スーパーフォーミュラの2024年シーズン最終ラウンドでは、自律運転レーシングリーグ”A2RL”のデモ走行が行なわれる予定になっている。そのデモ走行を翌日に控えた11月8日(金)の午前10時半から、この自律運転マシンのテスト走行が行なわれた。
A2RLで使われるマシンは、スーパーフォーミュラのSF23。そのコクピット部分に自律走行を可能にするコンピュータやカメラ、センサー、GPSなどが搭載され、AIがマシンをコントロールする。完全なる無人運転だ。4月に行なわれたアブダビでの初イベントでは、4台のマシンが同時にコースを走行した。しかし、まだ熟成不足の点は否めず、前を行くマシンがスピンすると、その場から動けなくなってしまったりと、まともなレースとはならなかった。
■スーパーフォーミュラマシンを使った自動運転レース”A2RL”。歴史的最初のレースはドイツのTeam TUMが優勝
それから約半年。鈴鹿サーキットに3台のA2RLのマシンが持ち込まれた。1台は”人間の”ドライバーが乗り込めるようにしたマシン。それ以外の2台は、自立運転機構を備えたマシンである。
10時半から行なわれたテストでは、1台に元F1ドライバーのダニール・クビアトが乗り込み、複数周走行。その後、自律運転マシンがメインストレートに入れられ、クビアトがドライブするマシンvsAIがドライブするマシンという構図で、ランデブー走行が繰り広げられた。
クビアトが単独で走行していた時の最速タイムは1分51秒495。後に走行に加わった自律運転マシンのベストタイムは2分25秒646だった。タイム差は大きいものの、走行中にクビアトとAIがポジションを入れ替えたり、メインストレートを並走したりと、アブダビでの初イベントの時と比べると、スムーズに走行していた感がある。最高速も200km/hを超えていたようだ。このわずか6ヵ月の間に、技術は格段に進歩したようだ。
この様子には、スーパーフォーミュラの各チームの関係者も大きく注目。ピットウォールには鈴鳴りにチーム関係者が連なり、A2RLの走行を見守った。
KCMGのアンバサダーを務める松田次生はこの走行に感銘を受けた様子。「すごいですね。僕が生きているうちに、人間はAIに抜かれちゃうんですかね? 僕が現役の間は大丈夫かな」と驚きを隠さなかった。
A2RLのデモ走行は、スーパーフォーミュラの最終ラウンドが行なわれる11月9日(土)と11月10日(日)の2日間にわたって実施予定。初日はAI vs AI、2日目はクビアトがドライブするマシンにAIマシンが挑む格好となる。
A2RLの公式イベントは、今年はアブダビのみでの開催だったが、主催者は近い将来アジアやヨーロッパでもレースを開催したいとしている。日本でそれが開催されることはあるだろうか? そしてその時には、もっともっと進歩した走りが見られるはずだ。
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