テスト前のプリプロダクションモデル公開
英国を拠点とするRMLは、フェラーリ250GT SWBを現代的にアレンジしたプリプロダクションモデルを公開した。これから生産に向けテストプログラムを実施する予定だ。
【画像】現代風にアレンジされた250GT SWB【RMLショート・ホイールベースを写真で見る】 全23枚
このモデルは、最高出力492ps、最大トルク58kg-mを発生する5.5L自然吸気V12エンジンを搭載し、0-100km/h加速約4.0秒、最高速度約290km/hを実現する。
RMLによると、このモデルはグランドツーリングに特化して設計されており、しなやかな乗り心地、専用ダンパー、高剛性のカーボンファイバー製ボディが採用されているという。
RMLのマイケル・マロックCEOは、「当社はエモーショナルな製品と、シンプルで美しいデザイン、そして純粋で有機的な運転体験を称えるものを作りたかったのです」と述べている。
直線加速ではなく、グランドツーリングや長距離走行に向いているとのことだ。「重要な点は、実際に使えるもの、つまりここからル・マンまで運転し、帰ってこられるようなものを作ることでした」とマロックCEO。
今回公開されたプリプロダクションモデルは「カー・ゼロ」と呼ばれ、「特殊なカーボンプライマー、通常のプライマー、シルバーのベースコートを重ねた」多層のブルー塗装が特徴で、「ポップ」な仕上がりになっているそうだ。
V12のエンジン音も忠実に再現
用意されているパーソナライゼーション・オプションも豊富だ。デザイン責任者のジョナソン・ボーエンは次のように述べている。
「ほぼ無限のカラーパレットに加え、さまざまなエクステリアトリムから選択することができます。また、ドアのラウンドやパラレルストライプなど、時代を反映したグラフィックも開発中で、このクルマのデザインと趣旨にぴったりです」
RMLは、さまざまなレースシリーズで12回のコンストラクターズ・チャンピオンを獲得しており、モータースポーツ活動で得た知識を活かして、250GT SWBを現代風にアップデートしている。
カーボンファイバー製ボディによる軽量化、上下2段構成のテールライト、突き出たフューエルフィラーキャップ、「チップカッター」と呼ばれるフロントグリル、各車輪の後ろに設けられたエアベントなど、特徴的なデザイン要素を取り入れている。
足回りにはオーリンズ社製の特注ダンパーを装備。また、V12とオープンゲートの6速MTを採用し、後輪を駆動する。そのサウンドは、可能な限りオリジナルのサウンドを再現するために特別に設計されたという。
パワートレインの設計エンジニアであるアドナム・ラーマン氏は、「クラシックなV12ロードレーサーのエグゾーストノートを再現することが目標でした」と語る。
「まず、ドナーカーのフェラーリV12を、アイドリングからフルスロットル加速まで、さまざまな速度や負荷で車内外から録音しました。このテストデータは、新しい騒音規制に適合させることができるコンピューター・シミュレーションモデルに組み込まれています」
速さは求めない 有機的な運転体験
全長4264mm、全幅1954mmとオリジナルよりも若干大きくなっているが、全体のシルエットは維持されている。また、重量も1470kgと若干増加しているが、これはエンジンやインテリアの仕様変更によるものと思われる。
キャビンは、身長185cmまでのドライバーに対応できるように設計されており、電動フロントシート、カップホルダー、エアコン、ナビやスマートフォンとの接続機能を備えたインフォテインメント・システムなど、最新の機能を搭載しているという。
RMLは、「過去のスーパーカーの純粋な走りに敬意を表しつつ、21世紀の快適さと利便性を提供します」と述べている。
スーパーカーと競争するために作られたものではないが、それでも最高速度は290km/hに達し、静止状態から100km/hまで約4.0秒で到達できるとのことだ。マロックCEOは、次のように語っている。
「このモデルは、一般的なスーパーカーの加速力や最高速度に対抗するために作られたものではありません。そこから一歩引いたところにあり、確かに速いのですが、重視しているのは有機的な運転体験を実現することです」
「より少ない介入で、より使いやすいパフォーマンスを発揮し、なおかつ現代の道路で人々が日常的に楽しめるような、快適で便利なクルマを作ります」
生産台数は約30台に限定されるが、価格情報は明らかにされていない。
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みんなのコメント
もしも私が何十億、何百億円の大金を手にして大金持ちになったら、こんなのを買いたいですね。
昨今の日本の成金の方は、SNSで自慢できる、分かりやすい「世界で○台のメルセデス!」「ロールス・ロイス!」「ランボルギーニ!」などを好むので、日本には代理店もなさそうなこんな英国・欧州趣味車を買う人は、限定30名のなかにはいなそうな気がします。