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【スーパーワゴン対決】前編 復権する究極の万能車 最新の3台 デザインもメカニズムもさまざま

掲載 更新 8
【スーパーワゴン対決】前編 復権する究極の万能車 最新の3台 デザインもメカニズムもさまざま

オールマイティなスーパーワゴンの新顔たち

執筆:James Disdale(ジェイムズ・ディスデイル)

【画像】写真で見るスーパーワゴン 全6枚

撮影:Luc Lacey(リュク・レイシー)

質問しよう。それは誰もが一度ならずじっくり考えたことがありそうだが、改めて考えてみる価値のある問題だ。

もし、近所への買い物から楽しさに破顔するような走りまで、1台ですべてこなせるクルマを買うなら、なにを選ぶだろうか。

われわれなら、多くのメンバーが即座に「速いワゴン」だと答えるところだ。ファミリーユース向きのバーサタイルさと強烈なコーナリングスピードを兼ね備えたホットなワゴンこそ、究極のオールラウンダーだ。田舎道でのバトルも余裕で楽しめるし、タンスひとつかふたつ分の荷物も楽に呑み込む。

ここ最近、パワフルなSUVに領分を侵犯されてきた高性能ワゴンだが、復権しつつある。とくに価格帯もパフォーマンスもハイエンドのモデルでその傾向が見られる。この数ヶ月ほどで加わった3台の新顔は、決まり文句かもしれないが、ニーズをすべて満たしてくれるクルマだ。

まずは息切れしそうに長い名前の、新型ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツツーリスモだ。ツッフェンハウゼンのラインナップに前例がないといってもいいワゴンタイプで、ボンネットの下には市販ポルシェ最強レベルの700psを叩き出すパワートレインが秘められていて、後席の背後には500Lのキャパシティを持つ荷室が備わっている。

車名が示唆するように、これはプラグインハイブリッドシステムを備える。この電動アシストによって、マクラーレンF1に匹敵する3.2秒での0-100km/h加速を可能にするばかりか、燃費性能やエミッションも改善。918やLMP1マシンの919で得た経験が活かされていて、エンジン単体でのクルマづくりができなくなった時代のポルシェを予感させるクルマだ。

ルックスも動力も三者三様のアプローチ

ポルシェと同じく、ガソリン+電気のアプローチを取ろうとしているのがメルセデスAMGだが、それまでしばらくの間は、E63 Sエステートの比較的オールドスクールな魅力を味わえそうだ。ショールームでの訴求力を高めようとする努力は、こちらも負けていない。

メカニズムについては、ほぼ従来通りだ。4.0Lで611psのV8が、CO2排出量を減らすために用意したデバイスは気筒休止システムのみ。ただし、先代モデルがみせた低速での尖った乗り心地を和らげるべく、サスペンションには多少の手直しが入った。

そして最後が、アグレッシブに角張ったスタイリングのアウディRS6アバントだ。おそらく、この手のジャンルの嚆矢となったモデルで、現行車はその4代目になる。

このインゴルシュタットを象徴するワゴンは、歴代最高の運動性能で、RS6のトレードマークとなっている強烈な速さをもたらす。とはいえ、パナメーラのものと基本的に同じ4.0LのV8の最高出力は599psで、今回の3台の中ではもっとも非力だ。環境対策は48Vマイルドハイブリッドで、AMG以上ポルシェ未満といったところだ。

4WDは、いまやクワトロの系譜にあるRS6の専売特許ではなく、ポルシェもAMGも駆動力を四輪へ伝達するシステムを備える。ただしE63 Sにはドリフトモードがあり、前輪の駆動を止めて盛大にスモークを上げるテールスライドを楽しむこともできる。やはり、そういうニーズが、ワゴンであっても速いクルマにはあるということだろう。

3台ともエアサスペンションとアダプティブダンパーは標準装備だが、四輪操舵を備えるのはフォルクスワーゲン系の2台、すなわちポルシェとアウディだ。

彫りの深いルックスとたくましいスタンスのRS6は、ヴィジュアル的なアピールが強い。抑えようとした痕跡がほとんど見当たらない威圧感は、やや肥満気味のポルシェでは太刀打ちできないほどだ。

パナメーラも存在感は強いが、その丸みを帯びたスタイリングはどことなくクジラを思わせる。試乗車のブルー系のボディカラーでは、その巨大な海洋生物のようなイメージが払拭できない。

AMGに至っては、ほかの2台の横に並ぶと、重役向け社用車のE220dと大差ないように見えてしまう。しかし、その周囲に溶け込むようなステルス性ゆえに、多くのオーダーを得ることができているという側面もありそうだ。

ボディサイズの割に優れた取り回し

そうはいっても、実用性を競うならE63 Sがほかを凌ぐ。ライバル2台と同じく、乗車定員は5名だが、パナメーラのように後席の3人掛けも窮屈ではない。そのうえで、ほかを圧倒する容量640Lの荷室を、アップライト気味なリアエンドのおかげで獲得している。

さらに、完全なフルフラットになる可倒式後席を備えるのはE63 Sのみで、すべて倒せば荷室容量は1820Lに達する。床下に、バラバラになってしまうような荷物を入れておけるバスケットが、折り畳まれてスッキリ収められている。

期待したとおり、3台ともインテリアは高級そうなマテリアルと上質なデザイン、そして最新のガジェットやメカニズムを満載したリッチな仕立て。もっとも包まれ感が強いスポーツカー的なコクピットを持つのはポルシェで、逆に座面が高くアップライトに座らされるのはAMG。アウディは、とにかくタッチパネルに埋め尽くされている。いずれにしろ、どのクルマをとってもラグジュアリーさは遜色ない。

どれもハードなことこのうえないクルマに思えるが、日常使いのしやすさはアウディが一番だ。エアサスのクッションが効いた乗り心地はポルシェよりしなやかで、長距離走行時にもうんざりするようなロードノイズに悩まされることがない。

とはいうものの、パナメーラは市街地で注意して運転すれば、最大50km程度まで静粛性極まるEVモードで走行することが可能だ。ただし両車とも、四輪操舵を装備しているので、タイトな駐車場やラウンドアバウトで、その巨体が思いのほか小さく感じられるという点では共通する。

E63 Sも同じく扱いやすいが、こちらはほかよりわずかながらコンパクトなボディサイズの恩恵。柔軟性はライバルたちに及ばず、舗装の状況を腰のあたりに伝えてくる。それでも、先代よりはソフトになっているのだが。

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みんなのコメント

8件
  • 未だにステーションワゴンの人気が高く、それなりに需要があるのはヨーロッパくらいになっちゃいましたね。
    日本に導入されている外車のワゴンも、ほぼ全てがヨーロッパ、特にドイツ車勢とボルボで占められています。
    この辺りはもう、車文化の違いとしか言いようがないですね。
  • 何の参考にもならない、役にも立たない記事。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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