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BMW G310R試乗インプレッション【ユーロ5規制対応でもスポーティーさを維持】

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BMW G310R試乗インプレッション【ユーロ5規制対応でもスポーティーさを維持】



BMWが欧州でニューカラー2022年モデルを一挙13機種発表! 次はダーク系が中心



“普通二輪免許で乗れるBMW”として’17年に登場した「G310R」が、ユーロ5に対応するのと合わせてビッグマイナーチェンジを実施した。電子制御スロットルやスリッパークラッチを採用し、灯火類をオールLEDとしたのがポイントだ。ヤングマシンのメインテスター・大屋雄一氏による試乗インプレッションをお届けする。

[◯] 電子制御スロットルの反応は良好。軽いクラッチも美点



’17年6月から日本での販売がスタートした「BMW G310R」。インドのTVSモーターカンパニーで製造されており、BMWながら63万7000円という低価格で登場し、大きな話題となった。今回試乗する’21モデルは、ユーロ5に対応するため大がかりなマイナーチェンジを実施。スタイリングの刷新をはじめ、電子制御スロットルやスリッパークラッチの採用など、従来型オーナーが嫉妬するような変更を受けているのだ。



―― 【’21 BMW G310R】■全長2025 全幅820 全高1120 軸距1380 シート高785(各mm) 車重164kg ■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 312cc 34ps[25kW]/9250rpm 2.8kg-m[28Nm]/7250rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量11L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70R17 R=150/60R17 ●色:白×黒 黒×白 白×灰色 ●価格:63万7000円~

―― 【先代のイメージを受け継ぎつつスタイル刷新】スチールチューブラーフレーム、タービンデザインのアルミキャストホイールなど、基本骨格はそのままにスタイリングを変更。タイヤは前後ともラジアルで、試乗車はミシュランのパイロットストリートを装着していた。

―― 【ライディングポジション】シート高785mmは従来型と同じ。単気筒ゆえに車体がスリムで足着き性も優秀。上半身がほぼ直立するため視野が広いのも特徴だ。[身長175cm/体重62kg]

まずはエンジンから。前方吸気&後方排気、後傾シリンダーというユニークな構造の312cc水冷シングルは、最新の排ガス規制をクリアしながら従来と同じ最高出力34psを維持する。1万rpmから始まるレッドゾーンまでフラットにパワーが盛り上がり、シフトダウンをサボっても力強く加速する。電子制御スロットルのレスポンスはワイヤー時代との差が分からないほど良好で、もう少しリターンスプリングが軽くてもいいとは思うが、基本的には問題なし。この新型には「オートマチックアイドルブースト」という、発進時のエンジンストールを抑止する機能が採用されており、特にUターンなどで心強かった。スリッパークラッチのおかげでレバーの操作力が軽いのもポイントで、付け加えるとそのレバーに調整機構が付いたのも実に嬉しい。



ハンドリングは、極めてニュートラルで扱いやすいものだ。フロント141mm/リヤ131mmという長めのホイールトラベル量、前後のラジアルタイヤ、そしてしなやかなスチールチューブラーフレームの組み合わせにより、微速域から接地感に優れており、峠道でペースを上げてもそれが続くのだ。決して排気量が大きいわけではないので、スロットルのオンオフだけでは車体のピッチングは発生しにくいが、それが巡航時の疲れにくさにつながっており、ネイキッドながらロングツーリングにも十分対応できそうだと感じた。



ブレーキは、この車重とパワーに対して必要十分な制動力を有しており、コントロール性も良好。車両全体の印象を良くしているのは、調整可能となったレバーのおかげだろう。



―― 【電子制御スロットル&スリッパークラッチ採用。ユーロ5対応に】前方吸気&後方排気、後傾シリンダー採用の312cc水冷DOHC4バルブ単気筒。圧縮比が10.6から10.9:1へとわずかに高められており、最新の排ガス規制ユーロ5をクリアしながら従来と同じ34psを維持する。電子制御スロットルが採用されたがモードの切り替えシステムはなし。新たにスリッパークラッチも導入された。

―― φ41mm倒立式フォーク/プリロード調整可能なリヤショック/アルミキャストスイングアームなど、足まわりは従来型を踏襲。前後のキャリパーはバイブレ製で、フロントはラジアルマウント。ABSはコンチネンタル製だ。 [写真タップで拡大]

―― 【灯火類はオールLEDに。S1000R顔に近付いた】ヘッドライトは従来のマルチリフレクター&フィラメント球から、中央にポジションランプを配したオールLEDとなり、上位機種S1000Rの雰囲気に近付いた。前後のウインカーもLED化され、これで灯火類はすべてLEDとなった。 [写真タップで拡大]

―― 黒いバーハンドルやスマートなミラーなどコックピットは従来モデルを踏襲。フル液晶のメーターも先代と共通だ。平均燃費や平均速度、航続可能距離などさまざまな情報を表示する。 [写真タップで拡大]

―― ブレーキ、クラッチレバーとも4段階(最大6mm)のアジャスターが追加された。ライドバイワイヤーを採用したことでスロットルケーブルが省略されている。 [写真タップで拡大]

―― 【タンクは11Lを維持】シュラウドからタンクにかけてのデザインは刷新されたが、タンク容量11Lはそのままだ。770mmと800mmのオプションシートを用意。 [写真タップで拡大]

―― シート下にはETC2.0車載器を標準装備する。

[△] 不満は特に見当たらず。良心的なプライス微増



’20モデルは62万3000円~だったので、価格は1万4000円しか上昇していない。ヘッドライトとウインカーのLED化で質感がアップしたにもかかわらず、この値付けは良心的と言えるだろう。不満らしい不満は特に見当たらなかった。



[こんな人におすすめ] BMWの哲学を小さなボディに詰め込んだ1台



ライバルはKTMの390デュークやヤマハのMT-03あたりか。同じロードスターのS1000Rに近い攻撃的な外観を手に入れたが、扱いやすいこと、また旅にも使えるという軸足はブレていない。これでほぼ価格据え置きというのは驚きだ。



――



―― 【’21 BMW G310GS:兄弟車には40周年記念カラー】エンジンや基本骨格を共有するG310GSも’21年モデルでユーロ5対応に。ヘッドライト&ウインカーのLED化、電子制御スロットル&スリッパークラッチ導入など、変更内容はG310Rに準じる。GSシリーズ誕生40周年を記念したコスミックブラックが1万円高で用意されている。 ●価格:70万9000円

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