マクラーレンのダニエル・リカルドは、F1の技術面について多くを知っているわけではないことを認めている。リカルドは意識的に知らずにいようとしており、それが彼にとってはうまくいっているようなのだという。
グリッド上の他のドライバーたちは、マシン開発とセットアップの細かな部分にまで強い興味を抱いていることで知られている。たとえばセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)はミハエル・シューマッハーやアラン・プロストらのように、物事の仕組みを詳細まで理解している。
しかしリカルドはまったく違っている。オーストラリアのポッドキャスト『Gypsy Tales』に語ったところによると、リカルドはあえて技術的な側面は避けて、より“気楽な”スタイルでドライビングすることにしているという。
「全部のことを知りたくはない」とリカルドは主張した。「自分のエネルギーをさらにドライビングに注ぎ込みたいし、技術的なあらゆることからは少し距離を置きたい」
「そうすることでもう少し気楽な姿勢でアプローチできる。より優れた走行をしたりパフォーマンスを上げる役に立つし、技術面のプレッシャーを取り除くことができると思う」
「僕がドライビングで秀でているところはフィードバックだ。マシンの挙動を感じてチームに伝えるのが得意だから、技術的には十分だろう」
リカルドの友人たちは、彼が世界でも最先端の技術的に洗練されたマシンをドライブしているのに、自分の自家用車のスパークプラグやタイヤの交換にいたってはほとんどできないことを面白がっているという。
■「最初は間違いなく腰が引けていた」2011年のF1デビューを振り返る
リカルドは、初めて母国オーストラリアから世界へレース活動の舞台を切り替えた際にどれだけ圧倒されたか、また、2011年にシルバーストンでF1デビューを飾る可能性がいかに厳しいものだったかについて語った。
「オーストラリアからF1とその世界に入っていくのは大変だった」とリカルドは認めた。
「世界には隔絶された地域がたくさんあるが、明らかにパースもそのひとつだ」
「F1は台座の上にあるようだった。僕はそれに畏敬の念を抱いていた。そして数年後に僕はそこにいたんだ。シューマッハーが現役で、僕が子供の頃に文字通り崇拝していた人たちがいた。僕はそのことに圧倒された。『僕はどうやってここに来たんだ?!』という感じだったよ」
「最初は間違いなく腰が引けていた。F1に慣れるための学びの過程にあったが、最終的には自分がここに属していることを信じるようになった」
リカルドは、自身が6歳の頃は、サーキットで輝く早熟な才能の持ち主のひとりというわけではなかったという。
「もちろん僕は上手かったが、抜きん出ていたわけではなかった。僕がF1にたどり着くだろうことを示す本当の兆し、早期の兆しはなかった」
しかししばらくしてリカルドは、元チャンピオンのシューマッハーやフェルナンド・アロンソ、キミ・ライコネンといったグリッドの他のドライバーたちもみな、世間では強いところを見せながら同じ気持ちを抱いていたことに気づいた。
「周りのみんなを人間的な目で見て、彼らがそれほど超人的に見えないようにするんだ。シューマッハーやアロンソ、ライコネンや誰であれ、彼らも同じ道を進まなければならなかった」
「理由があってたどり着いたのだと、自分自身のなかで信じなければならなかった」
リカルドはF1で210戦に出場し、レッドブルでは2018年モナコGPでの勝利を含む7度の優勝を飾った。最近の勝利は2021年イタリアGPでのもので、移籍後の難しい年にもかかわらず、現在のチームメイトのランド・ノリスとともにマクラーレンでワン・ツーフィニッシュを飾ることになった。
「他のチームのことや僕の将来をかすめていったことなど、マクラーレン以外のことを考えていない理由は、おそらく僕のキャリアでもっとも難しい年に優勝したからだ」とリカルドは『FormulaNerds.com』に語った。
「だから『(このような状況で)勝てたということは、この先どんな旅が待っているんだろう?』という感じだ。僕は間違いなく興奮しているし、僕はここでやっていきたい。可能性があるなら最後までね」
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