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終盤3度の接触で大勝ムードが一転、予定外のピットも。「本当に苦労した」と開幕戦優勝のエストーレ

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終盤3度の接触で大勝ムードが一転、予定外のピットも。「本当に苦労した」と開幕戦優勝のエストーレ

 2024年WEC第1戦カタール1812kmレースで勝利を飾った6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)のケビン・エストーレは、レースの終了間際にLMGT3車両との3件の異なるインシデントが発生したことで、マシンを勝利へ導くことが「とても困難になった」と振り返った。

■「レクサスに近づくのがいつも怖かった」

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 3月2日にルサイル・インターナショナル・サーキットで行われたシーズン開幕戦で、エストーレはローレンス・ファントール、アンドレ・ロッテラーとともに圧倒的な勝利を収め、ポルシェにとって歴史的な表彰台独占をリードした。

 6号車はレースの3分の2を比較的楽に進め、93号車プジョー9X8に対して90秒以上のリードを保っていたが、終盤エストーレは何度もトラフィックに巻き込まれ、そこでドラマが起きた。

「日中の最初のスティントはまったく問題なかった」とエストーレ。

「プジョーと他のライバル勢はときどき速かったけど、スティントの終わりに向かって常に僕らが少し優位に立つこともあった」

「クルマの感触はとても良かったので、日中は僕らにとってとても良い時間だった」

「夜間の僕らはおそらくそれほど速くはなかったけど、ギャップを保ち、このレースに勝つには充分な速さはあった」

「最後の2時間半の間にいくつかの接触事故があり、クルマの中やピットウォールの皆にとって難しい時間となった。ボディワークにかなりの穴が開いてしまったんだ」

 エストーレによれば、木村武史のドライブするアコーディスASPチームの87号車レクサスRC F GT3と2回接触、プロトン・コンペティションのフォード・マスタングGT3の1台とも接触して、左側のサイドポッドとフロアに損傷を受けたという。

「レクサス、正直に言うと、彼に近づくのがいつも怖かった」とエストーレ。

「いつも違うドライバーだったりしたけど、ちょっと苦労したよ。そして最後はフォード・マスタングだった。僕はコース外に出たが、彼は僕に気づかなかったんだと思う」

■ゼッケン貼り付けのためのピットイン決断の背景

 インシデント後のチームとのコミュニケーションのレベルについて尋ねられると、エストーレは次のように述べた。

「正直に言うと、僕はあまり話さなかったんだ。彼(エンジニア)はアンダーフロアが壊れていると言ったので、僕は『分かった、僕はそれを感じているけど、何も言わない』という感じだった。僕はただ運転することしかできないからね」

「クルマはかなり運転するのが難しかったけど、ギャップが一定に保たれているのが見えたので、このままレースを終えるだろうと予想していたけど、マシンには修復すべき点がいくつかあったと思う」

「エンジニアがこの周でピットインしろと言ったとき、あと8、9周あることは分かっていたけど、『いや、もういい』と思ったんだ」

「しかし彼はすぐに、短いピットストップで済む、心配する必要はない、そして(すべてが)すべてコントロール下にある、と言ってくれた」

 ポルシェ・ペンスキーのマネージングディレクターであるジョナサン・ディウグイドは、レクサスとの接触で車両が損傷して欠落していた車両左側のゼッケンを、残り8周の時点で貼り付けるためにピットインする決定が下されたと説明した。

「レースをコントロールしていたので残念なことだったが、接触したところから明らかに議論が続いていた」とディウグイドはSportscar365に語った。

「我々の側として、何をする必要があるかについて多くの議論を行った。誰もが規則について勉強してきたので、我々はそれを遡って検討した」

「当時2番手のクルマとの差を考えると、それが我々のやりたいことだと判断し、やるべきだと思うことに時間を割くことにした」

 レースコントロールからピットインの命令は受けなかったものの、WECのスポーティング規則では、車両には常に目に見えるゼッケンを付けなければならないと規定されている。

「積極的に行動し、できることは何でもできるようにすることが重要だ」とディウグイド。

「50秒差でも0.5秒差でも、勝つことに変わりはないので、確実に歩を進めたかっただけだ」

 エストーレは「純粋なペースを欠いていることは明らかだった。とくにGTカーを追いかけて走る時は、本当に苦労した」と付け加えている。

「GT(マシン)のすぐ後ろで、僕はステアリングを切り込むことができなかった。単独で走っているときは大丈夫だったが、振動が大きかったので、このままさらに1時間半も走らなければならないという点では、クルマに自信がなかったんだ」

「最後は大変だったけど、達成できたことにはとても満足している。昨年のスタート地点から比べれば、どこもかしこも大きな進歩だった」

「このふたりとともに初の総合優勝を分かち合えてとてもうれしい」

 これはチームにとっての歴史的な勝利であり、またWECにおけるLMDh規定車にとっての初の勝利ともなった。

「このプログラムにとっても、ポルシェ963にとっても素晴らしい日だ」とディウグイドは付け加える。

「正直に言って、まだ実感がないので、カタールで夜遅くまで祝勝会が続くことを願っているよ」

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