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2番目の量産車はSUV BMW XM プロトタイプへ試乗 4.4L V8のPHEVで750ps 後編

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2番目の量産車はSUV BMW XM プロトタイプへ試乗 4.4L V8のPHEVで750ps 後編

BMW X7 M60と共通するインテリア

プロトタイプへの試乗が許された、BMW XM。リチウムイオンの駆動用バッテリーは専用品で、容量は約25kWh。リアシートの下側に3分割で搭載される。

【画像】BMW M社として2番目の量産モデル PHEVのBMW XM 多彩な高性能SUVと写真で比較 全153枚

エレクトリック・モードを選べば、最長80km、最高128km/hまでのエネルギーを賄うことができる。充電能力は、ACで7.4kWまで対応する。

インテリアもボディと同様に偽装されていて、実際を確認できなかったものの、全体的にはBMW X7 M60と共通していることは明らか。マルチファンクションのMスポーツ・ステアリングホイールやダッシュボード、スイッチ類などは同一だろう。

湾曲した大きなモニターに表示されるグラフィックは、XM専用のもの。高い位置のセンターコンソールには、シフトセレクターやスイッチ類が配される。

フロントシートはドライバーを包むようにサイドの立ち上がりが大きく、座り心地は良好。ドライビングポジションの調整域も広いと感じた。座面位置は低く、ライバルの高性能SUVよりスポーティな姿勢に落ち着ける。

乗員空間は開放的で、前後ともにゆとりがある。リアのベンチシートは、フロントより柔らかく快適。膝前の空間には余裕があるが、頭上はルーフラインの影響を受けていた。荷室フロアはフラットだが、ハイブリッド・システムを搭載する都合上、位置は高い。

オプションとして、プリズムルーフという間接照明付きの彫刻的な天井パネルを選べるらしい。試乗車にはカバーが掛けられていたけれど。

エンジンの質感を損なわず電動化技術が融合

説明が長くなったが、XM プロトタイプのステアリングホイールを握った第一印象は、パワートレインに関するものが中心。エレクトリック・モードを選んでいると、ほぼ無音で発進する。

高負荷時には僅かに電気的な唸りが聞こえてくるものの、低いスピードで走っている限り、控えめにタイヤノイズが車内に響く程度。駆動用モーターには、高速道路の速度域まで強力に加速させ、エンジンを巧みにアシストするのに不足ないパワーがある。

駆動用バッテリーの容量も大きめといえ、多くのユーザーは内燃エンジンを始動することなく、毎日の通勤を上質にこなせるだろう。こまめに充電ケーブルをつなげば。

とはいえ、BMW M社のSUVとして、4.4L V8ツインターボ・ガソリンエンジンを味わわない手はない。ハイブリッド・モードとスポーツ・モードを選ぶことで、圧倒的な動力性能に浸ることができる。

見事な回転フィーリングやパワーデリバリーを損なうことなく、電動化技術が融合している。発進加速は印象的なまでに鋭く、シフトアップを重ねても勢いは変わらない。この能力を完全に発揮するには、交通のまばらなアウトバーンが必要だ。

ザルツブルクリンク・サーキット周辺の一般道も運転させてもらったが、どんなクルマも追い越せそうな速さにすら思えた。8速ATには3段階の変速スピードが用意されるが、こちらはもう少し改良が必要のようだった。

感銘を受けるほどの姿勢制御のマナー

プロトタイプの段階とはいえ、重み付けや正確性、感触まで、ステアリングフィールは有能なスポーツサルーンに迫る。コーナーでの敏捷性は、従来のMを冠したSUVの比ではない。思わず、運転へ夢中になってしまう。

ボディサイズは決して小さくないものの、操舵に対する反応の精度は抜群で、不安感なくコーナリングできる。かさむであろう、車重すら覆い隠しているようだった。

そして最も感銘を受けたのが、姿勢制御のマナー。電圧48Vで作動する、新開発となる電子制御のロール・スタビリティ・システムを搭載している。

スポーツ・モードでも高速コーナリング時は、ある程度のボディロールが生じるものの、相当に攻め込んでも過大に傾くことはない。フロントノーズが上下する、ピッチングも抑え込まれていた。

さらに、後輪操舵システムのインテグラル・リア・ステアも採用。ソフトウエアは独自ながら、従来と同様に最大2.0度までリアタイヤの角度を調整し、意欲的な旋回と脱出加速へ結びつけている。

直進状態からステアリングホイールを切り込むと、シャシーは滑らかでダイレクトに反応。フィードバックの量も豊かで、技術力の高さをうかがわせる。リアシートの下に搭載された駆動用バッテリーは、低重心化にも貢献している。

XMの成功は疑いようがない

BMW M社が進化させた、四輪駆動システムのxドライブと、ピレリPゼロタイヤとのタッグも強力。秀でたグリップ力と、確実なトラクションへと結びつけている。タイヤサイズは、22インチの場合でフロントが275/40、リアが315/35となる。

サスペンションは、前後ともにエアスプリング。ベースには一定の硬さがあり、素晴らしい姿勢制御を叶えつつ、衝撃の吸収性にも優れる。ただし、まだ開発途中ということで、コンフォート・モードでの処理はもう少し調整が必要そうだ。

とはいえ、アダプティブダンパーが路面状況の変化へ即座に反応し、粗野な衝撃を驚くほど打ち消していた。生産開始までの6か月間で、さらに磨き込まれるであろうことは想像に難くない。

価格設定はこれから。だが、X6 Mコンペティションの英国価格12万1620ポンド(約2031万円)より、大幅に高くなることは間違いないだろう。

同社のCEO、フランク・ヴァン・ミール氏によると、XMの主要市場は北米と中国、中東地域を想定しているとのこと。だが、英国市場の需要が高いことも認知しているそうだ。

完成前のプロトタイプへの試乗だったとはいえ、BMW M社2番目の量産モデル、XMの成功は疑いようがないと筆者は感じた。

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