旧車人気のいま、再注目されるレプリカ仕様
マット・デイモンとクリスチャン・ベイルが初共演する2020年1月公開の映画「フォード vs フェラーリ」。1960年代のル・マン24時間レースを舞台に描かれる、クルマ好きにはたまらない作品なのだが、劇中に登場しているのがポルシェ550スパイダーだ。
ポルシェ904を忠実に再現した『Beck GTS』という超高性能マシン
ポルシェ550スパイダーといえば、ポルシェ初の市販レーシングカーとして1954年に誕生。同年にミッレ・ミリア初登場で6位入賞、ル・マンでは総合4位(クラス優勝)を果たすなど、レースシーンで大活躍したクルマとしても知られている。そんなポルシェ550スパイダーは、54~56年にかけて生産。販売されたのは約90台と極めて少なく、現存するのはわずか30台前後を言われており、オークションでは約6億円で落札されるほど、超貴重ともいえるモデルだ。また、映画「エデンの東」でおなじみの俳優ジェームス・ディーンの愛車としても有名である。
じつは前述の劇中車はホンモノではない。そこに登場するのは、アメリカのBECK社が手掛けた「ベック 550スパイダー」という車両。オリジナルが極めて貴重となっているいま、注目を集めているのがレプリカモデルというわけだ。
ベック550は、アメリカ・インディアナ州出身のチャック・ベック氏が創設した「ベック・デベロップメント」が、ポルシェ550スパイダーのフレームやボディなどオリジナルを忠実に再現して製造している。それ以外のコンポネートパーツには、フォルクスワーゲンのパーツを使用することでコストを抑え、手に入れやすい価格設定としたのである。
そんなベック550スパイダーは2019年から日本でも販売を開始。「BECK JAPAN(ベックジャパン)」として、国内販売をスタートさせた「ヨシムラオート」の吉村社長にお話しをうかがってみた。
オーダーメイドながら700万円から入手可
「本国にあるベック社では、1986年からベック550スパイダーを製作しています。日本にも当時輸入されていたのですが、一時期途絶えてしまったので、ベックジャパンとして輸入を再開することにしました。現存するポルシェ550スパイダーの価格が現実離れしていること、エンジン単体でも5000万円以上と言われるほど、オリジナルの価値が高くなっています。そこまで高価だと怖くて乗れないのも事実。実際にポルシェ550スパイダーを所有している人がレプリカに乗って雰囲気を楽しむというケースもあります」。
気になるベック550スパイダーのプライスは700万円から。エンジンやインテリアなどもオーダー可能で、仕様によって価格は変わるそうだ。エンジンは、フォルクスワーゲン製の1600cc、1900cc、2160ccの3種類。さらにスバル製のEJ25(2500cc)も選択可能。展示車はフォルクスワーゲン製の空冷水平対向4気筒エンジンで、車重は800kgほど。オリジナルはレースカーだったので超軽量であり、ベック社でも最も軽量な状態として600kg(4輪ドラムブレーキ仕様)に抑えることができるそうだ。
なお、フレームはパイプフレーム(チューブラーフレーム)で、オリジナルは2インチ径よりも太い3インチ径を採用。ボディのFRP層も厚く成型しているため、車体強度も問題はない。また、ホイールは本物と同じ16インチと実車(ポルシェ550スパイダー)の雰囲気を忠実に再現させている。さらに保安部品についても1955年当時の安全基準をクリアしているので、車検も問題なし。安全性アップのためのロールバーやエアコンといった快適装備を付けることも可能という。
「もうひとつの展示車両は”ベックGTS”という、1964年製ポルシェ904GTSのレプリカです。価格は1400万円~(為替レートによって変わる)。この車両も映画『フォードvsフェラーリ』に登場するので、ぜひご覧になってください」と吉村社長が教えてくれた。
オリジナルのポルシェ550スパイダーには手も足も出ないが、700万円で憧れの1台を味わえるとなれば本気で購入を考える人もいるのではないだろうか。なお、ベック550スパイダーの生産台数は年間5台程度。世界規模を考えると、ある意味で希少なのではないだろうか。
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みんなのコメント
ちょっと金額乗せ過ぎじゃないかなぁ?
高すぎにもほどがある。