レッドブルは2024年シーズンのF1に向けて、昨年のRB19から大きな変更を加えたRB20を登場させた。チャンピオンチームの大胆な変化に、ライバルチームであるマクラーレンのアンドレア・ステラ代表も、初めて見た時に驚きを隠せなかったと認めた。
そしてステラ代表は、昨年のレッドブルの強さが圧倒的だったことから、こうした大きな変更をマシンに加えるのは「勇敢」なことだとも語った。
■ついに明らかとなったレッドブルRB20の本当の姿。極小の開口部、コックピット後方にはふたつの穴
2024年シーズンに向けて、ライバルチームの多くは昨年のチャンピオンマシンであるRB19からインスピレーションを得たように見えるマシンを開発してきたが、そのレッドブル自身は別の方向に舵を切った。ライバルチームが驚くのも無理はない。
「マシンを見た時『おお、昨年あれほど成功したマシンの形状を変えるとは、勇気があるな』と思ったよ」とステラ代表は言う。
「昨年、アドバンテージを享受することができたからこそ、時系列的な観点からも彼らはリスクを冒す自信がついたのだと思う。早い段階でリスクを冒すことで、それが上手くいくかどうか、実際に確認することができるからね」
「ただ私が言いたいのは技術革新があり、マクロ的に(変化を)見ることができる一方で、既に言った通り、このレギュレーションでは多くのことがミリ単位で行なわれているということだ。マシンのフロアと地面の間では、目に見えない作業が沢山ある」
ステラ代表とマクラーレンのザク・ブラウンCEOは以前、レッドブルが昨シーズン中にRB19の改良に研究開発を集中させる必要がなかったため、2024年に大きなステップを踏めるのではないかと危惧していた。
ステラ代表はその懸念が現実のモノとなり、レッドブルがリソースを投入して抜本的な改良を加えた新パッケージを開発したと考えている。
「ふたつの要素があると思う」と彼は言う。
「まずはマシンのデザインだ。あのマシンには重要な進化の要素があり、その開発には確かに時間が必要だった」
「レッドブルが2023年マシンに投入するパーツを開発しなかったという点で、ザクと私はこの時間(を確保できること)を指摘していたと思う」
「ふたつ目の要素はパフォーマンスそのものだ。とても強そうだ。主に空力パフォーマンスと言える、彼らがデザインの観点から達成したかったことを実現したように見える」
一方マクラーレンは昨年、目覚ましい開発スピードで急成長を果たしたが、ステラ代表は今年のMCL38で進歩を遂げ、少なくともレッドブルに接近することができると確信している。
「我々自身の開発で見えてきたことは、昨年始めた開発のグラデーションを維持できているということだ。それがオーストリア、シンガポール、そしてローンチ仕様のマシンの開発に繋がった」とステラ代表は語る。
「このまま開発を続ければ、そこ(レッドブル)に到達できるとまでは言えないが、競争力のあるポジションにつけるという楽観的な見方はある。もちろん、レッドブルが同じレベルで開発を続けるのであれば、我々は彼らに決して及ばない」
「重要なのは、時間をかけて開発を続けられるかどうかだ。我々自身の旅において、少なくとも技術的な再評価とチーム再編成の後では、まだ12ヵ月も経っていない」
「そう考えると、比較的短い旅なのだ。でも開発という観点からは励みになる。シーズン序盤からMCL38に競争力があるといいね」
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