もくじ
ー 「ローバー」は禁句なのか
ー カーシェア用EVの投入
ー ローバー、復活するならば
ー ルイス・ブースの見解:時期尚早
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「ローバー」は禁句なのか
ジャガー・ランドローバーのお歴々にローバー・ブランド復活について考えたことがあるかと尋ねたら、非難の声を浴びる事になるだろう。
JLRはランドローバーの起源としてローバーの名を持つかもしれないが、その復活は議題には無い。しかし、これはレンジローバーの開発初期に内部で使用されていた名称であるロードローバーの名が2019年に登場予定など、その時が近いことを意味しているのだ。
JLRがモデルレンジ拡大の為に新たなブランドを買収するのではないかとの話もあるが、一方でかれらはダイムラーのような高級ブランドやローバーなど、現在使用していないブランドをいくつか保有してもいる。
ローバー・ブランドを使うのは自由だがリハビリが必要だろう。多くがその欠点ばかりに目を向けるが、ローバーは英国で最も強固なブランドでもあるのだ。
フランス、イタリア、スペインやその他の地域でのローバーはそれなりに評価されている。1990年代の大半を通じて、つまりBMW傘下になる前後には、ローバーの輸入台数と評価は右肩上がりだった。今も残る評価は大半が好意的なものであり、ブランド買収やそれに続く統合作業を行うよりも安くつくはずだ。
ビジネスの拡大以外に追加ブランドを必要とする戦略的な理由はあるだろうか?
カーシェア用EVの投入
ビジネスの拡大以外に追加ブランドを必要とする戦略的な理由はあるだろうか? それは都市でのカーシェア用EV向けブランドにするということだろう。
ジャガーはもうすぐJLR初となるバッテリーを動力源としたI-PACE EVを発売する。しかしJLRのEVはどれも大型で、高価なプレミアム・モデルになるはずだ。
ではジャガーとランドローバーに小型EVは必要ないのだろうか? BMWやメルセデスにおける小型モデルが残した影響を見てみれば、売上の拡大には貢献したものの、ブランド価値に陰りをもたらしたことは否定できないだろう。
BMWのフラッグシップ・モデルであるi8を含めたiブランドの成功も完ぺきではないが、少なくとも大型SUV専用のプレミアム・ブランドでは難しいようなモデルを作りだすことには成功している。
では、ランドローバーが誇る走破性とプレミアムさを両立させたようなマルチな才能は必要だろうか? そして、都市でのカーシェアリング用モデルはジャガーの「アート・オブ・パフォーマンス」を体現できるだろうか?
そうは思わない。
だからこそ、JLRのエッセンスと信頼性を守りつつ、便利で快適、そして環境に優しい誰もが手にすることのできる新たな市場に進出するには、サブ・ブランドが良い選択肢かもしれない。では、この場合ローバーはどんなクルマになるだろう?
ローバー、復活するならば
軽量EVとレンジエクステンダーのプラットフォームをベースにして、恐らく他社との共同開発か共通モデルになるだろう(ローバー独自のプラットフォームではコスト的に実現不可能なはずだ)。
軽量、高張力のスチール製スペースフレームを持ち、外装パネルはアルミニウムと複合素材の混合である。ふたつのバージョンが存在し、ひとつはBMW i3よりも若干大きめのモデル、そしてもうひとつは小型2+2クーペとして、両モデルともにSUV並みの高さのシートとやや高めの車高を持つ。
全固体電池が交換作業を考慮してバルクヘッド前方の2重パネル内部に配置され、バッテリー容量を変更することも可能だ。
そしてデザインはランドローバーの力強さ、自信に満ち溢れた優雅さを併せ持つが、よりシックなものになる。懐古調なのはグリスレスで長方形のヘッドライトを持つ1976年式ローバーSD1に似たボンネットとヘッドライトだけである。
インテリアのデザインはこんにちのランドローバーと、ローバーP5、P6とSD1、そしてオリジナルのレンジローバーでも採用されていた特徴的なダッシュボード・デザインをそのまま引き継ぐ。
ガス・タービンを使ったレンジエクステンダーは4シーター・モデル向けのオプションとなる。ガス・タービンは1963年当時のローバーの技術的到達点へのオマージュであるが、かれらは2000サルーンでこのジェット推進モデルを実際に販売しようとしていたのだ。
この技術は新型モデルに共通するイノベーションと高品質の証しであり、ローバーの再出発を飾ることになるだろう。
ルイス・ブースの見解:時期尚早
英国においてJLRはいま絶好調であり、新たなセグメントに進出するための新型モデルを持ち、収益性を保ったまま販売量を増やすことに成功している。
彼らは今多忙を極めており、新型モデルや数多くの開発作業が求められるローバー・ブランドを必要とする理由が無い。
ローバーはJLRに更なる価値を与えるだろうか? いかに勇敢な経営者でもコストの掛かる野心的なモデル開発や、高額な初期投資が必要となるEVには及び腰だろう。
JLRは自分たちのコア・ビジネスに注力しているが、もしかしたら成功を続けることによって、将来的には新しい機会が訪れるかもしれない。
マニア向けアピール度:4/10
顧客向けアピール度:6/10
ビジネスプラン:3/10
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