長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価し、ベスト5のドライバーを選出した。今回はスペインGPの週末を振り返る。
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【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第9戦】勝利がふさわしかったノリス。角田裕毅はスピンするまでは強力だった
【2024年F1第10戦スペインGP ベスト5ドライバー】
■評価 10/10:最速でないマシンで勝利したフェルスタッペン
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選2番手/決勝1位
最速でないマシンで勝利を手にしたときには、2倍の喜びがあることだろう。スペインGP決勝後のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の姿にはそれが表れていた。彼とレッドブルは、イモラほど劇的な形ではなかったものの、RB20では本来達成できなかったはずの結果をつかみ取った。勝利を決定づけたのは、フェルスタッペンの素晴らしいスタートと最初のスティントであり、その後のペースコントロールとタイヤマネジメントは、彼が一流のドライバーであることを改めて証明するものだった。
■評価 9/10:スタートで勝機を失ったノリス
ランド・ノリス(マクラーレン):予選1番手/決勝2位
ランド・ノリス(マクラーレン)には同情せざるを得ない。彼はコース上で最速だった。素晴らしい予選ラップでポールポジションを獲得し、決勝では、前が空いた状態では印象的なペースを見せた。しかし残念なことに、スタートが少し悪かったことで、ファーストスティントをジョージ・ラッセルの後ろで走ることになり、ライバルたちにアンダーカットされた後に、フェラーリ2台、メルセデス2台をコース上で追い越さなければならなくなった。そこで時間をロスしたことによって、フェルスタッペンをつかまえるチャンスが失われた。
■評価 9/10:ベストオーバーテイクを見せたハミルトン
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選3番手/決勝3位
ルイス・ハミルトン(メルセデス)が久しぶりに表彰台に戻ってきた。彼は、自分が信じることができるマシンさえあれば、素晴らしいパフォーマンスを発揮するということ、タイトルを獲得したころに示した能力を失ってはいないことを、改めて証明した。予選でチームメイトを破り、決勝ではターン1でカルロス・サインツやジョージ・ラッセルを相手に、決意に満ちた見事なオーバーテイクを披露した。この動きは今回のレースのベストオーバーテイクといっていい。W15がこのまま、どのタイプのサーキットでも競争力を発揮できるようであれば、今後も彼の素晴らしいパフォーマンスを見ることができるだろう。
■評価 9/10:強敵相手に善戦したガスリー
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選7番手/決勝9位
今回アルピーヌは、今シーズン最も高い競争力を見せた。その週末にピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、エステバン・オコンより少し重いA524に乗りながら、一貫してチームメイトよりも速かった。予選Q3のラップは3番手からわずか0.156秒差というセンセーショナルなものだった。レース終盤には、はるかに速いマシンに乗るセルジオ・ペレスを最終ラップの初めまで抑え続けた。最初のピットストップで貴重な数秒を失ったのは残念だった。しかし彼のパフォーマンスは週末を通して素晴らしいものだった。
■評価 8/10:順調ではない週末に、チームメイトより速さを見せたルクレール
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選5番手/決勝5位
シャルル・ルクレール(フェラーリ)にとって、困難な金曜日を送ったことが最後まで響いたような週末だった。FP3の終盤にノリスと愚かな衝突を起こしたことが示すように、ルクレールのプレッシャーは次第に増していったようだ。チームはドライバーたちに、決勝最初のスティントを慎重に走るよう指示していたが、カルロス・サインツはそれに逆らって全力でプッシュすることに決め、2台が接触し、ルクレールのマシンは小さなダメージを受けた。ルクレールはチームメイトに対して憤りながらも、最後まで粘り強く走り、サインツより前でフィニッシュ、最終ラップにはラッセルに追いつくだけの速さを見せた。
【ベスト6以下のドライバーとその戦い】
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選4番手/決勝4位
=評価 8/10:全体的にハミルトンにわずかにおよばなかった。決勝ではターン1に向けて素晴らしい動きを見せてリードを奪ったが、その後はペースが足りず、4番手に落ちた。
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選6番手/決勝6位
=評価 7/10:非常に集中してホームグランプリに臨んだ。堅実な仕事をしたものの、予選でも決勝でもルクレールに敗れた。
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選9番手/決勝10位
=評価 7/10:セカンドスティントの序盤にガスリーを前に出したのは、非常にプロフェッショナルな行いだった。アルピーヌに重要なポイントをもたらしたが、ガスリーより少しだけ重量のアドバンテージがあったにもかかわらず、チームメイトよりも遅かった。
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選13番手/決勝11位
=評価 7/10:今年5回目の11位だ。FP1でマシンをオリバー・ベアマンに譲り、走れなかったが、予選でもレースでもチームメイトよりはるかに速かった。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選10番手/決勝7位
=評価 6/10:週末を通してノリスとの差に困惑していた。予選Q3で珍しいミスを犯したが、少なくとも7位で貴重なポイントを持ち帰った。
バルテリ・ボッタス(キック・ザウバー):予選12番手/決勝16位
=評価 6/10:予選のスターのひとりだった。レースでは、ポイント獲得の可能性があったものの、タイヤ戦略が裏目に出て順位を落とした。
周冠宇(キック・ザウバー):予選15番手/決勝13位
=評価 6/10:今回はボッタスに近いパフォーマンスを見せ、予選Q2に進出した。チームメイトよりも良いタイヤ戦略で走り、上の位置でフィニッシュした。
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選11番手/決勝12位
=評価 6/10:母国のファンに贈りたかった結果を出すことができなかった。Q3進出にわずかに届かず、レースでは序盤にひどいデグラデーションに見舞われた。
ダニエル・リカルド(RB):予選18番手/決勝15位
=評価 5/10:今回のマシンにはポイントを争える力はなかった。予選はQ1で敗退。しかし良いタイヤ戦略で、レース後半に何回かライバルたちをオーバーテイクして順位を上げた。
角田裕毅(RB):予選17番手/決勝19位
=評価 5/10:予選でチームメイトに勝ったが、レースでは3回ストップで走ったことで、後方に沈んだ。
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選14番手/決勝14位
=評価 5/10:かろうじてQ2に進んだが、アロンソにかなわず。レースでのタイヤ管理においてもおよばなかった。
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選16番手/決勝17位
=評価 5/10:FP1で走らなかったヒュルケンベルグに勝つことができなかった。
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選19番手/決勝18位
=評価 5/10:ライバルと競えるマシンがなかったが、決して諦めることなく戦った。
セルジオ・ペレス(レッドブル):予選8番手/決勝8位
=評価 4/10:イモラ以来の入賞。しかしチームメイトとは依然として何光年もの差がある。
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選20番手/決勝20位
=評価 3/10:自ら認めていたように、彼にとって最悪のレースだった。
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