THE EV TIMES流電費計測の第1回は、6月某日にメルセデス・ベンツ EQE 350+で実施した。巡航速度による差も予想外に大きかった。その詳細をお伝えする。計測方法などについてはこちらをご覧ください。
標高差は電気自動車の味方?
エコランではなくガチ計測!THE EV TIMES流の電費計測を開始
EQE 350+の一充電走行距離は624km(WLTC)で、電池容量は90.6kWhだ。一充電走行距離の624kmを実現するには、電費が6.9km/kWhを上回る必要がある。 ※電費についてはテスラなどで表示されるWh/km単位の数値も併記している。
各区間の計測結果は下記表の通り。往路では御殿場ICの標高454mまでの登りとなるため、BとC区間は復路より悪い数値が、逆にD区間では勾配を下るため往路が復路よりも良い数値となり、勾配が直に電費に影響することを改めて認識した。A区間の標高差も25mと他の区間に比べるとわずかだが、下りで有利となる往路の方が0.4良い数値となった。
120km/h巡航のE区間は、標高差よりも速度による電費への影響が大きく、往路も復路も5.2km/kWhとなった。
まだ本方式による計測の第1回であるため断言はできないが、興味深いのは、往復の平均が80km/h巡航でも100km/h巡航でも、より標高差の大きいC区間とD区間の方が良い数値となったこと。これはC区間の復路(347mの下り)とD区間の往路(316mの下り)の電費が大きく影響している。この2区間は走り始めるとしばらく下りの坂道となるため、電費計は999km/kWhとなりSOC(バッテリー残量)も減らなかった。
日本は国土の約7割が森林に覆われ、ゆえに標高差が大きい高速道路ばかりだが、BEV(バッテリー電気自動車)にとっては電費で有利に働く面もありそうだ。
100km/h巡航でも一充電走行距離の達成は可能
各巡航速度の電費は下記の表の通りとなる。航続可能距離は電費にバッテリー容量をかけたもの(例:10.5km/kWh x 90.6kWh = 947.4km)、一充電走行距離(624km)との比率は624kmに対して、どれほど良いのか、悪いのかだ。120km/h巡航のみ一充電走行距離を割り込んだ。
80km/h巡航では一充電走行距離(カタログ値)の1.5倍となる約950kmを走行できる。これは東名高速道路の東京IC(東京都世田谷区)を出発し山口県入りができる、または東北自動車道に至っては川口JCT(埼玉県川口市)から青森IC(青森県青森市)までの全行程となる680kmを余裕を持って走破し、本州最北端に到達できる数値だ。
100km/h巡航でも一充電走行距離(カタログ値)よりも11%多く695km走れる結果となった。東京ICからだと岡山県(笠岡市)と広島県(福山市)の県境まで走行できることになる。青森にもギリギリだが辿り着ける数値だ。
120km/h巡航でも471km走行できる。現在、制限速度120km/h区間は新東名高速道路の静岡県内が最長で145kmなので、十分な能力を持っている。
120km/hと100km/hをベースにした他の巡航速度航続距離の比較は下記となり、80km/hでは120km/hの倍走れる。さらに、100km/hから80km/hに巡航速度を落とすことで1.36倍の走行距離の伸長が期待できるので、次の充電スポットまでのSOCが厳しい場合は有効だと思われる。
ACCは1km/hごとの速度設定に少し手間がかかる
スピードメーター表示とGPSによる実速度の差は下記表の通りだった。GPSによる実速度で80km/h巡航をしたい場合は、メーター速度を84km/hに合わせる。
なお、EQE 350+のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の設定はステアリング右側の下、スポークにあるボタンで設定できる。「RES」ボタンを押すと車両側で認識している制限速度表示が自動で設定されるのは便利だったが、新東名で80と120の標識が一緒にあるところでは、80を認識したり、120を認識したりする場面もあった。
ACC走行中に設定速度を変更する場合は、「SET+」か「SET−」を押すのだが、このボタンでは10km/hごとしか変更できない。それでは上記の表のように84km/hに設定する場合はどうするかというと、アクセルを踏んで84km/hになった時点で「SET+」を押すとその時点の速度に設定できる。
ACCをキャンセルする時は「CANCEL」ボタンを押すか、ブレーキを踏めばよい。なお、「SET+」ボタンの左側にあるボタンで先行車との車間距離を4段階で選択できる。
メーカー公表値通りの充電を経験
今回の電費計測では駿河湾沼津SAの下りと上りで1回ずつ充電を行った。その結果をまとめたのが次の表だ。
どちらのSAにも最高出力が150kWの充電器があり、EQE 350+も最大150kWでの充電が可能で、プレスリリースには150kWの場合、SOC10%から30分間で57%まで充電(47%分の充電)可能とある。
充電1では充電器側のトラブルで16分経過時点で充電がストップしてしまったため、SOCは18%、航続距離にして118km分しか充電できなかった。充電中にバッテリー冷却用のファンが作動することはなかったため、車内はほぼ無音で、車外では周りのトラックのアイドリングの方が音が大きかった。
充電2ではメーカー公表値通り47%分の充電となった。充電終了時はSOCが88%、航続距離が525kmととても安心できる数字になっていた。この充電2は120km/h巡航の往復を終えた直後なので、バッテリーが充電に適した温度に温まっていたのだろうか。気温は充電1も2も22.5℃だった。
ただ充電2ではバッテリー冷却システムが作動し、車内は63db、フロントナンバープレートの横の冷却用空気取り入れ口付近では68dbとなった。もちろん充電1の時よりは車内にもそれなりの作動音が聞こえるが、我慢できないほどの大きさではなく、十分仮眠も取れる程だと感じた。
しかしながら、燃料を入れた分だけ確実に航続距離が伸びるICE(内燃機関)と違って、BEV(バッテリー電気自動車)の難しさは、充電速度が充電器や車両の状況によってはメーカー公表値通りにならないことがある点だ。
冷房による航続距離の落差は無視できるレベル
エアコン使用による航続距離の変化は夜間、深夜、昼間の3回確認した。気温が22.5℃から24.5℃とあまり差がなかったこともあり、特に冷房の下落率はいずれも2%と小さかった。
暖房は下落率10~13%、航続距離にして50km前後となった。以前は25%も下落してしまうBEVもあったので、その頃からすれば約半分に抑えられていて、技術の進化を感じた。
タイヤの記録
※製造週年は「2822」の場合、2022年の28週目に製造されたことを意味する。
Mercedes-Benz EQE 350+ 全長:4,970mm 全幅:1,905mm 全高:1,495mm ホイールベース:3,120mm 車両重量:2,390kg 前後重量配分:前1,150kg、後1,240kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:176Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:624km(WLTCモード) リアモーター最高出力:215kW(292ps)/3,559-15,913rpm リアモーター最大トルク:565Nm/0-3,559rpm バッテリー電力量:90.6kWh モーター数:後1基 トランスミッション:1速固定 駆動方式:RWD フロントサスペンション:4リンク式 リアサスペンション:マルチリンク式 フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:255/45R19 最小回転半径:4.9m 荷室容量:430L 車体本体価格:12,510,000円 CD値:0.22 ※AMGラインパッケージ、パノラマスライディングルーフ装着車
※電費計測は、季節、気温、天候による差はどうしてもカバーしきれないこと、また電費は実際の乗車人数や荷物の積載量によっても変わってくるため、あくまでも参考値となること、ご了承いただきたい。 基本的には速度規制や車線規制がない状況で走行するものの、避けられない場合は適切な速度で走行し、その区間の電費については数値の補正を実施する。
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