この記事をまとめると
■イタリア人のガラッソ博士が海上を楽しく過ごすためにフィアット500のファンボートを発案
超有名な「フィアット500」じゃなくて「600」って何? 日本でマイナーな姉貴分はヨーロッパでは大ヒット車だった
■500のファンボートは世界的なヨットメーカーのNAYE社が設計した
■ファンボートに500の実車の部品を流用するなど非常に精巧な作りになっている
フィアット500が船になった!?
クルマ好きが高じて、船も好きになる。どうやら、イタリアのアントニオ・ピエトロ・マリア・ガラッソ博士はそんな生き方をしてきたようです。フィアット500のカワイイパワーにのめされたのか、博士は水に浮かんで楽しいひと時を過ごせるよう500をボートにしてしまいました。
しかも、単純に500のボディを舟形にしたのではなく、世界的なヨットメーカーに設計を依頼した結果、陸上のフィアット500に勝るとも劣らないファンボートに仕上がったのです。
カーオフショア(Car Off Shore)と名付けられたガラッソ博士の会社はナポリにほど近いサンタマリア・ラ・カリタという海辺の街。日本でいえば静岡県の沼津とか清水あたりにあたるでしょうか。
とにかく海や船に馴染み深い土地で育った博士ですが、イタリア人だけあって大のクルマ好きだったとのこと。むろん、現代版の500も手に入れてブイブイ走らせていたのですが、あるとき「これで海の上を走ってみたいな」などと思いついたのだそうです。
たしかにニュー500のポッテリとしたボディはビーチカーにしても、はたまたレーシーにしてもカワイイパワーで似合ってしまうものですが、さすがにボート化するのは無理がありそう。
「そこで、ヨットや帆船の設計で世界的な定評があるNAYE社に設計を依頼しました。500のディテールを活かすだけでなく、実車のスケールにほど近くなるようオーダーしたところ、だいぶ苦労をしたみたいです」
普段は太平洋を横断するような船の設計をしているNAYE社ですから、面食らったのは当然でしょう。とはいえ、ガラッソ博士の思惑は的中してカーオフショアの500はご覧のとおり「まさに500が水に浮いている」ボートに仕上がったのです。
言うまでもなく、500のボディは鋼鉄製でなく、強化FRPが用いられ、精巧なまでに500のファニーフェイスやオープンボディを形作っています。むろん、フロントスクリーンも重たいガラスでなく、カーオフショアが特注したアクリル製スクリーン。
一方で、点灯可能なヘッドランプやリヤランプに加え、フィアットのエンブレムなどは実車のパーツを流用するといったこだわりっぷりも素敵です。
実車のような内装デザイン、ハイグレードオーディオも装備
インテリアに目を向けてみると、海の上は走るとあってさすがに実車パーツの流用はありませんが、小径ハンドルのセンターにはしっかりフィアットのエンブレムが光っています。また、500のポップな雰囲気に通じるシートのデザインや、この手のプレジャーボートでは珍しいハイグレードのオーディオシステムなど、高級ヨット並みの装備といえるでしょう。
ちなみに、床やサイドの手すりなどは本物のチーク材を使っているとのことで、このあたりもセンスの良さを感じずにはいられません。
さらに、海の上でのアクティビティを広げてくれるアプローチデッキをボディ後端に装備。ダイビングやトローリングだって楽しめるでしょう。
また、洋上を駆ける姿を見ても、マーキュリーのウォータージェットでそれなりに速そうな雰囲気。船体断面はトリマラン、すなわち3本のハル(水に浸かる部分)を持ち、船底の空気層が適度なクッション性を発揮するので、500のボートにはぴったりなスタイルかと。
また、この船底形状は横滑りしづらく、直進安定性も高いとのことですから、船としての性能もそれなりに高そうです。パワーは40馬力、最高速度21ノット(39km/h)、オプションで115馬力のエンジンも用意されていますが、タンク容量が70リッターと比較的少なめなので、さほど遠くまでは行けそうにありません。
さて、気になるお値段ですがベーシックとされるヨーロッパ仕様で10万ドル(およそ1500万円)程度とされ、よりパワフルなエンジンを積んだ北米仕様は13万ドル(およそ1950万円)とのこと。
陸上の500より値が張るものですが、やっぱりカワイイはプライスレス。それでも、500好きなビリオネアたちがこぞって購入しているようですから、なるほどカワイイパワー恐るべしといったところでしょう(笑)。
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