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トライアンフ「タイガー900GT プロ」インプレ(2021年)|日本人の体格と日本の道にマッチする、これぞオールラウンダー

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トライアンフ「タイガー900GT プロ」インプレ(2021年)|日本人の体格と日本の道にマッチする、これぞオールラウンダー

水冷並列3気筒エンジンを積んだトライアンフのミドル・アドベンチャーツアラーの最新モデルとして、2020年に登場したタイガー900シリーズ。GTプロはキャストホイールを備えオンロードを重視したモデルであるGTの上級版となる。
文:濱矢文夫、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行

トライアンフ「タイガー900GT プロ」インプレ・解説(濱矢文夫)
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まず惹かれたのはサイズである。トライアンフも含めて各メーカーの旗艦アドベンチャーモデルよりひとまわり小さい。日本人の体格が大きくなったと言われて久しいけれど、まだまだ欧米の人と肩を比べるほどではない。

筆者の身長は170cm。有り余る体力はなく、いつでも最高のバランス感覚を発揮できないから、機種によっては大きさを持て余す。テクニックや工夫でオートバイに自分を合わせていくこともできるが、自分にあったオートバイを選ぶのも選択肢として妥当だ。

乗る時間が長くなると“慣れる”という現象もあるが、合わせていくより合ったものを選ぶほうがその過程が短くでき安心。このミドルタイガーは私にとって後者だ。乗り出して短い時間ですぐになじんだ。

シート高の低い方で810mm。足裏ぜんぶべったりとはいかないが両足は届く。個人的に足つきがすべてだとは思っていない。されどつくならそれがいい。はじめて訪れた街で不意に入った路地の先が行き止まり。方向転換をする時にはより簡単。傾斜地に停めないといけない時や、お気に入りのカフェの駐輪場からバックで押し出す時に億劫にならない大きさだ。

加えて19インチ、17インチのキャストホールを履いたGTの上位版であるこのGTプロは、トップモデルに見劣りしない豊富な装備がついているところがミソだ。サイズダウンになっていても、そこは妥協をしていない。

スマホだけでなくウェアラブルカメラのゴープロともコネクトできる7インチTFTカラーディスプレイ。Googleのターンバイターン方式のナビやミュージックプレイヤーも使える。

コンチネンタル社のIMUを使ったコーナーリングABSやコーナーリングトラクションコントロール。6種類のライディングモード。グリップヒーターと前席と後席で独立したシートヒーター。タイヤの空気圧をモニターでリアルタイムに知ることができるタイヤ空気圧モニタリングシステム。クルーズコントロール。ミドルクラスのアドベンチャーモデルとしては指折りの装備だ。

最後の特徴は、トライアンフのお家芸である直列3気筒エンジンにつきる。各気筒の排気ポートから伸びた3本のエキゾーストパイプが出てすぐの場所で連結されて、前から見るとトライデント(三叉の槍)に見えるところがおもしろい。

オンロードモデルのトリプルのように回して加速に拍車がかかるのとは違い、アドベンチャーらしく全体をならしてトルク変動幅が小さくしている。

それでもエンジン回転数を上げながらGTプロに標準で装備されたクラッチレバー操作なしでアップ、ダウンができるシフトアシストを使い高いギヤに上げていくと直列3気筒らしく滑らかさと荒々しさが共存したなかなかの加速で速度は簡単にイリーガルな世界へ突入してしまう。

タイガー900にはフロントに21インチワイヤースポークホイールを履いたラリーシリーズがあるから、比較してGTはよりオンロードツーリングに軸足を置いている。そうであっても、フロント180mm、リア170mmのホイールトラベルがあるから、オフロードモードにしてダートに突入してもフラット林道くらいで困ることなく走破していける実力。

GTプロはリアショックのプリロードとリバウンドの減衰は電子制御で、ライディングモードにあわせ変えてくれる。フォークの標準セッティングは当たりに角がなくソフトに沈み込みながら減衰がきっちり効く。

ライディングモードをもっともレスポンシブルなスポーツにするとバーグラフで表示されるリアの減衰は最大より1段下げただけのハード設定。これでフロント反応が機敏になって、舗装路ワインディングでスポーティーな動きが楽しめる。

けれども高荷重向きすぎる様子はなく低速でもしっかり動いている。荒れた路面になるとややピッチングモーションを意識する場合があるので、ひとつ下のロードモードにするといい。

