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いよいよジュネーブ・モータショー開幕 会場を彩ったスターたち 前編

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いよいよジュネーブ・モータショー開幕 会場を彩ったスターたち 前編

シムカ・フルグル(1959年)

自動車業界で「モビリティの未来」なるフレーズだがもてはやされるのは、なにも今に始まったことではない。それどころか、1950年代のそれは、現在よりもずっとワイルドなものだった。59年にシムカが発表したこのフルグルはそのいい例だ。彼らが思い描いたのは、2000年のファミリーカーだったというのだが、その内容は、21世紀の今となっては、かなり無謀なものに思える。

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ロベール・オプロンが描き出したSF感満点のスタイリングもさることながら、動力源はなんと原子力を用いるハイブリッドシステムなのだ。航続距離はおよそ5000kmに及ぶとされたが、これはもちろん、そのパワーソースが実用化できればの話である。さらにシムカは、公道へのワイヤレス充電システム導入も想定していた。

このほか、ジャイロスコープを搭載し、150km/h以上では後輪のみで走行。前輪は格納され、操舵はボディ後部の巨大なウイングで行う。また諸元表を見ると、電子制御サスペンションや、アナログメーターに代わるディスプレイ、前方を走査するレーダーなども記載されていた。無論、実用化は叶わなかった。

ジャガーEタイプ(1961年)

ジャガーのデザインにおいて、新たなチャプターを開いたのは間違いなくEタイプだ。61年のジュネーブ・ショーに登場したそれは、前後方向に流れるようなヘッドライト、長いボンネット、ファストバック的なシルエットを持つ、当時の流行に沿ったルックスだった。発売時のエンジンは3.8ℓ直6だったが、エンジンルームのスペースにはまだまだ余裕があり、後にV12が積み込まれることとなる。

プジョー504クーペ/カブリオレ(1969年)

プジョーが504セダンを発表したのは68年。その翌年には、ピニンファリーナの協力を仰いだクーペとカブリオレをジュネーブで披露する。2台はスタイリッシュで、パワーがあり、内装の装備も充実し、そのうえ価格設定は適切だった。

ところがプジョーは、504の4ドア仕様をアメリカ市場で販売していたにもかかわらず、2ドアのバリエーションは投入しないことを決定する。その理由は、ハッキリとは語られなかったが、504が彼の地で得ていた人気を考えれば、十分なセールスを稼げていたのではないかと思われる。

ランボルギーニLP500プロトタイプ(1971年)

71年、創立から10年と経っていなかったランボルギーニは、LP500と銘打った衝撃的なプロトタイプをジュネーブに持ち込んだ。その名が示すものは、エンジンの搭載レイアウトと排気量。LPは縦置き/ボディ後方搭載、500はV12ユニットが5000cc級であることを表す。明るい黄色に塗られた過激なウェッジシェイプボディは、ベルトーネ在籍時のマルチェロ・ガンディーニによるデザイン。さらに奇抜なシザースドアを備えるそれが、来場者の視線をひとり占めしても何ら不思議なことではない。

これはもちろん、カウンタックとして市販化される。74年にミウラの後を受けるスーパースポーツとして登場した際には、数々の通気口が追加されるなどディテールを大幅に変更していたが、基本的なシルエットは変らなかった。だが、その下に隠されたシャシーは、モノコックからスペースフレームへと全面的に改変。にもかかわらず、外観がほとんど変わらなかったことから、このLP500はクラッシュテストに供され、不幸にも姿を消したのである。

フォルクスワーゲン・シロッコ(1974年)

74年のジュネーブ・ショーで、フォルクスワーゲンのブースを訪れたと想像してほしい。いまだゴルフは生を受けておらず、そこに並ぶのはビートルのような空冷リヤエンジンの古びたモデルばかり。そこに現れたシロッコは、斬新さが際立ったことだろう。それは、フォルクスワーゲンが使い古した技術とデザインに決別し、新たな一歩を踏み出すことを予感させたはずだ。それはまた、19年にわたり生産されたカルマンギアが、そのキャリアに幕を引くことの予告でもあった。

プジョー604(1975年)

504への市場の反応が好感触だったことから、プジョーはマーケットに、504の上位機種となるフラッグシップモデルを投入する余地があると確信した。604という妥当な車名を与えられたそれは、同じ年に登場したルノー30や、前年のパリ・サロンでデビューしたシトロエンCXと同セグメントで競い合うはずの車種だったが、商業的には失敗作となった。批判の的になったのは、面白みのないルックスと、V6を積んでさえ不満の残る速さである。

プジョーがライバルたちと異なったのは、これをアメリカ市場に投入したことだ。77年当時の価格は10990ドルからで、現在の貨幣価値にすればおよそ480万円といったところ。同じ年にメルセデス・ベンツ280Eが約730万円、ジャガーXJ6が約650万円だったのを考えれば、バーゲンプライスともいえる設定だったが、アメリカのユーザーに支持されることはなかった。

モンテヴェルディ・サファリ(1977年)

スイスの高級車メーカーであるモンテヴェルディが77年に発表したサファリは、インターナショナル-ハーヴェスター・スカウトをベースにした高級SUVだ。興味を持ったユーザーにはパンフレットが手渡され、そこに記されたトピックには自社設計のフレームも含まれていた。ところが、シャシーの製造にはあまりにもコストがかかりすぎると知った彼らは、アメリカ製のコンポーネントをベースとすることへ路線変更を図ったのだ。

アウディ・クワトロ(1980年)

