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落胆のスーパーGTから1週間、松田次生がスーパー耐久で復活優勝。怪我の回復もポジティブな兆し

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落胆のスーパーGTから1週間、松田次生がスーパー耐久で復活優勝。怪我の回復もポジティブな兆し

 栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われたENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE第5戦『もてぎスーパー耐久 5Hours Race』。決勝では各クラスとも終盤まで熱いバトルが展開されたなか、ST-3クラスでは25号車raffinee 日産メカニックチャレンジ Z(山口智英/松田次生/佐藤公哉/藤原大暉)がチーム初優勝を飾った。特に25号車の牽引役として参戦している松田次生にとっては“特別な1勝”となった。

 松田は6月に三重県の鈴鹿サーキットで行われたスーパーGT第3戦の決勝でGT300クラスの車両と接触し、マシンがコース脇のフェンスに激突する大クラッシュを喫した。その影響で約1カ月半にわたり入院生活を強いられ、8月のスーパーGT第4戦富士でなんとか復帰を果たしたもののポイント圏外に終わる。続く第5戦鈴鹿では2位でチェッカーを受けるも車検不合格で失格となり、怪我からの復活をかけた力走が結果として実ることはなかった。

クラッシュからの完全復活を目指して好走したMOTUL Z。松田次生が振り返る鈴鹿での“精神的な辛さ”

 そんななかで迎えたスーパー耐久第5戦もてぎ。前大会の第4戦オートポリスは怪我の治療に専念したことで欠場していたため、スーパー耐久では今回が復帰戦となった松田は、Bドライバー予選で2分06秒294を叩き出しクラストップタイムを記録。Aドライバーとの合算タイムでもライバルを寄せ付けずクラスポールポジションを獲得した。

 決勝レースでは15号車岡部自動車フェアレディZ34の先行を許すも、中盤に松田が担当したスティントで怒涛の追い上げをみせ、86周目の5コーナーでインに飛び込んでオーバーテイク。そのままリードを広げ、最終スティントの藤原大輝にステアリングを託した。チェッカー直前には15号車とのバトルで接触によりスピンを喫してしまうが、15号車に対して30秒加算ペナルティが科されたことで、25号車の初優勝が決まった。

 その瞬間、満面の笑みでチーム関係者と握手を交わし喜んでいた松田。「復帰して優勝できることは嬉しいです。特に先週のこと(スーパーGT第5戦鈴鹿で2位チェッカーを受けるも、車検不合格で失格)があったので」と喜びを爆発させつつも、安堵の表情をみせた。

 その松田はレースに復帰を果たしているものの、怪我が完治したわけではない。特にHパターンでアクセル、ブレーキ、クラッチの3ペダル操作が必要となるニッサン・フェアレディZニスモRCでは、“右足ブレーキ”が必須となり、その操作に不安があったとのことだ。

「厳しい部分はありました。3週間ギプスをしていたので動けていない状態ですし、負荷をかけたときも若干不安なところはありますけど、それは慣れるしかないです」と松田。しかし、スーパー耐久の週末になって症状が回復したことも好走の助けになったという。

「(怪我の影響で)右足ブレーキが不安でしたけど、うまく操作することができたので良かったです。まだジョグができない状態ですけど、これから少しずつできるようになっていくと思います。いろいろとな意味で、今回のレースは良い方向に行きました」

「(自身のスティントでトップが目の前に現れたときは)めちゃめちゃスイッチが入りましたよ。とにかく追いついて、相手の前に出てからタイヤを持たせようと頑張りました。クルマに関しては、まだセットアップの部分でもう少しやらないといけないところはありますけど、本当に良かったです」

 今回の優勝はスーパー耐久参戦2年目を迎えるTEAM ZEROONEにとっても記念すべき初優勝となった。TEAM ZEROONEはニッサンのディーラーメカニックや日産自動車大学校の学生たちが現場でのマシンメンテナンスに携わっているほか、ときにはファクトリーでの作業も手伝っている。

 そういった新体制で掴みとった初勝利に、松田は「学生たちも頑張り、みんなで一丸となってレースを体験できていることは良いことです。さらにチームにとっても初優勝なので、そういった意味ではすべてが良い方向に行ってくれました。この状況で勝てたことは大きいですし、僕もやっと結果が出てホッとしました。 河野(初樹)監督も涙ながらに『良いスティントだった!』と言ってくださって、本当に良かったです」と感慨深い表情を見せた。

 前週のスーパーGT鈴鹿大会で掴みかけた好結果をスーパー耐久の舞台で勝ち獲った松田。2週間後にはスーパーGT第6戦SUGO大会も控えており「(スーパーGTは)チャンピオンシップは厳しくなったかもしれないですけど、失うものは何もない状態です。最後の3戦は勝つつもりでいきます!」と気合いが入っていた。

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