トヨタは2021年8月2日、フルモデルチェンジしたJ300型ランドクルーザーを発売しました。この新型ランドクルーザーは6月にオンラインでワールドプレミアを行ないましたが、いよいよ発売されます。
ガソリンモデル「ZX] 今回発売されるランドクルーザーは2007年にデビューしたJ200型の後継モデルで、14年振りのフルモデルチェンジです。モデルチェンジにあたり、開発の狙いは信頼性・耐久性・悪路走破性は進化させつつ継承し、さらに世界中のどんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りを実現することとしています。
ランドクルーザーはメインマーケットの中東地域を始め、グローバル規模で販売され、世界の様々な路面やドライビングパターンが想定され、それらの地域で考えられるシーンでのタフな走破性に加え、長距離移動での快適性をより向上させ、フルサイズSUVとしてより質感を高めることが目標となっています。
グレード展開は、ガソリンエンジン車がGX(5人乗り)、7人乗りのAX、VX、ZX、そしてGRスポーツ、ディーゼルはGRスポーツ、ZXとなっています。
TNGA-Fを新採用
新型ランドクルーザーの注目点は、伝統のラダーフレームを刷新し、新規のラダー式TNGA-Fプラットフォームを採用しています。TNGA-Fは最新の溶接技術の活用により、高剛性(従来型比+20%)でしかも軽量なフレームとし、衝突安全性能、静粛性、並びに走りの質を向上。この新開発フレームはトヨタの本社工場で製造されます。そして車体の組み立てはトヨタ車体・吉原工場で行なわれます。
またボディも、高張力鋼板の採用拡大やボンネット、ルーフ、全ドアパネルをアルミ化するなど軽量化を追求。また、重心低下、前後荷重配分を向上させるためにパワートレーンの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動しています。
これらにより車両全体として約200kgの大幅な軽量化、低重心化、前後重量配分の改善を果たしています。ドライビングポジションも改善し、ドライバーの意のままの走りを追求しています。
シャシーを新開発
プラットフォームの刷新に合わせて、新開発のハイマウントタイプのダブルウィッシュボーン式(フロント)とトレーリングリンク車軸式(リヤ)のサスペンションを採用。特にリヤサスペンションは、ショックアブソーバーのレバー比を改善するために配置を最適化し、乗り心地と操縦安定性を向上。
また、サスペンションアームの配置変更によりアンチダイブ特性を強化し、ブレーキング時にも安定した車両姿勢を維持します。なお、悪路走破性向上のため、ホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)も向上させています。
なお、路面状況や運転操作に応じ、ショックアブソーバーの減衰力を4輪独立で制御するAVS(Adaptive Variable Suspension)には、新たにリニアソレノイドタイプを採用。操縦安定性と乗り心地の両立を図っています。(AVSはZX、GRスポーツに標準装備)
悪路走破性能
ランドクルーザーは、きわめて悪条件での走行を前提に、走破性を向上させてます。過酷な環境下での使用に耐える油圧式パワーステアリングを継続使用し、電動式の操舵アクチュエーターを組み合わせています。これにより、レーントレーシングアシストなどの操舵支援機能を追加することが可能になったほか、低速時の優れた取り回しや悪路走行時のショック(キックバック)を低減、よりすっきりしたステアリングフィールなども併せて実現しました。(ZX、GRスポーツ、VXに標準装備)
またブレーキは、ペダルの操作量をセンサーで検出し、最適な制動力を油圧ブレーキで創出することでよりリニアな制動特性が得られる電子制御ブレーキシステムを採用。リヤ・デフには駆動性能を確保するトルセンLSDを標準装備しています。
オフロードでの走行をサポートするために、マルチテレインセレクトとマルチテレインモニターを新採用しています。
マルチテレインセレクトは、オフロード走行でタイヤの空転によるスタックや、駆動力不足による失速が起こりやすい路面状況に応じた走行支援を、6つのモード(AUTO、DIRT、SAND、MUD、DEEP SNOW、ROCK)から選択できるシステムです。選択したモードごとに駆動力、サスペンション、ブレーキ油圧を自動で統合制御し、走破性を確保。
また、動作範囲をハイレンジ(H4)にも拡大し、より広い範囲のオフロード走行に使用できる機能としています。なお、各種センサー情報から、走行中の路面状況を推定し駆動力を最適化するAUTOモードでは、ドライバー自らモード切替えをすることなく、走行シーンに応じた走破性能を引き出すことが可能。
マルチテレインモニターは、車両周囲の状況確認を4つのカメラで表示するシステムです。フロント・サイド左右・リヤに搭載したカメラでとらえた映像をカメラスイッチで切り替えることで、ドライバーの死角になりやすい車両周辺の路面状況を確認できます。
また、フロント画面表示中に車両を停止させ、画面内のスイッチを押すことで、アンダーフロアビューに切り替えることが可能。手前で撮影された過去の映像を床下透過映像として提供。その映像に、現在の車両やタイヤ位置を示す線を合成することで、車両下の状態や前輪の位置が確認できます。
さらに、車両を透過し後輪周辺をクローズアップして大きく表示する新ビューを追加。タイヤ付近の状況や障害物との距離感を把握でき、スタックや行き止まりからの脱出に力を発揮します。(GXを除く全車に、T-Connect SDナビゲーションシステムとセットでオプション設定)
またランドクルーザー専用表示として、12.3インチディスプレイにオフロード情報表示画面を新設。傾斜計、デフロックのオン/オフ、アクセル・ブレーキワークなどを大画面に表示することで車両の状態を直感的に把握することが可能になっています。
パワートレーン
