■新型のV12エンジンは780馬力を発生 マイルドハイブリッド化された
アメリカで開催された「The Quail :A Motorsports Gathering」にてランボルギーニ「カウンタック」が復活しました。正確にいえば、初代「カウンタック」の誕生50周年を記念する、限定112台の新型「カウンタックLPI800-4」が発表されたのです。
【画像】復活した新型カウンタックと懐かしの初代カウンタックを見比べる(47枚)
このモデルの特徴は、そのルックスにあります。1971年に登場した初代「カウンタック」のデザインを尊重し、まさに「カウンタックLPI800-4」が直系のモデルであることを、見る人すべてに訴えかけます。
しかし、その中身はランボルギーニ社の最新技術が惜しみなく投じられ、現在のスーパースポーツカーとしてトップクラスの性能を体現します。
ボディはモノコックシャシだけでなく、すべてのボディパネルにカーボンファイバーを採用。車両重量はわずか1595kg(乾燥重量)となっています。可動式エアベントやボタンひとつで透明になるフォトクロマチックルーフなどが最新モデルであることを感じさせてくれます。
ミドシップに搭載されたエンジンは6.5リッターV型12気筒。最高出力は780馬力、最大トルク720Nmを発生します。
これに48Vマイルドハイブリッドシステムが追加されています。このシステムはギヤボックスに直接取り付けられた34馬力の同量のモーターとリチウムイオン電池の3倍の出力を誇るキャパシターからなるもの。瞬間的にパワーを出せるモーターが運動性能向上に貢献しています。
トランスミッションは7速AMTに、第4世代のハルデックス・デフを使った4WDシステムを採用。
そのパフォーマンスは0-100km/h加速が2.8秒、0-200km/hが8.6秒、最高速度は355km/h。復活した「カウンタック」に相応しい、素晴らしい性能を誇ります。
■子供だったからこそ大きかった初代「カウンタック」の衝撃
今回、ランボルギーニ社が初代「カウンタック」の現代版とでも言える限定車を発表したのは、やはり、それだけ初代モデルが偉大だったことが大きな理由でしょう。
また、日本においても初代「カウンタック」の存在感の大きさは別格です。現在のランボルギーニの知名度と人気は初代「カウンタック」の存在抜きには語ることはできません。それだけ初代「カウンタック」のインパクトは大きかったといえるでしょう。
そして、日本において「カウンタック」の名声を一気に高めるきっかけとなるのが、1970年代後半に巻き起こった「スーパーカーブーム」です。1975年に連載がスタートしたマンガ『サーキットの狼』(池沢さとし・著)を契機に全国の小学生男子がスーパーカーに熱狂したという一大ブームです。その熱波の中に初代「カウンタック」がいました。
ここから先は、スーパーカーブームのまっただ中に小学生時代を送った筆者の個人的な記憶を中心に、当時の「カウンタック」のことを説明したいと思います。
マンガ『サーキットの狼』の物語的には、ロータス「ヨーロッパ」やポルシェ「911カレラ」、フェラーリ「ディノ246」などが大きくフューチャーされましたが、現実世界で見る「カウンタック」は、小学生の目にも別格の大きな存在感がありました。
正直、当時は小学生だったこともあり、ランボルギーニやフェラーリ、ポルシェ、ロータスといったブランドの来歴や実績は、ほとんど理解できていませんでした。ミドシップ・レイアウトや12気筒エンジンの意味も同様です。すごいらしいけれど、いったい、どのようにすごいのかは理解不能です。
それでも、「カウンタックは何か違う」ということだけはすぐにわかりました。なぜなら、あんな格好のクルマは見たことがなかったからです。極端なまでのくさび型ボディや、ドアを空に開ける「ガルウインドウ(正確にはシザースドアですが、当時の小学生はガルウインドウと呼んでいました)」です。今、思い返せば、実物を見たときの興奮は、「写真や絵で見たのと同じ格好だ」という喜びだったような気がします。それだけ初代「カウンタック」は、当時の常識からかけ離れしたデザインだったのです。
その後も「カウンタック」は、巨大なリアウイングやオーバーフェンダーを装着するなど、どんどんと派手になってゆきます。これも子供心に、さらに「カウンタック」の印象を強めることになりました。
結局、「スーパーカーブーム」は、わずか数年で沈静化しますが、その熱波を経験した子供の心には「一番すごい、派手なクルマがカウンタック」という印象が強く残ることになったのです。
もちろん、男子全員が「カウンタック」が最高に好きだったわけではありません。派手過ぎると敬遠した人もいました。実際、僕も敬遠組のひとりです。
しかし、「カウンタック」のインパクトが他のどのスーパーカーよりも強烈だったことは間違いありません。また、これが日本国内限定だったわけではないはず。世界中の子供たちも同じように感じたことでしょう。だからこそ、誕生から50年を過ぎても、その存在をリスペクトする新型が登場したのではないでしょうか。
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