出展したところ予想以上の反響があり、急遽日本での販売が決定したというモデルだった。
当時のフェアレディZを思わせるようなスポーティなフォルムと、SUVらしい走破性を感じさせるデザインは注目の的となり、日本向けに直4エンジンがラインアップされていたことから初代モデルはスマッシュヒットを記録している。
しかし、2代目になるとライバル車も増え、初代に設定のあった2WDモデルが設定されなかったこともあり(2WDモデルはデビューから1年以上後に追加)スタートダッシュに失敗。海外ではディーゼルエンジンやオープンモデルのクロスカブリオレが追加されたが、日本仕様では大きな動きもなく2015年に販売を終了している。
国外では3代目モデルが存在しているが、日本への投入はされないまま。現在のクロスオーバーSUVブームがもう少し早く来ていればムラーノの評価も変わっていたかもしれない。
3)ホンダ・インサイト(初代)
1997年に登場した世界初の市販量産ハイブリッド車であるプリウスに、ホンダらしさ全開で真っ向勝負を挑んだのがインサイトだ。オーソドックスなセダンスタイルだったプリウスに対し、インサイトは2シータークーペスタイルを採用し、往年のCR-Xを思わせるリヤエンドをすっぱり切り落としたカムテールとしていた。また、リヤタイヤ周辺の整流を考慮したホイールスカートを装着するなど徹底した空力ボディを持ち、その結果、Cd値は0.25まで向上させていた。
さらにNSXで培った技術を基に作り上げたアルムフレームや、外板パーツに樹脂を多用するなど軽量化にもこだわって、車両重量は軽自動車並みの820kgとなっていた。そして、なんといっても3ペダルを持った5速MTが用意されていたのが、ホンダらしいところだろう。
その結果、当時の量産ガソリン車として世界最高の35km/L(デビュー時)という驚異のカタログ燃費を実現していた。しかし、まだハイブリッド車が市民権を得ていない時代に2シータークーペというのは受け入れられず、日本国内での販売台数は2300台ほどであった。
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