現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 日産が新開発の「電動パワートレイン」世界初公開!「e-POWER」のコスト削減に期待!? 「X-in-1」は何がスゴい?

ここから本文です

日産が新開発の「電動パワートレイン」世界初公開!「e-POWER」のコスト削減に期待!? 「X-in-1」は何がスゴい?

掲載 18
日産が新開発の「電動パワートレイン」世界初公開!「e-POWER」のコスト削減に期待!? 「X-in-1」は何がスゴい?

■新たに開発された「X-in-1」って一体何?

 日産は2023年3月9日、新開発パワートレインの試作ユニット「X-in-1(エックス イン ワン)」を世界初公開しました。
 
 名前は「X」にさまざまな数字が入り、これらが「ひとつ」のモジュールになることを表します。
 
 具体的には、EV(電気自動車)用では、モーター/インバーター/減速機の3つの部品をモジュール化した「3-in-1」。また、e-POWER用では、モーター/インバーター/減速機/発電機/増速機の5つの部品をモジュール化した「5-in-1」といった具合です。

【画像】シフトノブ廃止!? 新型「セレナ e-POWER」日産初のボタンシフトってどんなもの? 写真を見る

 X-in-1によって生産効率や部品の共有性をさらに高め、コストを2019年比で30%削減することを目指すとしています。

 それにより、3年後の2026年には、e-POWER車のコストは現行のエンジン車と同等になるとしています。

 新型「セレナ」のように、e-POWER車とガソリン車の両方が設定されている場合、「本当なら、燃費も良くて走りも楽しいe-POWERが欲しいけど、やっぱりちょっと割高だから……」ということでガソリン車を選ぶ人がいるでしょう。

 しかし、e-POWER車のコストがガソリン車並みに下がることにより、その心のハードルがなくなるかもしれません。

 というより、日本国内での日産の乗用車モデルはすべて、e-POWERまたはEVになる日が近いといえるのではないでしょうか。

■今後どんなEVやe-POWER車が登場する?

 今回の発表に合わせて、日産は横浜市内の本社で、メディア向けに電動車に関する技術説明会を開きました。

 新型コロナ禍になってからは、このような説明会はオンラインで行われてきましたが、今回は久しぶりのリアル開催となり、これまで未公開だった過去の部品なども展示され、現在に至るまでの進化の様子が手に取るように分かりました。

 なかでも、インバーターの進化は目覚ましく、性能が上がっても構成する部品点数が少なくなり、容積も減っています。

 筆者(桃田健史)が電動化事業に携わるさまざまなエンジニアと意見交換したところ、彼らが一貫して主張したのは、日産の「インバーターを含めたモーター技術での優位性」です。

 現行モデルのラインナップで考えると、日産の本格的な電動化はEVの「リーフ」が起点となり、その技術が「ノート」に投入されて初代e-POWERを導入。「キックス」以降に第二世代e-POWERの横展開が始まりました。そして、EVは「アリア」、軽「サクラ」へと変化していきました。

 こうしたモデル展開の経緯を改めて振り返ってみると、モーターやインバーターの導入は実に戦略的に進められてきたことが分かります。

 四輪駆動用のモーターの場合、フロントモーターがノート e-POWERから「EM47型」、アリアは「AM67型」、また欧州などで販売される「キャシュカイ」が「BM46型」と、モデルによって使い分けている一方で、リアモータは「MM48型」の普及を進めており、それをFF(前輪駆動車)のサクラではフロントモーターとして使用しています。

 ほかのメーカーでは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、そして燃料電池車などで、最近は部品共有性を進めているとはいえ、そもそも設計上は違うタイプの電動車であるため、日産の戦略と比べると部品共用性の度合いは必然的に低くなる、という解釈です。

 ただし、電池については、EVと、システム上はシリーズハイブリッド車であるe-POWERでは求められる性能が違うため、共通性はあまりないのが実状です。

 では今後、日産からはどのようなEVやe-POWER車が登場するのでしょうか。

 グローバルで見ると、アメリカや東南アジアで展開している中大型のSUVやピックアップトラックについて、発電機としてのエンジンの排気量をさらに大きくしたe-POWER構想があるといいます。ただし、今回は具体的にどの程度の排気量まで拡大するのかは明言されませんでした。

 また、「GT-R」や「フェアレディZ」のようなハイエンドなスポーツモデルについては、アリアとは違う観点で、EVを含めた電動化の手法を検討するとの考えを示しました。

 また、電池技術については、これまでの情報公開の通り、2028年を目途に全固体電池の製造を始め、量産モデルへの搭載が進むことを今回改めて示しました。

 その量産効果については、2030年代に入ってから徐々に効いていくという解釈ですので、2020年代後半から2030年代中頃までは、通常のリチウムイオン二次電池と全固体電池がモデルによって使い分けられることになりそうです。

 いずれにしても、これから先の日産の電動車は、これまで培ってきたEVとe-POWERの技術を土台として、着実に高性能化、低コスト化、そして低電費化の道を歩んでいくことになるでしょう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
AUTOSPORT web
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web

みんなのコメント

18件
  • 既得権益層のさまざまな反対・嫌がらせがある中、EV化へと本格的に舵を切る日産、頑張って欲しい!
  • e-powerがガソリン車並みになるならば、ぜひとも10kw程度の電池を搭載してプラグインハイブリッド車として発売してもらいたいと思います。

    普段使いでEV車として使用できガソリン代が不要になり、停車中にエンジンを掛けることなくエアコンを使用できるメリットや災害時BTH対応も可能になるなどいいことづくめだと思いますので是非お願いしたいです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村