Cam-Amはカナダ生まれの3輪モーターサイクルである。前2輪、後1輪という構成で安定性と独自の操舵性を実現している。大出力、フル装備でツーリング向きの『Cam-Am RT』が登場した。次により軽量化されたSpyderが発売された。今回はさらに軽量化され、価格も税込135万9000円とスリムになったニューモデル『Cam-Am Ryker 900』でレインボーブリッジを走った!
AT化によってAT限定普通免許に対応!
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Rykerのターゲットは60歳よりも若い年齢層で、ツーリングではなく短距離利用、郊外ではなく都市部で、リターンライダーでなく2輪経験のない人、男性だけでなく女性も視野に入れている。そのために、まずエンジンは600cc並列2気筒と、900cc並列3気筒として軽量化、これにCVTをつかったオートマチックトランスミッションを採用した。エンジンのパワーに見合うように車体を軽量化して、外装パネルの交換で7万5000通り以上の組み合わせが楽しめる。オートマ化したことで、AT限定の普通免許でも運転できるようになった。さらに600ccで税込135万9000円、900ccで159万9000円と大幅なプライスダウンを実現したのだ。
軽量化によってSPIDERを超える走行性能
従来のCam-Amのモデルは、豪華装備の重い車体を大出力でグイグイ引っ張るコンセプトだったが、Rykerはシングルシートで1人乗り(オプションで2人乗りにも対応、構造変更申請が必要)で収納ボックスなども極力省かれたスパルタンな仕様になっている。これより、600ccのパワーウエイトレシオは5.74kg/ps、900ccで3.63kg/psとなる。Ryker 900はスポーツ向けモデルのSPIDER F3の3.88を上回る数値なのだ。しかもシフトチェンジ不要なのでアクセルを開けるだけでどこまでも加速する。ちなみに4輪でスポーツカーを名乗るならパワーウエトレシオは4以下というの定説だ。例えばランボルギーニ『カウンタックLP400S』は3.83、『アヴェンタドールS』は2.10である。
私が試乗したのは900ccだが、充分に速い。信号からのスタートで乗用車に後れを取る心配はない。600ccは未体験だが、トヨタ86のPSが6.15なので、4輪ドライバーから見れば速い、2輪ライダーから見ればNIinja 250の5.55とほぼ同等、つまりニーハン並みの加速力と思えばいい。RTでは300kg以上あった車重が、今回は900ccで280kg、600ccで270kgまで軽量化され、その加速とハンドリングは確実に軽快になっている。
ズラリと並んだ試乗車。Ryker 600、Ryker 900に加えて900ccのRALLY EDITIONも用意されていた。ラリーエディションはサスとホイールなどが変更されたモデルで176万4000円(税込)。
運転はスクーター並みにカンタン
今回の試乗会は公道でおこなわれた。レインボーブリッジを往復する単純なコースだが、登りに下り、コーナーもありの充実した内容だった。Rykerの運転はオートマなので基本的にスクーターと同じである。まず、棒状のキー的なものをサイドに差し込んでロック解除、これはスノーモービルやジェットスキーを作っているBRPならでは仕様といえる。さらにクルマのサイドブレーキにあたるパーキングブレーキを解除、上級モデルはハンドル左のボタンで解除できるが、Rykerは車両左サイドにあるレバーでおこなう。降車時には忘れずロックが必要だ。エンジンスタートは右足のフットブレーキを踏みながらスターターボタンを押す。右グリップがアクセル、左にはウインカー、ホーン、ライトの切り換えスイッチがある。バックミラーは何とバーエンドタイプで慣れるまで見にくいかもしれない。
写真の外装パネル、インテンス・ブラックはかなり地味。基本色はアドレナリン・レッドとイエロー・ショックの計3色で、さらにホワイト、カーボン、スチールなどオプションで9色があり、フロント、サイド、リアパネルを自由に組み合わせてカラーリングを変更できる。
エンジンスタートに先だって左サイドにあるパーキングブレーキを解除する。
Rykerにはリバースギアがあり、切り換えてバックできる。これは便利だ。
メーターはシンプルで、視認性は抜群。バックライトも付いている。
試乗コースはレインボーブリッジを渡って戻ってくるという単純明快なものだ。
4輪の安定感と2輪の爽快感が楽しめる
もっとも速そうなRyker 900を選んでヘルメットにGoPro『HERO5』を装着して出発! しかし、GoProの角度が下過ぎて道路しか写っていないため動画は失敗。次回は2.7K、SuperWideで撮影しようと心に誓う。ハンドルバーに付けたGoProの方がいい仕事をしてくれた。エンジン始動、ウインカーを出して走り出す。ウインカーは自動復元式で、戻らなければウインカーレバーを押しても解除できる。オートマなので運転に必要なのは右手のアクセルと右手のブレーキのみ。2輪ライダーなら左手と左足が寂しいと感じるだろう。あとから知ったのだが、900はエコモードとスポーツモードの切り換えがあったのだ。試乗時にどちらのモードだったかは不明だがキビキビ走ってくれた。
右足のフットブレーキは強烈に効くので、やさしく踏み込もう。アクセルも一般道ではガバッと開ける必要はない。ハンドルをきらないと曲がらないので、曲がりたい方向にハンドルを押す、逆側は引く操作をするとスムースに曲がれる。ポジションは工具なしで調整できる。エキゾーストノーツは非常に静かで、エンジンの振動も少ない。サスペンションは良く働き、路面からのショックを吸収してくれるが、段差ではハンドルにも突き上げがくる。バイクより着座位置が低いので路面が近く、スピード感がある。曲がるときに思わずリーンしそうになるが、体重移動しても曲がらないのでドカッを座って両足を前に置く、アメリカンスタイルで運転することになる。
シートとハンドルはバイクそのもの。しかし、前方には2輪が見えるのに違和感があった。
登りでもシフトチェンジの必要はなくアクセルを開けるだけなので非常にラクができる。
コーナリングもスピードに乗っていれば、軽くハンドルを引いてやるだけ。しかし、バイクに比較するとハンドルは重く、動きは悪いのだ。
これで天候が良ければ最高なのだが、ウインドスクリーンはなく風が直撃するので防寒が必要だった。
現実味を帯びた3輪モーターサイクル
100万円台になったRykerは、2輪の輸入大型マシンと同じぐらいの価格である。BMWかRykerか、ハーレーかRykerというレベルまで低価格化されたのだ。しかも、二輪の免許は必要ない。車庫証明も不要である。そして転倒の危険性もない。セカンドカーとして面白い選択である。あるいはクルマを買わずにいきなりRykerという選択肢もあるだろう。
問題になりそうなのは幅が軽自動車より広いため、クルマ用の駐車場が必要になること。バイクと同じで雨も風も防げないので、冬は寒く、夏は暑く、雨が降ってくれば濡れる。1人乗りで、収納容量が少なくツーリング向きではないことだ。まあオプションパーツを駆使すれば2人乗りで収納も増やせる。
RykerはCam-Amの中で最もスパルタンなモデルで、しかもハイコスパだ。純正オプションパーツでカスタマイズすれば、自分だけのマシンに仕上げられる。ツーリングならRT、街乗りならRykerという区分になるが、軽くてパワフルなRykerは3輪で攻める走りを追求したい人にもオススメ。機会があれば、次回は未舗装路で RALLY EDITIONを走らせてみたいものだ。
写真・文/ゴン川野
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