1990年代のとある音楽シーンで流行したマイナーな国産ミニバン
マツダ「MPV」は1988年に北米をターゲットとしたミニバンとして発売され、1990年から日本でもアンフィニ店での販売がスタートし、2度のモデルチェンジを経て2016年に生産が終了しました。国内ではトヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」などの後塵を拝し、ややマイナーな存在であったことは否めないでしょう。そんなMPVは、1990年代のアメリカのとある音楽シーンで支持を集めていました。
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東海岸ヒップホップシーンのMVに登場
成功を収めたミュージシャンのクルマと聞いて想像するのは、フェラーリやランボルギーニといったスーパーカー、ロールス・ロイスのような超が付くレベルの高級車だ。日本へ上陸した直後の新車価格が300万円台の半ばだったマツダ初代「MPV」は、決してチープじゃないものの、彼らとは縁がなさそうに感じてしまう。
調べてみるとたしかにミュージシャン全般に共通した話ではないようで、東海岸を中心とするヒップホップ界隈が中心だった模様。ミュージック・ビデオなどからMPVへの愛が伝わる著名なアーティストを挙げると、グラミー賞の最優秀ラップ・パフォーマンス賞にもノミネートされたファット・ジョー、1990年代を代表する伝説的ヒップホップクルーのウータン・クラン。ほかにも1997年に24歳という若さで暗殺された後も高く評価され続けるノトーリアス・B.I.G.、そして西海岸の同じく悲劇的な最後を遂げてからも多くのアーティストに影響を与え続ける2パックなどだ。
初代MPVは中古市場でも今や絶滅の危機
アメリカでも日本でもマジョリティといえる存在ではなく、いささかマイナーなMPVに彼らはなぜ惹かれたのだろう。いわゆるスーパーカーや高級車は富の象徴であり分かりやすいカッコよさなのに対して、シンプルかつ無骨なスタイルでトヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」に比べて日の当たらないMPVが、富と名声を手に入れてからもなお我が道を突き進んだミュージシャンらの琴線に触れ、その生き様に共感した人たちも「MPV=イケてる」とのイメージを持ったのではないか。
もちろん憧れだけでブームが起きたわけではなく、クルマとしての魅力も大いにあったに違いない。知名度や販売台数ではライバルたちに及ばなかったものの、3000ccのV6エンジンは必要にして十分な動力性能で、エッジの立ったボディや大きな窓は運転しやすさに直結し、ニューヨークのような都市部でも使い勝手がよかったはず。
またMPV(マルチ・パーパス・ビークル)の名が示すとおり、駆動方式はFRをベースにした4WDで高い走破性能を誇り、今でいうクロスオーバーSUVの先駆け的な存在でもあった。さらに乗車定員は7~8名と余裕がありラゲッジも大容量。ドラッグを運搬するのに便利だったとの話も一部で囁かれており、そんなアウトローな匂いもブームを後押ししたのかもしれない。
ヒップホップの大物たちに愛され、音楽カルチャーの一端を担った初代MPV。現在の日本に置ける中古車はどんな状況だろうか。いくつかの検索サイトでチェックしたところ、2代目や3代目はそこそこあるが初代はゼロ。それどころかアメリカでも見つかるのは2000年代のモデルばかりで、LV系と呼ばれる初代は驚くことにひとつもヒットしなかった(執筆時)。たしかに生産を終えてから25年が過ぎ、街で見かけることもほとんどない。今や絶滅の危機に瀕しているといっても過言ではなく、状態のいい個体はもはや文化財と呼べるレベルかも!?
【動画】ウータン・クランの名曲「CREAM」に登場するマツダ「MPV」を観る
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みんなのコメント
二列目はあえてヘッドレストがないベンチシートで、これはアメリカンスタイルで腕をかけて斜めに座るから、ない方がよいという理由だった。
タマはほとんどないが、今これに乗るというのも良いなぁ。
新車で購入したパジェロに11年乗った後ディーゼルで手頃な車探していたらお値打ちなプライスが目に入り試乗したら後ろはフラットになるのでゆったり寝られるし運転はコラムなので足元がスッキリ即購入決めました。
マイカー減税の時に結構な額バックされるのをしり新車購入したので手放しましたがいい車でしたね。