リアサスペンションがさらに動きやすくなるだけでなく、制限速度より遅いクルマのあとをついてゆっくり走るときなどスロットル操作によるトルクの出方がスポーツよりも気を使うことが少なくなる。左手のスイッチで走りながらリアサスペンションをはじめ設定を任意に変更も可能だ。

タイガー900GTプロはトップモデルにも見劣りしない仕様で、日本の道と日本人にフィットしやすい大きさのオールラウンダー。だから自然と行動範囲を広がっていく。

トライアンフ「タイガー900GT プロ」各部装備・ディテール解説



フェイスデザイン

デイタイムランニングライトも備えるユニークなデザインのLEDヘッドライトユニットを中心に、独特な形状のノーズや大きなウインドウスクリーンといった機能パーツを巧みにデザインした、一目でタイガーであることが分かるフロントマスク。





ウインドスクリーン

大きなウインドスクリーンは単体でも高い防風効果と快適性を備える形状となっているが、車載工具を使って上下に高さを調整することも可能な構造となっている。速度や天候、気温といった走行状況はもちろん、ライダーの体格の大小、風の当たり方の好みなどにも細かく合わせられる。



エンジン

最高出力95.2PSを発揮する排気量888cc、DOHC4バルブヘッドを備える水冷並列3気筒エンジン。一般的な並列3気筒で採用されることの多い等間隔爆発クランクではなく、不等間隔爆発となるTプレーンクランクを採用することで、オフロード走行などで扱いやすいトラクション性能を得ている。



フロント 足まわり

マルゾッキ製の倒立フロントフォークはインナーチューブ径Φ45mm、ホイールトラベル量180mmという造りによって本格的なダート走行にも対応している。フロントのキャストホイールは19インチ径で、タイヤ空気圧モニターも装備。フロントブレーキにはブレンボ製Stylemaキャリパーを採用、マルチモードABSを組み合わせる



リア 足まわり

鋳造アルミ製スイングアームに組み合わせられるキャストホイールは17インチ径。リアブレーキもブレンボ製キャリパーを採用されている。センタースタンドも標準装備だ。



リアサスペンション

マルゾッキ製の電子制御リアサスペンション・RSUが搭載されているGTプロ。液晶メーターを介して、あらかじめプリセットされた設定を選択することができ、さらにライダーの好みに合わせたセッティングも可能。リアのホイールトラベル量も170mmとたっぷりと取られている。



ハンドル

大柄なボディをオフロードで制御できるように装備される、ワイドでアップライトなハンドルバーをはじめ、コクピット周りはオフロード車的な雰囲気。ハンドルのスイッチなど、全てのスイッチはバックライトを備えていて、夜間でも迷わず操作できる。



メーター

7インチサイズの大きなカラー液晶を使用した多機能メーター。天候・時間帯を問わず明瞭に盤面を見られるよう自動的に表示が調整される。GTプロではMy Triumphコネクティビティシステムを用いて、スマホなどとBluetoothで連携し、メーター側から通話や音楽再生、GoProの操作などが可能。



燃料タンク

長距離ツーリングに備えた燃料タンクの容量は20L。大きなサイズだが流麗なスタイリングに違和感なくマッチし、同時に優れたホールド性も備えるデザインで、さまざまなシーンでのライディングもサポート。



シート

ライダーもパッセンジャーもリラックスできる、ゆったりしたサイズと分厚いクッションを備えたシート。シートヒーターも内蔵されているので季節を問わず快適にライディングを楽しめる。ライダーの体格に合わせ、シート高も810~830mmに調節できる。



テールまわり

荷物の積載やトップケース装着などを考えたキャリアの下には、コンパクトなLEDテールランプを装備。充分な明るさを備えていて、後方からの被視認性も高いレベルにある。



トレッカーボックス

純正オプションとして用意されているトレッカー・トップボックス(税込6万9003円)は、容量52Lでフルフェイスヘルメット2個に相当。トレッカー・パニア(税込12万8920円)は右側33L、左側46Lという余裕のサイズ。いずれも耐候性抜群なデザインのアルミ製で、シングルキーシステムによって車体のキーで開閉可能。

トライアンフ「タイガー900GT プロ」主なスペックと価格
[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]

文:濱矢文夫、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行

[ アルバム : 【写真19枚】トライアンフ「タイガー900GT プロ」 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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