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トヨタ・セリカXXがスープラとしてレース初参戦した理由とは

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トヨタ・セリカXXがスープラとしてレース初参戦した理由とは

勝利までの道のりは決して容易ではなかった

 先代モデル(80系)の生産中止から17年が経ったトヨタ・スープラ。この春、国内販売となる5代目スープラ(90系)は、トヨタのモータースポーツを統括するGR(GAZOO Racing)のイニシャルが入ることから、モータースポーツでの活躍にも期待が高まっている。

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 そして、その礎を築いた歴代スープラもレースシーンで名勝負を繰り広げた。今回は、モータースポーツで活躍した歴代スープラにクローズアップ。国内のレースシーンで衆目を浴びたトップ5を前編/後編にわけて紹介しよう。

インターTECで国内メジャーデビュー

 85年、3シーズンぶりに国内最高峰のチャンピオンを争う全日本選手権が、ツーリングカーレースに変わることになった。新生となった「全日本ツーリングカー選手権(JTC)」の主役は、それまでのグループ2(特殊ツーリングカー)からグループA(量産ツーリングカー)へと交代したのだ。

 グループAというカテゴリーが登場するまでのツーリングカーレースは、各チューナーがオリジナルのチューニングパーツを開発してマシンの性能を向上。しかし、グループAレースでは、参戦できる公認車両に自動車メーカーが用意した(公認を受けた)パーツを組みこんで性能アップのチューニングをするようになり、レースを戦う仕組みそのものが、それまでとは一変した。ちなみに、このレース規定に合わせて89年に登場したのが日産スカイラインGT-R(R32型)。さらに、各メーカーからは、実際には一般市場に流通せずレース専用ともいえるオプションパーツがラインアップされていた。

 だが、85年当時の国内にはそれまでグループAで戦うレースそのものがなく、自動車メーカーも手探り状態。ところが、英国ツーリングカー選手権(BTC)やヨーロッパ・ツーリングカー選手権(ETC)などに現地のチームが参戦していたトヨタは、一歩リードして開幕を迎えることになる。

 そして、同年6月に行なわれた全日本ツーリングカー選手権の初戦では、大排気量のマシンを相手に1.6リッターエンジンのカローラ・レビン(AE86)が総合優勝。クルマ好きやレースファンにはよく知られたエピソードとなった。しかし、普通に考えればカローラ・レビンはあくまで1600ccクラスでの優勝を争うクルマ。シリーズ優勝するためには大排気量車の開発は必須だった。

 こんな考えから用意されたマシンがスープラ(A60系)だ。当時、国内では「セリカXX(ダブルX)」と呼ばれていたが、英国BTCを戦っていたクルマをベースに開発された公認車両名はトヨタ・スープラとなっていた。

 このグループA仕様のスープラが国内レースにデビューしたのは85年の11月。JTCの最終戦にして、初めて富士で開催された国際ツーリングカー選手権の最終戦「インターTEC」がその舞台となった。

 トムスとサード、そしてC-Oneスポーツからエントリーされたスープラのうち、関谷正徳と小河等、トムスのエースコンビがドライブしたミノルタα-7000セリカが、予選20位から見事な追い上げによって7位でチェッカー。ただし、1600ccクラスのトヨタAE86型カローラ・レビンに先行 を許すことになり、ポテンシャル的には疑問の残るデビュー戦だった。

*写真はデビュー戦、85年の第1回富士インターTECで小河がドライブする8号車(富士スピードウェイ提供)。

後継の70系がデビュー・レース・ウィン

 1985年のインターTECでほろ苦デビューを果たしたスープラ/XX(A61)は、翌86年シーズンも引き続きJTCに参戦。しかし、その後も好成績を残せすことはできなかった。そして同年2月に次世代の新型スープラ(MA70系)に移行。8月に追加設定されたブリスターフェンダーのワイドボディを持つ『3.0GTリミテッド』をベースに、グループA仕様が開発されることになった。

 NAの2.8リッターエンジンで苦戦した先代スープラ/XX(MA61)の轍を踏まぬよう、3リッター直6ツインカムターボの7M-GTEUを搭載。オリジナルの230馬力から280馬力(公称)へとチューニングされたが、実際には400馬力近かったようだ。

 そんなMA70スープラのレースデビューは鮮烈なものとなる。舞台となったのはJTCのシリーズ第5戦・スポーツランド菅生。事実上のトヨタ・ワークスであるトムスから2台が参戦。ドライバーは36号車がアラン・ジョーンズとエジェ・エルグ、37号車がジェフ・リースと星野 薫だ。

 予選では36号車が、すでに2勝を挙げている三菱スタリオン・ターボに次ぐ予選2位を奪い、前年度のチャンピオンマシン、日産スカイラインRSターボ(R30型)を挟んで、37号車も4番手。デビュー戦としては上々の滑り出しとなった。決勝では37号車がトラブルに泣いたが36号車は、スタート直後にトップに立つと以後は快調に周回。ライバル車が次々とトラブルに見舞われて後退していくのを横目に、そのまま300kmを走りきってデビュー・レース・ウィンをはたすことになる。

 写真は富士通テン・カラーで90年に出場した37号車。車両は88年から登場しているフロントバンパー中央部分にエアダクトが設けられたエボリューションモデルだ。開幕戦こそ関谷正徳/小河等のエースコンビがドライブしたが、以後はそれぞれが当時の若手である黒沢琢弥や舘 善泰らを指導する格好でドライブしていたものだ。

 87年のJTCでデビューウィンを飾った初代スープラ(MA70)だったが、翌88年にはFIAの車両規則が変更され排気量のターボ係数がそれまでの1.4から1.7に引き上げられることになった。3リッターターボのスープラは4.2リッターから5.1リッターへとクラスが嵩上げされることになり、最低車両重量も1325kgから1420kgへと100kg近くもアップ。この車重アップの規則はシビアすぎるものだった。

 その後、エアダクトを追加し、ターボを変更してエンジンをパワーアップさせたホモロゲーションモデル『ターボA』を投入したものの、ウェイトによる課題は大きく響き、2勝目をマークすることなくMA70スープラは現役を引退する。スープラは、次なる全日本GT選手権レースの時代までしばし雌伏してゆくことになる。後編に続く。

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