4モーション、xドライブ、4マチックにオール4。今や、各社独自の呼称を与えた4WDを、多くの車種に幅広くラインナップするのは一般的になった。しかし1970年代まで、全輪駆動といえばジープくらいしか選択肢がなかったものだ。その状況を、アウディがクワトロを発表し、一変させた。

もともとアウディは、ホモロゲーション的な要求からクワトロを造り上げた。このクーペは世界中のラリーで走り、その実力をまざまざと見せつけられたライバルたちが、次々と4WDの開発に着手するようになったのである。

フェラーリ288GTO(1984年)

この年の来場者は、288GTOを前にして困惑したに違いない。よほどのマニアでもなければ、ヘッドライト周りを改修し、アグレッシブなボディキットを装着した308GTBのカスタムモデルだと思ったはずだ。しかし、これはもちろん、それだけのクルマではない。会場でのフェラーリによる説明は、これはグループBでのサーキットレースに出走するべく開発され、そのホモロゲーションを満たす分だけが販売されるというもの。その言葉通り、生産台数は規定を満たす分を大きく超えない207台に留まった。ところが、グループBでのサーキットレースが開催されることはなく、288GTOが戦いの場に身を投じることはなかった。

現在、その価値はうなぎのぼり。2016年にアメリカで行われたオークションでは、1985年に生産された個体が、2億2000万円以上で落札されている。

ボルボ480(1986年)

86年のジュネーブ・ショーで発表された480は、ボルボにとって重要なモデルだった。初めてラインナップする前輪駆動モデルであり、デザインもそれまでのボルボとは似ても似つかないものを採用していたのだ。会場では、ターボ仕様の設定も発表された。

ボディ前後に配された反射板は、ボルボがこのクルマをアメリカでも販売したいという意思の表れだ。ショーに展示されたのは、どの点から見てもアメリカ仕様そのものだった。しかし、アメリカ・ドルとスウェーデン・クローナの為替レート変動が不利になり、アメリカ市場導入は断念されることとなったのである。

メルセデス・ベンツSL(R129、1989年)

89年にデビューしたR129は、それまでのSLとは全く異なるルックスの持ち主だったが、それは想定内の出来事でもあった。先代のR107が71年の登場からあまり変化しなかったため、デザイン言語は2世代分の進歩を遂げたのだ。メルセデス筋は、1970年代にはR107の後継モデル開発に着手していることをにおわせていたが、そのプロジェクトはセールス面のプライオリティが高いW201、すなわち190を優先するべく休止されたらしい。

当初、R129には6気筒と8気筒が用意されたが、後にSL初となる12気筒モデルも追加される。メカニズム的には、多くのコンポーネンツをSクラスから流用したが、プラットフォームは84年に発表されたW124型Eクラスの改修版を使用した。

フォルクスワーゲン・ゴルフ・カントリー(1989年)

89年にフォルクスワーゲンが発表したのは、ゴルフIIをベースにした、ラーダ・ニーヴァやフィアット・パンダ4×4のライバル。ゴルフ・カントリーと銘打ったそれは、車高を上げるサスペンションや、重要なメカニズムを保護するスキッドプレート、前後のカンガルーバーなどを装着。さらにはルックスだけでなく、シンクロと呼ばれるフォルクスワーゲン独自の4WDシステムが採用され、悪路走破性が高められた。

残念ながらユーザーの支持を集めることはできず、生産は3000台程度で終了。ゴルフ・カントリーの名は一代限りで消え去ったが、現在ではこの手のクロスオーバー車はニッチながらも人気カテゴリーとなっている。生まれるのが早すぎたクルマだといえるだろう。

メルセデス・ベンツSクラス(W140、1991年)

メルセデス・ベンツは、Sクラスの開発に多くの時間を割いている。W140の開発については、先代のW126が発売されたおよそ2年後、1981年にはスタートしており、89年には市販される予定だった。ところがその年には、トヨタが初代セルシオ/レクサスLSを投入。それを受けて、メルセデスは大幅な見直しを余儀なくさせられたのだ。そうして2年遅れで誕生したW140は、世界中を見渡しても超えるもののないほど、先進技術を満載したサルーンとなったのである。

アウディA8(初代、1994年)

初代A8によって、アウディはついに、アッパークラスでメルセデス・ベンツやBMWに対抗しうるブランドとなった。フラッグシップにふさわしいルックスや、最上級モデルのステータスをもたらすパワフルなエンジンを用意しても、ドイツ車の最高峰を極めるのは、まさに言うは易く行うは難しのたとえ通り。そこで、アウディはふたつの追加要素でユーザーにアピールした。

ひとつは、お得意のクワトロ4WDをA8にも導入したこと。これはトラクションを高めてくれるが、同時に重量増加も避けられない。そこでアウディは、当時としては最先端のアルミ素材導入を敢行。重量を削減するとともに、剛性の向上も図ったのである。

フォルクスワーゲン・コンセプト1カブリオレ(1994年)

コンセプト1と銘打ったショーモデルが、この年始めのデトロイト・ショーでお披露目された。それはあくまで反響を探るのが目的だったが、世界中のメディアがこぞって、この現代版ビートルを熱狂的に取り上げた。ひとびとはこのクルマについて、もっと多くを知りたいと求めたのだ。そんな中でジュネーブに登場したカブリオレ版は、同じく大歓迎を受ける。

1990年代、フォルクスワーゲンはラインナップが無難さを極めており、コンセプト1のようにおもしろみのあるモデルは喉から手が出るほど欲しい存在だった。上層部はすぐさま市販化にゴーサインを出し、数年をかけて量産版の開発が進められることとなる。そうして98年のデトロイトで公開されたのが、言うまでもなくニュー・ビートルだ。

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