新型ランドクルーザーには、最新の3.5L V6ツインターボガソリンエンジンと、3.3L V6ツインターボディーゼルエンジンがラインアップされています。
3.5L V6ツインターボガソリンエンジン 3.5L V6ツインターボガソリンエンジンは、ダイナミックフォース・シリーズの高出力エンジンで、最高出力415ps、最大トルク650Nmを発生。マルチホール直噴インジェクタ付D-4STの採用やロングストローク化、バルブ挟角の最適配置による高速燃焼と高効率ツインターボが力強い低速トルクと優れた過給レスポンスを生み出します。
3.3L V6ツインターボディーゼルエンジン 3.3L V6ツインターボディーゼルエンジンは最高出力309ps、最大トルク700Nmを発生。走りの面では、新採用の可変ノズル付2ウェイツインターボが、様々なシーンで爽快に加速できる過給性能を実現。低速域ではシングルターボの高レスポンスによる力強い加速に、高速域ではツインターボの大吸気量によるのびやかな加速を生み出します。
トランスミッションは、ダイレクトシフト10速ATを搭載。発進時を除くほぼ全域でロックアップを作動させ、ダイレクトなフィーリングを実現。また、10速化によりギヤステップのクロスレシオ化、全体のギヤレシオのワイドレンジ化を実現し、心地の良い走りのリズムと、高速燃費の向上、発進加速、オフロード性能の向上をもたらしています。
このATは、ガソリン・ディーゼル、それぞれのエンジン向けに駆動力特性と変速タイミングを最適化。ガソリンエンジンでは高回転域までの伸びやかなトルク特性を引き出すような気持ちよい加速感を、ディーゼルエンジンでは低回転から盛り上がるトルク特性を生かし、ドライバーの意思通りの力強い加速を実現しています。
パッケージングとエクステリア
ボディサイズは全長、ホイールベースなどボディサイズ、対地障害角(アプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプブレークアングル)を従来型を継承し、オフロード走破性、扱いやすさを維持しています。
室内は、フロント着座位置を後方に移動し、セカンド・サードシート構造・配置を見直し、居住性・荷室容量の向上と衝突安全性能を両立。特に、サードシートは電動式フロア格納式とすることで、荷物の積載性も向上。(電動機構はZXガソリン車、GRスポーツ・ガソリン車、VXに標準装備)
エクステリアは歴代ランドクルーザー(ステーションワゴン型)のヘリテージを継承し、キャビンを後方に配置するキャビンバックワードプロポーションとしています。
また、ラジエーターグリルをヘッドランプと共に高い位置に配置。オフロード走行時の機能性を重視したデザインとしています。
また、エンジンフードには大きな凹みを設け、衝突安全性能と前方視界の両立を図っています。
インテリアの装備
インテリアはオフロードなどの過酷な環境でもスムーズな運転操作、快適さを実感できる運転環境を目指しています。
ガソリンモデル「ZX」のインテリア インストルメントパネル上部は水平基調で、過酷な路面変化の中でも車両姿勢を把握しやすい形状にし、車速、エンジン回転数、燃料、水温、油圧、電圧が直感的に視認できる6針式のメーターを採用しています。
ドライブモードセレクト、マルチテレインセレクト、ダウンヒルアシストコントロール、クロールコントロールの各モードを一つのダイヤルに統合し、モニターを見ながら操作できる位置に配置。
また各種スイッチ類は、走行・駆動系、オーディオ系、空調系など機能ごとに集約して配置。悪路走行時でも直感的な操作ができるようにレイアウトしています。
ディスプレイは、高精細な12.3インチのワイドタッチディスプレイを設定。(GXを除く全車にオプション)。ナビ、オーディオ、空調表示だけでなく、オフロード機能もビジュアルでわかりやすく表示できます。
この他に、盗難対策としてトヨタ初の指紋認証スタートスイッチを採用しています。スタートスイッチ中央に指紋センサーを採用し、スマートキーを携帯してブレーキを踏みながらスタートスイッチ上の指紋センサーにタッチすると、車両に登録された指紋情報と照合。指紋情報が一致しなければエンジンが始動しない機構としています。(ZX、GRスポーツ、VX、AXに標準装備、GXにオプション)
安全装備としては最新の予防安全パッケージ「トヨタ・セーフティセンス」を採用。また全車に車車間通信、インフラ通信が可能なITS Connectがオプション設定されています。
GRスポーツ
新型ランドクルーザーのグレードは、従来のラインナップに加え、新たにGRスポーツを設定しています。ダカールラリーへの参戦経験などをベースにしたスポーツモデルです。
サスペンションでは、世界初となるE-KDSSを装備。市街地での走行安定性とオフロードの走破性を高次元で両立させるサスペンション制御システムです。前後のスタビライザーを独立して自動で電子制御し、路面状況や前後輪それぞれの状況に応じてより細かくスタビライザー効果を変化させます。
なお、E-KDSSと合わせてばね定数やAVSも最適化。これは電子制御でスタビライザー効果を変化させるシステムで、前後のスタビライザーを独立して自動で電子制御し、路面状況や前後輪それぞれの状況に応じてより細かくスタビライザー効果を変化させることができるシステムです。優れた操縦安定性とサスペンションストロークを大きく伸ばす効果が得られ、これまでのランドクルーザー史上、最長のホイールアーティキュレーションを実現しています。
またGRスポーツにはリヤに加えてフロントにも電動デフロックを搭載。デフロックを行なうことで様々な悪路環境において、より高い走破性を発揮します。
GRスポーツはエクステリア、インテリアも専用デザインのトリムが装備され、内外装ともにスポーティでタフなデザインとなっています。
ランドクルーザー 諸元表ダウンロード価格
ランドクルーザー:510万円~800万円(税込み)
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こんな長納期の国産車など、発表しない方が良い。